続々・カラヴァッジョ
今日も生きてます。
続々カラヴァッジョです。
1600年から仕事の依頼が増えたカラヴァッジョでしたが、1604~1605年には仕事の依頼が少なくなってきたせいか犯罪記録が増加します。
1606年には殺人を犯してしまいます。
今日は前回も画像を載せたかもしれませんが、この時期のカラヴァッジョの三作品を取り上げたいと思います。
★聖パウロの回心 1601年
この作品はサンタ・マリア・デル・ポポロ聖堂チェラージ礼拝堂のために描かれた作品です。聖書の一場面を描いています。
馬の下で両手を広げているのがパウロです。パリサイ人としてキリスト教迫害に合っていたパウロはダマスカスに向かう途中に神の声を聴き地に倒れます。
今までの聖パウロの回心の場面を描いた作品では、実際に画中に神や天使が姿を見せ、地上の人がそれらを見て驚いている図が一般的でした。
上はタッデオ・ズッカリが描いた聖パウロの回心です。
カラヴァッジョも最初は下のように従来の表現の仕方で描いていました。
第一作目の聖パウロの回心↑
しかしなぜかこの構図は採用されずに、神の姿も天使の姿も画面に現れない両手を広げてパウロが倒れている図になりました。
これは奇跡というものが全てはパウロの脳内の中で起こっていることを示しています。
奇跡をこのように表現したのはカラヴァッジョが初めてで、奇跡というものが個人的な体験にすぎないという近代的な解釈がはじめて提示されたと本の中ではいわれています。
★キリストの埋葬 1602ー04年
この作品はカラヴァッジョの作品の中で最も多く模写されてきました。
上の模写はルーベンスのものです。ほかにもフラゴナール、ジェリコー、セザンヌも水彩で模写をしています。
ダヴィットのマラーの死はカラバッジョのキリストを借用しています。
★ロレートの聖母
この絵が飾られたサンタゴスティーノ聖堂はサン・ピエトロ聖堂へ向かう中間地点にありました。この絵の前面に描かれているような巡礼者で溢れかえっていたそうです。カラバッジョは彼らの姿を画中に加えることで画面の世界と現実空間を結びつけました。
窓からの光の位置と絵の中の光の方向が同じになっている。
明日に続きます。
今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。