今日も生きてます。
今日からローマにあるイエズス会№2の教会、サンティーニャーツィオ教会の天井画を詳しくみていきます。
アンドレア・ポッツォ「四大陸の寓意」
この天井画の中央部分の左と右それぞれの柱に人が支えているものがあります。
四つありますが、それぞれ名前の刻まれたプレートが描かれています。
〈ヨーロッパ〉〈アメリカ〉〈アフリカ〉〈アジア〉
それぞれが四大陸に対応しています。
ヨーロッパ
アジア
アメリカ
アフリカ
おそらく下から見上げてわかる人はだいぶ視力いい人ではないとわからないのでは…?
私はたぶんわかりません。
それぞれの大陸をどのように表現しているか見ていくと、イエズス会がどのように世界を捉えているか、また捉えたいかがわかります。
今日はヨーロッパをみていきます。
EVROPAと書かれたプレートに上にはヨーロッパの擬人像・恰幅のいい女性がいます。
他の三枚も女性が擬人像になっていますが、大陸のように「古く、大きい」ものはラテン系言語では女性名詞であることが多いそうです。
彼女がふくよかに描かれているのには理由があり、ヨーロッパの豊かさを表現しています。
頭には王冠、手には地球を抱えています。
ヨーロッパが世界の支配者であることを示そうとしています。
この作品が描かれた17世紀は大航海時代もひと段落し、世界諸国にヨーロッパの力がいきわたった頃でした。
右手には金色の王笏(短い杖)を持っており、自分に従う世界中に向けて命令しています。
女性は白馬にまたがり、その足で一人の男性の背中を踏んづけています。
これは女性の意に沿わず、駆逐された人々です。
いろいろな読み取り方や仮説があるそうですが、この教会はイエズス会の教会ですので、異民族・ユダヤ教徒・異端とされたキリスト教派生の異教徒などが考えられます。
宗教改革者のルターとツヴィングリとする見方もあるようです。
だまし絵として有名な天井画ですが、よく描かれている内容を見ているとそれだけではないことがわかります。
今日みたのは絵のたった一部分ですが、これを描いたヨーロッパ人の世界に対する自分の立場をこれでもかとわかりましたね。とりあえず自分は偉いぞということを表現してますね。
そのヨーロッパ人が他の大陸をどのように表現したのか…明日に続きます。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。