リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

ルドンを愛した妻…最終的に号泣

今日も生きてます。

 

ルドンの花の作品をいつかの展覧会で見たことあります。

よくわからないけどすごく綺麗で、(展示のされ方も関係あると思う。)これは鑑賞ではなく体験だなあと思いました。

 

モネの作品みたときも感じました。

タッチと色彩が相まって本当に美しい!と思い、感動的な体験でした。

 

 

けどロスコの作品を見たときは何とも思わなかった。友人がロスコの作品と対面した時やばかったという感想を聞き、なぜ私はなんとも思えなかったのか不思議でした。

(のちにマティスの作品でも同じ経験をしました…涙)

 

宗教や感性…何かがマッチしないと感じ取れないものがあるのかもしれません。

 

人間みんな外からは見えない何かを心の中にためていて、たまったものを注ぎ込み、形になったものが作品なのかなと思います。

 

作品を見るときは作家の世界を旅するような感覚でいたらいいんですかね。いろんな体験をすることが自分の心の豊かさや広さにつながるのかなーとも思います。

 

 

ということで、今日も「画家を愛した妻たち」(澤地久枝著、文藝春秋)を読んでいます。

 

 

 

オディロン・ルドン

(1840- 1916)

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出典:Category:Odilon Redon - Wikimedia Commons

生物学に関心を示し、象徴派の文学者の関わりから、文学作品に霊感を酌んだ白黒の版画を制作します。

後年は油彩やパステルで花や人物を主題にして神秘的な色彩世界を表現しました。

 

 

1840年

フランスのボルドーに生まれます。

ルドンの両親はアメリカで開拓民として成功し帰国したばかり。

なんとルドンはお母さんが船旅しているときにおなかの中にいた子供です。生後二日後に叔父に預けられ、母のぬくもりを感じられずさみしい幼少期を過ごします。

 

 

 

11歳

病弱で学校にも行かずに過ごしていましたが、この11歳から寄宿学校へ通います。

 

植物園で植物学者と出会い、顕微鏡でいろいろなものをみて衝撃を受けます。エドガー・アランポーや、ボードレールなども読みます。

 

 

 

24歳

パリの国立美術学校へ入学します。

しかし先生に反発して退学します。

 

地元に帰り、放浪の銅版画家のロドルフ・ブレダンに学びます。

 

 

 

30歳

普仏戦争に従軍するが、病気のため除隊します。

 

その後パリへ出てきて木炭デッサンで作品を作り始めます。

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ルドン画「目の気球」

 

 

 

38歳

リトグラフの作家ラテゥールに石版画を教わります。

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石版画を教えてくれたラトゥールの自画像。

ナルシスト感が溢れてて、大変良い。

 

 

 

39歳

石版画集「夢のなかで」を出版します。

 

 

 

40歳

カミーユ・ファルトと結婚します。

 

 

 

41歳

パリで木版画の個展をします。

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ルドン画『森の精神』1880年

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ルドン画『「起源」 Ⅲ. 不恰好なポリープは薄笑いを浮かべた

醜い一つ目巨人のように岸辺を漂っていた』 1883年

出典:オディロン・ルドン - Wikipedia

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ルソー画「起源:おそらく花の中に最初の視覚が試みられた」1883年石版画

出典:【カラー版】西洋絵画史WHO'S WHO 諸川春樹監修、株式会社美術出版社発行

 

 

 

46歳

最後の印象派展(第八回)に出品します。

 

 

 

57歳

地元の農園を兄が売却。

これを機にロダンの絵画に色彩があふれ出します。

 

 

 

64歳

「目を閉じて」を国家が買い上げます。

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出典:「101人の画家ー生きていることが101倍楽しくなるー」

(早坂優子著、株式会社視覚デザイン研究所発行)

この絵を見ると脳裏に「瞳を閉じて~君を思ううよ~」という平井堅の歌が流れます。私だけでしょうか。

 

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ルドン画「キュクプロス」1895ー1900

出典:【カラー版】西洋絵画史WHO'S WHO 諸川春樹監修、株式会社美術出版社発行

 

 

 

74歳

第一次世界大戦

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ルドン画「トルコ石色の花瓶の花」(1911頃)個人蔵

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ルドン画「ビーナスの誕生」1912

出典:オディロン・ルドン - Wikipedia

 

 

 

1916年

76歳で亡くなります。

 

 

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ルドン画

ルドンの奥さんはカミーユ・ファルトです。

カミーユ・ファルトはマダガスカル島の東方にあるレユニオン島で生まれます。

 

資料は少ないが、聡明で知的な人であったそうです。

 

ルドンが結婚したのはルドン40歳、カミーユ・ファルトが27歳の時です。

13歳差ですね。

 

出会ったのはレイサック夫人の知的なサロンです。サロンはブルジョワの社交場で、石版画を教えてくれたラトゥールともここで知り合いました。

 

ここでルドンはカミーユにアタックして結婚します。

 

ある手紙の中でルドンは結婚10年後に、「妻の中に私は生涯の運命の女神を見出したのです。」と書いています。

 

幸せそうですね。

 

夫婦には息子が二人生れますが、長男は生後半年で亡くなってしまいます。

 

 

花を描くために野の花を採集してくるのはカミーユの役目であったそうです。そのためにカミーユは別荘の庭に花を植え、埋め尽くしました。

そのうえルドン画美しい顔を見るのが楽しみとわかると、カミーユはサロンにいつも美しい婦人を集める工夫をしていたようです。

 

やばいな。泣ける。

 

 

ルドンの絵の中に描かれた花が、奥さんが制作のために種をまいて、水をやって育てて、その日の朝摘んできたものだと思ったら…

 

私絵以上に美しい何かを感じて多分号泣しますわ…

だからこんなに美しい作品なんですね。

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

akashiaya.jimdofree.com