趣味が錬金術⁉デル・モンテ枢機卿の錬金術部屋の天井画をみよう!
今日も生きてます。
新しく買い替えたパソコンのデスクトップの背景はカラヴァッジョの「果物籠を持つ少年」です。
実物を見た名画で感動した作品No,1です。
画像からはわかりませんが、果物と少年とを明確に描き分けようとしていて、表現がそれに現れています。少年からオーラが出てる感じ?です。
『果物籠を持つ少年』(1593年 - 1594年)67 cm × 53 cm
出典:ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ - Wikipedia
息が詰まるほど集中して描いたんだろうなと思うほど画面が張り詰めてます。
その後カラヴァッジョをいろいろ調べてみると、殺人していたり、脱獄したり…波乱万丈人生を送った方と知り、なんだか気になる存在に…。
ローマでカラヴァッジョ巡礼しましたが、人を殺した人間の作品が聖なる教会に飾られていることが不思議でした。
カラヴァッジョの重要なパトロンの一人はデル・モンテ枢機卿でした。
出典:フランチェスコ・マリア・デル・モンテ - Wikipedia
デル・モンテ枢機卿(1549- 1627)は、イタリア出身のローマ・カトリック教会の枢機卿です。
枢機卿というのは、カトリック教会における教皇の最高顧問です。
とにかくすごい権力の持ち主です。
芸術に興味があったようで、カラヴァッジョ以外にも様々な芸術家を支援していました。同性愛者であったともいわれています。
カラヴァッジョの一時期の作品が魅力的な少年で溢れていることと関係しているでしょう。
カラヴァッジョ画『音楽家たち』(1595年 - 1596年)
出典:ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ - Wikipedia
カラヴァッジョがデル・モンテ枢機卿に依頼された作品の中には天井画がありました。
枢機卿の別荘の庭園にある小屋の天井にあります。
出典:「人騒がせな名画たち」(木村泰司著、マガジンハウス)
実はこの部屋はデル・モンテ枢機卿の秘密の趣味部屋でした。
その趣味がなんと錬金術。
非金属を金に換える錬金術の研究を人知れずこの天井画のある部屋で行っていました。カトリックの枢機卿という立場からすると、これは背徳的な行いでした。
錬金術研究を目的とした部屋の天井画ということで、それに関係したローマ神話の神三兄弟が描かれています。
天空神ユピテル
鷲と共に描かれています。
球体は天界を表していて、ユピテルは天界を支配しています。
天界
球体をよく見てみると太陽と地球、そして黄道12宮の象徴が描かれ星を表しています。
プルート
ユピテルの兄で、二又の矛と番犬ケロべロスと共に描かれています。
ネプトゥヌス
同じくユピテルの兄で海馬のヒッポカンポス(前半身が馬、後半身が魚)と共に描かれています。
これらは錬金術に必要な要素を表しています。
ユピテルは空気
プルートは塩
ネプトゥヌスは水
ちなみにカラヴァッジョの肖像画とこの神々のお顔を見比べてみると…
カラヴァッジョの肖像画(1621年頃、オッタヴィオ・レオーニ画)
出典:ミケランジェロ・メリージ・ダ・カラヴァッジオ - Wikipedia
似てる!!!!
おそらくご自分をモデルに描かれたのだと思われます。
そしてある伝聞では描かれたプルートの下半身は、カラヴァッジョが鏡の上に立った自分をスケッチして描いたともいわれているそうな…
ちょ直視しにくい!!!!!!
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考
「人騒がせな名画たち」(木村泰司著、マガジンハウス)