赤ん坊が空を飛ぶ。不思議な子供が描かれたキリスト教絵画に癒されようー受胎告知、受難の聖母子、赤い智天使の聖母ー
今日も生きてます。
確定申告の季節ですね。
私は今年初めてe-taxを利用しました。カードを読み取る機械を購入する必要はありますが、申告書を印刷したり、封筒を準備したりする必要が無いので大変便利です。
オススメ。
これから時代は機械が利用されるようになるのだなと、実感です。(遅い)
機械に疎いタイプですが、面倒がらず今年は電子化できるものはどんどん電子化していこうと心に決めました。管理する物も減らして、必要なものを見極めて大事にしたいです。
さて、今日は不思議な表現で描かれた子供が登場するキリスト教絵画を見ていきます。
神から送り出された空飛ぶ赤ちゃん
「受胎告知」
マイスター・ベルトラム・フォン・ミンデン画、1379‐1383年
出典:「あやしいルネサンス」(池上英洋・深田真里亜著、東京美術)
「受胎告知」はキリスト教の聖書の中で出てくる場面の一つです。神の子であるイエス・キリストを身ごもった女性マリアが、天使からそのことを知らされる場面です。
レオナルド・ダ・ヴィンチやダンテ・ゲイブリエル・ロセッティなど、超有名な画家たちも「受胎告知」の作品を残しています。
「受胎告知」
レオナルド・ダ・ヴィンチ - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=76613573により引用
「受胎告知」
ダンテ・ゲイブリエル・ロセッティ、1850年
マリマは処女のままキリストを身ごもったということになっています。このことを「処女懐胎」や「処女受胎」とも言われます。
マリアは一般人なので、天使が現れたことにびっくり、妊娠の話を聞いて仰天という感じでしょう。
シモーネ・マルティーニが描いた「受胎告知」には、突然現れた天使におもっきし疑惑の眼差しを向ける聖母マリアが描かれています。
「受胎告知」(部分)
シモーネ・マルティーニ画、1333年
マイスター・ベルトラム・フォン・ミンデンが描いた受胎告知をみてみると、話をする天使とマリアの頭上から十字架を背負った赤ん坊(イエス・キリスト?)が浮いています。
その背後には神的な存在が「それ、行ってこい」という感じで赤ん坊をマリアのもとに送り出しています。
「頼んだぞい…イエスよ…」 という神の心の声が聞こえてきそうです。(私だけ?)
意外に他の絵画で神様が赤ん坊を送り出している受胎告知の表現はみたことないです。この表現は聖書の中で「イエスは胎内に宿る前から人間として完璧であった」という文章をもとに描かれたようです。
しかしこの作品は批判にさらされてしまいます。(こんなにかわいい絵画なのに)
原因は「マリアはイエスに地上で生きるための材料を与えた」とする教義と矛盾しているからです。宗教会議でこの作品の表現は異端とされてしまいました。
私はキリスト教信仰者でもない上、おおらかな性格なので、「細かいこと良くね?」と思ってしまいますが、良くなく無いのです。
聖母マリアのもとに集う、小さな子供たち
「聖母子(受難の聖母)」
カルロ・クリヴェッリ画、1460年
出典:「あやしいルネサンス」(池上英洋・深田真里亜著、東京美術)
真ん中で手を合わせる女性は聖母マリアです。
すぐ傍らにいるのは幼子キリスト。
台の上には何故か小さく描かれた子供たちが何人も描かれています。
それぞれ何か持っていますね。
これはキリストの受難を象徴するシンボルたちです。
このようなモチーフは、イエスの受難による人類救済を示すため、聖母子像が描かれた絵画と組み合わされることが多いようです。
手を合わせるマリアはクールな表情をしていますが、子供たちの顔はバリエーションに富んでいて、一人一人見ていくのが楽しいです。
青空に映える赤い天使⁉
「赤い智天使の聖母」
ジョヴァンニ・ベッリーニ画
出典:「あやしいルネサンス」(池上英洋・深田真里亜著、東京美術)
頭の後ろに光輪がある聖母マリアとキリストが描かれています。
幼子キリストの視線は空に注がれているようにも見えます。
その空を見てみると、なんと赤い赤ん坊の顔が浮かんでいます。しかし翼が生えているので天使ですね。
私たちの天使のイメージは背中に翼を生やしているイメージですよね。
『エジプトへの逃避途上の休息』
ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ画、1597年頃
出典:ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ - Wikipedia
私の好きな作品の一枚です↑
キリスト教の天使には階級が存在し、天使によって姿かたちが変わります。上位の天使は意外に身体をもっていない姿をしています。
上位三隊 「父」の階層
中位三隊 「子」の階層
下位三隊 「聖霊」の階層
権天使(権勢)
大天使
天使
赤い天使が描かれた聖母子像の題名は「赤い智天使の聖母」です。描かれているのは「赤い智天使」ということです。
赤い智天使はケルビムともいわれ、天使の中では位の高い存在です。
中世絵画に描かれた智天使
どんな天使かというと、「旧約聖書」の中でエデンの園にある生命の木を守り、ソロモン神殿の贖いの座を翼を守ると言われています。
その姿は身体は無く、頭と首に翼を持った姿で表現されます。そして聖書の中でケルビムは「燃える炭火の輝くよう」と形容されているため、灼熱の愛を示す赤一色で描かれることもあります。
そのため聖母子像の中で、空に浮かぶ赤ちゃんの顔が真っ赤に描かれています。異様な存在ですが、絵の中ではうまくまとまってますよね。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。