人生の幸せを描いたルノワールと、その画家を愛した妻
今日も生きてます。
引き続き「画家たちの妻たち」(澤地久枝著、文藝春秋)を読んでいます。
今日はルノワールです。
1841-1919
印象派の代表的な画家のひとりです。
主にパリの風俗の中で遊びに興じる女性の姿や、豊満な裸婦を美しく描きました。
1841年
フランス中部のリモージュ生まれ、仕立て屋の父とお針子の母のもとに5人兄弟の四番目の子供として生まれます。
3歳の時にパリに引っ越し、13歳で絵付け職人に弟子入りします。
しかし一人前になったころに絵付けが機械化し、扇などの装飾品に絵を描くようになります。
1861年 20歳
画家を志し始め、国立美術学校と画塾に通います。
1864年 23歳
サロンに初入選します。
1869年 28歳
モネと共にラ・グルヌイエールで制作します。のちの印象派の画風が誕生します。
出典:ピエール=オーギュスト・ルノワール - Wikipedia
1870年 29歳
普仏戦争のため、騎兵隊に入隊します。
赤痢のため戦場に出ることなく翌年パリに帰ります。
出典:ピエール=オーギュスト・ルノワール - Wikipedia
1874年 33歳
第一回印象派展に出品します。
(その後も何回か印象派展に出品します。)
出典:ピエール=オーギュスト・ルノワール - Wikipedia
出典:ピエール=オーギュスト・ルノワール - Wikipedia
1878年 37歳
出版社社長シャルパンティエがルノワールに肖像画を頼み、パトロンになります。
上流社会の肖像画を描いて生計を立てます。
出典:ピエール=オーギュスト・ルノワール - Wikipedia
1880年 39歳
妻となるアリーヌ・シャリゴと出会います。41歳で結婚します。
出典:ピエール=オーギュスト・ルノワール - Wikipedia
1892年 51歳
個展開催
1912年 71歳
リウマチで手足がマヒします。
車いすで制作を続けます。
1919年
78歳で亡くなります。
ルノワールの奥さんはアリーヌ・シャリゴです。
アリーヌ・シャリゴはブルゴーニュに近いブドウ園を生業とする家に生まれます。小さなころに両親が別れ、母に連れられてパリに来ます。
パリでは針仕事で生計をさせる母に育てられ、お針子としてばりばり働き、いい収入をもらっていたそうです。
ルノワールのアトリエ近くにある食堂で二人は知合います。絵のモデルになったのがきっかけで、二人は急接近。年齢差は18歳。
ルノワールは40近い年でした。
アリーヌはお針子仕事を辞め、モデルに専念します。
しかしルノワールはなかなか結婚しようとしません。
そのころルノワールは自分の制作のことで頭がいっぱいであったし、実はほかの女性と交際していたという説もあります。
画家ユトリロの母親であり、自身も女性画家として作品を制作していたシュザンヌ・ヴァラドンです。
シュザンヌをモデルにルノワールは何枚か作品を制作してます。
アリーヌはルノワールに見切りをつけ、お針子仕事に戻ってしまいます。
その後ルノワールはアルジェリアに旅行し、パリに帰ってきます。そのときにアリーヌを呼び寄せます。
1885年には長男ピエールが生れます。
そして結婚したのは1890年です。
ルノワールは49歳、アリーヌは31歳でした。息子のピエールは4歳になっていました。
出会ってから10年たっていました。
その後二人の間には1894年にジャン、1901年にクロードが生れます。
アリーヌはとても献身的で家庭的な面を持ち合わせた女性であったようです。(画家の妻はこういう人のほうが多いのではないだろうか。)
ルノワールが気持ちよく絵を制作できるようにアトリエや家の環境を整えていたそうです。ルノワールのパレットまでピカピカにしていたとか…
上の作品は1910年にルノワールが描いたアリーヌの肖像です。
どっしりとしていて余裕のある表情。
こんなに頼りがいと安心感のある女性はいないという描き手であるルノワールの気持ちが伝わってきます。
もう私までついていきたくなるもの。
リウマチが進行していくルノワールのために、少しでも体を動かせるようにとビリヤード台を家に入れたり、足が動かなくなったルノワールのために車いすを買ったり、ルノワールにはなくてはならない存在だったんだろうなあ。
実はルノワールの病気が進んでいく間、妻のアリーヌも糖尿病を患っていました。しかしルノワールには内緒にしていました。心配させたくなかったのでしょう。
そしてアリーヌはルノワールより先に亡くなります。54歳でした。
全く関係ないのですが、ルノワールが描く女性はどちらかというと豊満な人が多いですよね。妻アリーヌも豊満で健康的なタイプだったようです。
そんな魅力的な女性を描いていたルノワールはというと結構やせ型なんですよね。
こんなほっそりした人が描いていたのかと意外でした
日常の幸せとか、女性の美しさとか、私たちが生きていて感じる幸福を絵画として表現した画家だと感じています。
ルノワールが一枚絵を描くと、この世界に幸せが一つ増える。
ルノワールの描く女性像って、ちゃんとモデルによってその人の美しさを抽出していて、ただ記号的な女性の性的な魅力を押し出したものとは違うなあと思う。
私もルノワールに肖像画描いてくれるんだったら脱ぎますわ。(?)
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。