鬼の種類&鬼余談
今日も生きてます。
絵に描かれる伝説の生き物のモチーフについてのブログが続いています。
今日は鬼についてです。
魚屋北渓「古今狂歌撰 鬼」
絵画に描かれる鬼は、どのようなものなのでしょうか?
『マンガでわかる「日本絵画」のテーマ』(誠文堂新光社、矢島新監修)によると、鬼が描かれる場合には4つのパターンがあるそうです。
①土地の神や伝説上の存在が仏教や修験道の影響を受けて「鬼」「天狗」と呼ばれるようになったもの
歌川芳艶画
例『酒呑童子』
源頼光一行が人さらいする鬼を退治した話。
以前ブログでも取り上げました。
②仏教説話に登場する鬼
「地獄草紙」より「鉄磑所」(てつがいしょ)
生前に盗みを犯した人間を、獄卒がすり臼ですりつぶしています。
地獄草紙断簡 咩声地獄 シアトル美術館蔵,
パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=12523775による
例『地獄の獄卒』
獄卒とは、地獄で死者を責めるという悪鬼です。
地獄で閻魔の下で働いている鬼です。働く鬼ですね。
(趣味で亡者を責めることはないでしょう。)
③人や物が変化してなったもの
百鬼夜行絵巻の例 国際日本文化研究センター蔵『百鬼夜行絵巻』(部分)
パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4399713による
例『百鬼夜行絵巻』
「百鬼夜行絵巻」は、妖怪たちが行列をする「百鬼夜行」のさまを描いた絵巻物の総称です。
室町時代から明治・大正年間頃まで数多く制作されました。
④中国の物語や伝説に由来する鬼
例『鍾馗』に捕らえられる鬼など
唐の玄宗の夢に現れた鬼(病)をこらしめた人。
鬼をやっつけている姿を描かれる場合が多い。
以前ブログで取り上げました。
とりあえず絵画に、角を生やしている異形の怪物が描かれていたら鬼かなあ?と思いますが、それぞれどんな鬼が描かれているかは違うようです。
これ以降は絵とは関係なく鬼余談。
別府温泉にあった鬼の骨の絵はがき。↑
3.6mもあったそうです。
現代の私たちにとって鬼が空想の産物であることは共通の認識だと思いますが、昔の人々は鬼の存在を信じていたようです。
『日本幻獣図説』(河出書房新社、湯本豪一著)の中には、鬼が信じられなくなった過程が書かれています。
妖怪と違い、どこかに居るかもしれない存在として認識されていた鬼は、見世物小屋などでそのミイラが公開されていました。
江戸時代の頃はほとんどの人々が生まれ育った場所で一生を終えました。
なので、遠くの地域の鬼の話を聞いたり、ミイラを見ても、本当かどうか確かめられませんでした。
しかし明治中期になり、交通網が発達し、誰もがどこへでも行けるようになると事情は変わってきます。
ミイラも信憑性がなくなり、医療系の大学で分析するといったことまでするようになりました。
宮城県にある村田町歴史みらい館が所蔵する鬼の首と手↑
しかし節分で鬼が関係するせいか、他の霊獣に比べると鬼の存在は一般的ですね。
赤鬼や青鬼など、テーマカラー(?)がある鬼がいますが、煩悩の五つをそれぞれ一つずつ担当しているようです。
イラストレーター唐木みゆさんの挿し絵が面白い。
ゆるくて好きです。
赤:貪欲 - 渇望・欲望
青:瞋恚(しんに) - 怒り・憎しみ
緑:惛沈・睡眠(こんじん すいめん) - 倦怠・眠気
白:掉挙・悪作(じょうこ おさ) - 心の浮動、心が落ち着かないこと・後悔
黒:疑 - 疑い
節分では、消したい煩悩の色の鬼に向かって豆をまけばいいという情報をみつけましたが、真偽は不明。でも面白いですね。
由来は仏教で瞑想修行を邪魔する5つの煩悩「五蓋」(ごがい)からきているようです。
私の場合、緑色の鬼にめちゃくちゃ豆をぶつける必要がありそうだ。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。