日本の美術業界のいろは③ー日本美術業界の最高権威ー
今日も生きてます。
朝のニュース番組で車の事故について報じられていました。
なんか見覚えある風景…?
と思ったら地元の秋田の交差点で驚きです。
こういうようなニュースって毎日のように放送されていますが、知っている場所だと急に身近に感じます。
私は車運転しないけど、外を歩いているときは心ここにあらず状態でだいぶぼんやりしているから本当に気を引き締めないとですね。
さて、今日も「銀座の画廊経営」銀座柳画廊 副社長野呂洋子さん著株式会社ファーストプレス発行を読んでいます。
日本の美術業界について柳画廊を経営する立場から解説されていて、とても分かりやすく興味深いです。
画廊の種類や作品の価格設定など、ブログで取り上げました。
日本の美術業界のいろは①ー画廊の種類ー - リアル絵描き日記
日本の美術業界のいろは②ー芸術作品の価格設定ー - リアル絵描き日記
今日は美術業界の権威について取り上げたいと思います。
そもそも作品制作に価値を見出すような人が、権威やヒエラルキーつくるのか?と思う人もいるかもしれません。
正直私自身や、私の周りにいた作家たちをみた限りでは他人を従えることに価値を見出すような人間はいなかったなあと思います。
(素朴で良い人ばかりです。)
日本には様々な美術団体があります。
(二科会とか白馬会とか…たくさんあります。)
絵描きの集まりですが、目的や創設理由は様々で、基本的にみんなで表現を高めていこうという集まりだと思います。
そして美術団体に属するということはそこの会員になるということで、会員の中には役員などの上下関係があります。
それぞれの美術団体が公募展を主催しています。会員だけではなく、一般の人誰でも応募できます。審査するのは外部ではなく、主催した美術団体内部の人が審査します。
そして賞が決まります。
私自身団体に属しているわけではないので、私の偏見になってしまうかもしれませんが、噂で聞いたことあるよ~ということを羅列していきます。
美術団体に関する根拠のない噂話①
先生が学生を勧誘するらしい。
美術大学などで先生が会に属している場合、見込みのある生徒を誘うことがあるようです。噂です。私が通っていた大学の先生はどこの団体にも属していなかったので真相はわかりません。
美術団体に関する根拠のない噂話②
年功序列で、若手が上の人を差し置いて良い美術画廊などで個展をしようとすると圧力がかかるらしい。
多分昔の話だと思います。世間の評価と団体内の作家の評価は必ずしも一緒ではないため、自分よりも下の会員である若い作家の活躍を快く思えない人もいたのかもしれませんね。
美術団体に関する根拠のない噂話③
公募展の賞や入選は、審査する〇〇先生の生徒が優先され、賞はいろいろなことが考慮されたり順番で回していたりする。
これもまったくの噂話です。つまり作品内容のみで評価していないということですね。噂話です。真相はわかりません。
他にも悪い噂はよく聞こえてきますが、基本的に団体の問題ではなく、ある世代の特定の人の問題だと思います。
正直若い人はあまり会に属していないのか、周りに会に属している人はいないです。唯一、二科会に属している友人がいて、実際どうなの?と聞いてみたところ、講評で作品についていろいろアドバイスしてくれるので良いということでした。
若い人が属していない理由の一つとして会費や公募展の応募費など意外と結構お金がかかることがあるのではないかと思います。
公募展って大きい作品を指定されていることも多いです。そうすると材料費もかかってしまいます。(その作品が売れたら問題はありません。)
日本最大の公募展は日展です。
2009年には審査に不正があると報道がありました。
不正審査問題
石材などに文字を彫る篆刻の2009年度の審査を巡り、有力会派に入選数を事前に割り振るという不正が行われたことが、朝日新聞の調査報道で分かった[10]。関係者によると、流派有力者(日展役員職の人物)や上位の師匠に手土産を持参して、入選者の一席に加えてもらうのは日常茶飯事だという[11]。また、書道以外の洋画や工芸の部門でも事前指導が慣行として行われ、事前指導を受けた作品が多数入選していたことが明らかになっている[12]。この影響により、2013年の日展は、直前になって日展側からの後援辞退の申し入れがあり、文化庁は後援を中止した。また、文部科学大臣賞の選出と副賞の賞金の支出についても取りやめになった。
2014年4月、幹部会員を減員(参事・参与・評議員を廃止)し、ピラミッド構造を改めるなどの改革を発表[13]。
2014年9月、日展審査員の経験者を日本芸術院会員の新会員候補から除外するよう、文化庁が求めていることがわかった[14]。
2014年12月、問題関与の指摘を受けた人物が、日展を退会[15]。
これにより改組新として2014年に改めて第1回展覧会を開催したが、内閣総理大臣賞と文部科学大臣賞の選出は取りやめとなった。2015年の改組新第2回展覧会で2つの賞が復活されるとともに、後援を取りやめていた文化庁の後援が復活した。
美術団体に関する根拠のない噂話④
大昔、日展に入選したり、賞をもらうために審査員の先生にお金を貢ぐのは当たり前であったということを聞いたことがあります。そのように貢いでお金がかかっても、自分が審査員で貢がれる立場になったらすぐ取り戻せるとか…本当ですか?
以上が私個人が知ることです。
「銀座の画廊経営」では、もっと詳しく書かれていました。
美術団体の公募展は仕入れの宝庫。
画廊がスポンサーになって「〇賞」を設けて選考委員になることもある。
受賞と市場価値は必ずしも一致しない。
絵描きは団体に属すると完全に年功序列で、長老の言うことを聞かなくてはいけない、まさしく軍隊のようなヒエラルキー。団体の偉い人の言うことは絶対。
その反面、若くて優秀な人が食べていけるようにサポートしてくれる。
・地方の絵描きの場合、日展理事という肩書で絵画教室に人が集まる。
・地元の展覧会では六本木の新国立美術館で賞を取ったということで箔がついてよく売れることもある。
・団体の理事は美術大学の教授が多いため、大学講師などの就職先を斡旋してくれる。
画商さんの目線から見ても団体の人間関係は大変だと思われるようです。
しかし軍隊のようなヒエラルキーとは…
絵描きだけではなく、画商に業界団体があるようです。これが日本美術界の最高権威と記されている「東京美術倶楽部」です。
銀座の画廊経営の中から…
東京美術倶楽部は株式会社だが、画廊の組合のようなもの。
メンバーになるには、独立してから10年という縛りがある。親が画商で無ければ、さらにほかの店で何年かの経験が必要になる。
複数の推薦人が必要で、500ー1000万円の万円のお金を用意しなければいけない。
組織の構造としては、古美術をトップにヒエラルキーがある。
日本人絵描きの鑑定機関があり、文科省とのパイプもある。
国に対しても定期的に提言をしている。
画廊の信用力を形成するために、業界団体に属したり、その要職に就くのは効果的。
東京美術倶楽部のほかにも共同組合美術商公友会、洋画商協同組合など、いろいろな業界団体がある。
業界団体の役割は主に交換会やオークションの主催。
この業界団体が主催する交換会に参加するにはこの組合に属する必要があるわけで、組合に入るまでにはそれまで地道に信用を積み上げる必要があるんですね。
新規に参入するには敷居が高い業界ですね。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。