美術画廊の理想のビジネスとは?
今日も生きてます。
現実には存在しない生き物を描く場合、従来の慣例や文献をどこまで忠実になるのかって考えどころです。
正直何にも縛られず新しい造形でもいいけど、いろいろ歴史を踏まえたうえで自分なりの回答を下していくのが、表現者として歴史のあるモチーフを描く醍醐味でもあるのかなーとも思います。
けどいろいろ考えると何にも決まらない…
いろいろな方向性の作家がいると思いますが、私は気の向くままにとにかく腕を動かすタイプではないかもしれません。形ばかりできても生きた心地がしません。
悩ましい日々を過ごしています。
さて、今日も「銀座の画廊経営」銀座柳画廊 副社長野呂洋子さん著株式会社ファーストプレス発行を読んでいます。
私はビジネスに疎いので、画商さんはこのようにしてお仕事してるんだと大変勉強になります。しかもわかりやすく書かれているので読みやすいです。
ブログでは何回か取り上げてきました。
日本の美術業界のいろは①ー画廊の種類ー - リアル絵描き日記
日本の美術業界のいろは②ー芸術作品の価格設定ー - リアル絵描き日記
日本の美術業界のいろは③ー日本美術業界の最高権威ー - リアル絵描き日記
今日は中から興味深いと思ったところを取り上げたいと思います。
第三章「画廊ビジネスの不思議」の中で画廊ビジネスの利益率について触れられているところがありました。
著者である野呂洋子さんは結婚して画廊経営を始める前はIT企業でバリバリ働くエンジニアとしてのキャリアを持つ方です。
絵画は高額なので、たくさん儲かるのでは?と思いきや、利益率は10パーセント程度だということです。ソフトウェアビジネスではもっと利益率が良かったようで、ギャップを感じたと書かれています。
そして美術品の販売はただ絵画を飾って商談を成立させればいいということではなく、絵画を購入していただいたお客様からさまざまなリクエスト(証明書の発行や、美術品の運搬など)に対応する必要があるようです。
高額の作品の取り扱いを知っている人ってなかなかいませんよね。
おそらくデパートの美術フロア担当の方に聞いてもわからないかも…。場所によって違うかもしれませんが、デパートの方もいろいろな売り場を異動して働いている場合ありますので、美術専門という方は少ないかも…。(※個人的な見解です。)
そうすると頼りになるのは画商さんということになりますし、絵のなんでも屋さん的な感じでしょうか。
同じ章の中でもっと興味深かったのは商品の価値を高め続けるというところです。
画商さんは一回販売した芸術作品を、将来引き取るリスクがあるそうです。
気に入って購入した絵画なのになぜ?と読みながら不思議に思っていたのですが、親が購入した作品を子供が相続した絵画や、購入したときより絵画の値段が下がったということでだまされたと感じたお客様など様々あるようです。
画廊の理想のビジネスとは?
最初に芸術作品を売る、画商は何割か利益を得る
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画商は売った絵画のマーケティングをして絵画の市場価値を高める。
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お客様から売った時の値段より高く買い上げる
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再び高くなった相場でその商品をより高く売る
このようにして付加価値を高めながら一つの商品を五回六回と売買するそうです。
これは知らなかった…!!
このため画商さんは芸術作品の売り買いだけが生業なのではなく、積極的に取り扱っている作品の価値を高める活動をしていく必要があるのですね。
たいへんなお仕事です!
また、第四章ではアートファンドについて触れられていました。
株のように美術品をとらえ、投資のために作品を買うというのはイメージできます。しかしアートファンドなるものがあるとは驚きです。
お客様からまとまったお金を預かって運用するというもののようです。ここで購入された作品は基本的に保管されたままのようです。
売れるのはうれしいけどこんなの作り手は望んでないし、保管されたままで誰も見ないなんて泣きますよ…
ちょっと調べてみるだけでいろいろあるようです。
不思議です。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。