源氏絵ー日本人の必須教養ー
今日も生きてます。
今日は源氏物語です。
光輝くように美しい容貌を持つとされる主人公の光源氏と、様々な女性の恋愛模様を中心に物語が展開します。
源氏物語は画題としても人気が高く、江戸時代には浮世絵にも源氏物語が用いられました。
源氏物語を描いたものは「源氏絵」と呼ばれ、日本絵画の一大ジャンルになります。
どんなものが描かれたのか今日は見ていきたいと思います。
現存する最古の源氏絵は、平安時代末期のもの。
平安時代の絵師・藤原隆能が描いたと伝えられていたため、「隆能源氏」とも呼ばれます。
↑「鈴虫」の話。
柱を背に座るのが光源氏。
光輝くような容貌という文字を視覚化するとなると、私だったら他との差別化を検討しますが、他の人物とそんなにかわりない描写ですね。
それよりも、
源氏と向かい合うのは弟の冷泉院。
冷泉院は実は源氏の息子であり不倫の息子。
こちら側を向いて笛を吹くのは夕霧。
夕霧は源氏の実の息子。
その二人に挟まれるように画面上に配置された光源氏。
物語上の関係性を画面にうまく落とし込めようとしているのかなと感じる構図ですね。
↑「竹河二」の話
蔵人少将が玉鬘の娘・大君と中の君の姉妹を覗き見ている場面。
絵巻物は向かって右から左へ見ていくものです。
右端には蔵人少将がいます。
奥には中央の桜の木を賭けて勝負をする姉妹が描かれています。
碁は平安時代からある娯楽なんですね。
佐為…!!!
↑は「横笛」の詞書
詞書(ことばがき)は、前書きや説明文のこと。
絵に対応する源氏物語の本文が抜き出されます。
色鮮やかで美しいですね。
↑「東屋」の物語
登場人物が物語を読んでいる場面。
手前で女房が髪を梳かせています。
髪を手入れしてもらっているのは登場人物の中の君。
こちらは浮舟。
中の君と一緒に物語絵を楽しんでいます。
二人の手前で女房が物語の詞書を朗読しています。浮舟と中の君はそれを聞きながら物語絵をみています。
今は読書というと一人の作業ですが、平安貴族は物語がかかれた絵巻物や冊子をみんなで見て楽しんでいたんですね。
↑「源氏絵」
彩色の無い白描画で「若紫」にあたる部分。
室町時代には「小絵」(こえ)という天地の幅が狭い絵巻物が作られました。
そのなかには源氏絵もありました。
雲と雲の合間から源氏物語の色々な場面が見えてきます。
もともと八条宮家の邸宅の襖絵としてつくられました。
↑は伝・狩野山楽の「車争図屏風」
元々は襖絵でしたが、後に屏風に仕立てられました。
江戸時代に入っても源氏物語の人気は衰えず、浮世絵になります。
↑どちらも歌川広重による錦絵。
↑は鈴木春信の源氏絵。
画題は「若菜上」ですが、服飾品は江戸当時のものです。
↑は鳥文斎栄之の源氏絵。
これは髪型などからもろに江戸風であることがわかります。
平安時代の作品なのに今の現代までずっと教養として不動の地位を確立しているのがすごいですね。
この前デパ地下を歩いていたらお煎餅屋さんの商品で源氏物語をテーマにしたものがありました。
今の私たちにも必要な教養だなーと、紫式部の偉業に感心している今日この頃でした。
きょうはここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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