蝦蟇・鉄拐仙人図ー蝦蟇仙人編ー
今日も生きてます。
梨の直売所が自宅付近にぽつぽつあり、今の時期になると梨やブドウが並んでいます。
去年食べ損ねたので今年は食べたいなあ。
さて、今日も「マンガでわかる日本絵画のテーマ」(誠光堂新光社 監修矢島 新)を読んでます。
昨日は「蝦蟇・鉄拐仙人図 ー鉄拐仙人編ー」でした。
蝦蟇・鉄拐仙人図ー鉄拐(てっかい)編ー - リアル絵描き日記
よく描かれるこの怪しい二人組(エライ仙人!)の謎を解き明かしましょう。
曾我蕭白の「蝦蟇・鉄拐仙人図 」↑
今日は向かって右側の、桃を持ちつつ蛙と戯れている、蝦蟇仙人(がませんにん)についてです。
⚫蝦蟇仙人(がませんにん)
河鍋暁斎画『中国神仙図巻』のうち「がま仙人」河鍋暁斎記念美術館蔵 明治8-9年(1875-76年)↑
蝦蟇仙人は日本で画題として人気の仙人です。
モデルは劉 海蟾(りゅう かいせん)という人です。
劉海蟾(生没年不詳)は16歳で科挙の試験に合格した秀才でした。
出世街道を順調に進んでいたある日、道人(仏教の修行する人)に会います。
そして鶏卵十個と銭一枚を求め、それに劉海蟾が応じると、卓上にに銭を置き、その上に次々に卵をのせていきます。
劉海蟾が「危ない!」と叫ぶと、道人は「実はお前の身分の方がこれよりもっと危ないぞよ」と言い残し、消えてしまいました。
その後すぐ仕事をやめます。
(脱サラですな。)
そして道士となり、修行を続け仙人にまでなりました。
⚫この蛙は何者?
蝦蟇仙人と必ず一緒に描き込まれるこの蛙は何者なのでしょうか?
この三本足の蛙は「青蛙神」(せいあじん、ちんわせん)は、と呼ばれる霊獣です。
前足が2本、後足が1本で、後足はお玉杓子の尾のように中央に付いています。
中国では月に青蛙神がいるとされています。
天災を予知する力を持ち、大変に縁起の良い福の神とされているそうです。
⚫青蛙神と蝦蟇仙人の関係
なぜ蝦蟇仙人は青蛙神と一緒に描かれるかというと、蝦蟇仙人は金貨で青蛙神を釣ったと言われているからです。
実は青蛙神は金貨を食べる性質があり、庭先に
青蛙神がでると金運が上がり、しあわせが訪れるといわれています。
ちなみに桃は不老長寿の力を持つ聖なる果物で、仙人が食べていると言われるので持っているのだと推測します。
⚫なぜ蝦蟇仙人と鉄拐仙人が一緒に描かれるのか
雪村「蝦蟇・鉄拐仙人図」
蝦蟇仙人と鉄拐仙人は良く対や一緒に描かれています。
実はこの二人が一緒に何かしたというエピソードは特にありません。
しかし元の道釈画の名人・顔輝の有名な蝦蟇・鉄拐仙人図の影響か?と考えられています。
道釈画について↓
(蜆子和尚(けんすおしょう)って誰? - リアル絵描き日記)
道教は仏教ではないんですね。
キリスト教の絵画はほとんどカトリックですが、日本絵画の画題は全てが仏教というわけではなく、色んな宗派、や宗教が元ネタ(?)になっているので、そこの知識を補完しないと理解が追いつきませんね。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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