霊亀、蓑亀、玄武…縁起の良い亀たちーもっと知りたいカッコいい霊獣たち④ー
今日も生きてます。
カメラが我が家にやってきました。
ソニーです。
(レンズはタムロン)
絵のための取材するときはこれを活用する予定です。
なんて名前つけようかな…
さて、少し間が開いてしまいましたが、前回まで龍・鳳凰・麒麟と古代中国でよいことができる予兆に現れるという瑞獣について書いてきました。
①瑞獣と龍について
②鳳凰について
③麒麟について
〇霊亀(れいき)
「蓬莱山蒔絵袈裟箱蓋裏部分」平安時代
今日は瑞獣の四霊のうち、最後の一つである「霊亀」(れいき)についてとりあげます。
これまでの龍や鳳凰や麒麟は聞いたことや見たことがありますが、「霊亀」は馴染みがないですね。
この「霊亀」がよく登場する場面は、「蓬莱山」(ほうらいさん)が描かれる場合です。
「蓬莱山蒔絵袈裟箱蓋裏部分」平安時代
蓬莱山とは、中国の伝説にある山のことです。
不老不死の仙人が住み、松竹梅が茂り、空には鶴が舞っているという理想郷です。
ちなみに日本の昔話「竹取物語」の中でかぐや姫が求婚してくる皇子の一人に「蓬莱の玉の枝」を持って来いと無理難題を押し付けます。
蓬莱の玉の枝は、蓬莱山にあるもののことを指します。
「蓬莱山図」呉春 江戸時代
この蓬莱山、実は亀の甲羅の上に支えられています。
蓬莱山を支えている亀が「霊亀」です。
実は蓬莱山を支えていること以外に霊亀についてはわからず、今日はせっかくなので他の縁起のいい亀のことについてもはっきりさせてしまおうと思います。
〇玄武(げんぶ)
Vmenkov - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=8843180による
この霊亀よりも有名なのは「玄武(げんぶ)」ではないでしょうか?
古代中国で、四方を守護する四神の一つが玄武です。
この四神は、中国の星座から生まれました。
東を「青竜(せいりゅう)」
南を「朱雀(すざく)」
西を「白虎(びゃっこ)」
北を「玄武(げんぶ)」
それぞれイメージカラーもありますね。
玄武はの姿は脚の長い亀に、蛇が巻き付いた形で表現されることが多いです。
また、古代中国では占いの一つに亀卜(きぼく)がありました。
亀の甲を焼き、そのひび割れの入り方で吉凶を占うものです。
その関係もあり、玄武は冥界と現世を往来して、冥界にて亀卜の神託を受け、現世にその答えを持ち帰ることが出来ると信じられていたそうです。
ddol-mang (a flickr user) - https://www.flickr.com/photo_zoom.gne?id=116147367&context=set-72057594087752744&size=o, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1479759による
銅造薬師如来像台座
〇蓑亀(みのがめ)
Tsukioka Yoshitoshi (Japan, 1839-1892) - Image: http://collections.lacma.org/sites/default/files/remote_images/piction/ma-31816082-O3.jpgGallery: http://collections.lacma.org/node/191508 archive copy at the Wayback Machine (archived on 11 June 2017), パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=27343303による
亀が描かれた装飾や絵で、亀のお尻付近から長い草みたいなものがふやふや~と流れているものって見たことありませんか?
ふやふや~と流れているものは藻です。
そのような亀のことを「蓑亀(みのがめ)」と呼びます。
他にも、「緑毛亀」「緑藻亀」などの呼び方があるようです。
伝説や神話の類ではなく、実際に存在するものです。
なぜ絵画や装飾品などに蓑亀が描かれるかというと、長寿を象徴する縁起のよいものとされているからです。
jjron - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3611752による
鶴と亀は日本では「鶴は千年 亀は万年」と言われ、長寿の象徴として有名ですね。
縁起物の一つです。
歌川広重画『名所江戸百景 深川 萬年橋』
上の浮世絵は亀が描かれています。
亀が人間に捕まってたそがれている場面を描こうとしている…わけではなく、
画題「萬年橋」の「萬年(万年)」を 亀は萬年にかけたものだそうです。
よくみると、描かれたモチーフは、亀と富士山、2艘の帆掛け舟…全て縁起物です。
ほぼ本体が蓬莱山の感覚です。
しかし海に浮かぶ大きな亀は、ファンタジー色が強くて夢が広がります。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考・画像引用
まんがでわかる「日本絵画」のテーマ、誠文堂新光舎、監修矢島新。
日本・中国の文様辞典、視覚デザイン研究所編。