リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

阿弥陀来迎図ってナニ?

今日も生きてます。

 

高畑勲監督の長編アニメ映画「かぐや姫」を見たとき、月のお迎えが阿弥陀如来たちであることになんの疑問も抱いていませんでした。

 

 

しかし、当麻曼陀羅についていろいろ知ってしまうと、映画中の阿弥陀如来たちのお迎えは、極楽浄土へのお迎えであることがわかります。

 

 

かぐや姫阿弥陀如来たちは「死」があらがえないものだっていう描写だったんだなあ。

 

かぐや姫死んだのかあ…

 

 

 

もう一回みたくなりました。

 

 

 

ということで今日も「マンガでわかる日本絵画のテーマ」(誠光堂新光社 監修矢島 新)を読んでます。

 

 

 

今日はかぐや姫の中にも出てきた阿弥陀如来のお迎えという画題を紹介します。

 


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阿弥陀二十五菩薩来迎図

 

 

上の作品を見ると、なにやら雲の上にたくさんの人々が乗っています。

 

 

画面中央の大きい人が阿弥陀如来

そして25体の菩薩と、往生者が描かれています。

 

これは人が亡くなるときに阿弥陀如来がお供の菩薩を従えて極楽浄土からお迎えに来る光景を描いています。

 

こういった作品を阿弥陀来迎図」(あみだらいごうず)といいます。

 

平安時代末期ごろから来迎図が描かれ、鎌倉時代に浄土信仰が民間に広がり、いろいろな阿弥陀来迎図が描かれます。

 


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下村観山ほか「阿弥陀聖衆来迎図」(摸本)

 

 

↑は阿弥陀如来が正面に座る伝統的な構図で周囲に楽器を奏でる32体の菩薩が描かれています。

 

阿弥陀如来が座ったポーズのものから、立ち姿のもの、雲の動きでスピード感を表現した「早来迎」(はやらいごう)と呼ばれるものも生まれました。

 

 

 

 

浄土信仰は、仏や菩薩の治める浄土に死後生まれ変わることを願う信仰です。

 

 

信心深い人々は来迎図をみて自分が亡くなるときのイメージをしていたのかなあ。

 

 

 

でもかぐや姫を思い出すと、死って受け入れる準備してるかしてなくても関係なく無情に迎えに来る…というような印象になります。

 

 

来迎図をみてちょっと怖いなと思ってしまいました。

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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心に極楽浄土を思い描きなさいby釈迦ー定善13観ー

今日も生きてます。

 

 

 

 

新しくオープンするパンケーキ屋さんに入り、どんなものかと期待していたら、座席の隣にウェイトレスが座り、出てきた料理を全てフォークやスプーンで口まで運んでくれる。

 

(メイド服は着ているがメイド喫茶のあーんというような色っぽい感じではない)

 

 

私は咀嚼スピードが著しく遅いので、次の皿が出てくるまでに今出ている料理を食べ終えることができない。

 

ウェイトレスは焦って咀嚼中にもかかわらず食べ物をのせたスプーンを私の口の中につっこんでくる。

 

私は前菜などの皿は食べかけで諦め、本命のデザートであるパンケーキを楽しみにすることにする。

 

とうとうパンケーキが運ばれた!

 

美味しそうだ~味わって食べたい、と思っていたら、隣のウェイトレスはパンケーキの半分(結構な量)を無理やり口の中に押し込んでくる。

 

私は今までのストレスもあり、キレる。

 

ウェイトレスを殴り、店の柱を蹴り、

うおーーーーーーー!!!と叫ぶ。

 

そしてショッピングモール内を叫んで歩く。

うおーーーーーーー!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

…そしてそのまま立ち食い餃子の店に入り、餃子をオーダーする。

 

 

 

という夢を見ました。

 

 

たぶん介護をされる方ってこんな気持ちなのかなあ。

 

 

 

 

 

ということで今日も「マンガでわかる日本絵画のテーマ」(誠光堂新光社 監修矢島 新)を読んでます。

 

曼陀羅について見てきました。

 

曼陀羅解説①

曼陀羅(まんだら)ってナニ? - リアル絵描き日記

 

曼陀羅解説②

一夜で編まれた?!極楽往生の世界ー当曼陀羅ー - リアル絵描き日記

 

曼陀羅解説③

極楽往生の手引きー当麻曼陀羅ー - リアル絵描き日記

 

 

初めは密教の世界観を表現するためにつくられた曼陀羅も、その形式が他の表現にも使われるようになります。

 

 

その中でも「当麻曼陀羅」(たいままんだら)は、奈良の當麻寺に伝わる曼陀羅です。

 

 

中将姫という姫が當麻寺で尼になったときに 、お告げを聞いて蓮の茎の糸で一夜にして浄土の世界を表現した、というものです。

 

その転写本が日本全国で流行りました。

 


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その描かれた内容は仏教の経典観無量寿経」(かんむりょうじゅきょう)をもととしています。

 

 

真ん中には浄土の風景が描かれ、下のコマには「九品往生」(くほんおうじょう)という往生のランク、向かって左側のコマにはこの世で最初に阿弥陀如来に救われたイダイケ夫人の物語王舎城の悲劇」が表現されています。

 

 

今日は向かって右側のコマの内容を見ていきたいと思います。

 


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この部分はいったい何が描かれているのか?

 

 

 

 

昨日の王舎城の悲劇」の中で、狂暴な息子に牢屋に入れられてしまったイダイケ夫人が、釈迦に救われるという場面があります。↓

 

 

牢屋の中で苦しむイダイケ夫人の心の叫びをキャッチしたお釈迦様は、イダイケ夫人のもとまで来て、愚痴りまくるイダイケ夫人をあたたかく見守り、静かに聞きます。

 

イダイケ夫人

「あたしの何が悪くてあんな悪い子供生まれたわけ?この世は苦しみだらけでもういや!はやく阿弥陀如来がいる浄土に生きたいわ!極楽浄土に行く方法教えて!」

 

釈迦

「それでは定善十三観を教えましょう。まずはイメトレです。イマジンです。ジョン・レノンです。」

 

 

 

 

 

 

結果的にイダイケ夫人は釈迦の教えのお陰で心穏やかになり、狂暴な息子をその母親の様子を見て釈迦の教えを信じるようになります。

 

 

釈迦がイダイケ夫人に教えた定善十三観

 

これを絵にしているのが向かって右側のコマなのです。

 


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上から下に向かってみていきます。

13のコマがあり、それぞれ釈迦がイダイケ夫人に伝えた13個の観法に対応してます。

(日想観・水想観・地想観・宝樹観・宝池観・宝楼観・華座観・像観・真身観・観世音菩薩観・大勢至菩薩観・普観・雑想観)

 

 

 

絵と合わせてみてみると…

(絵かボヤボヤです。すみません。)

 

日想観(にっそうかん)

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水想観(すいそうかん)

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地想観(ちそうかん)

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宝樹観(ほうじゅかん)

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宝池観(ほうちかん)

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宝楼観(ほうろうかん)

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華座観(けざかん)

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像観(ぞうかん)

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真身観(しんしんかん)

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観世音菩薩観(かんぜおんぼさつかん)

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勢至菩薩観(だいせいしぼさつかん)

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普観(ふかん)

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雑想観(ぞうふかん)

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具体的にはどういうことをするかというと、ざっくり言うと極楽浄土の様子を想像しましょうというような内容です。

 

 

日想観は太陽が西の空に沈みゆく映像を頭の中に焼き付くようになるまでイメージすること。

 

そこから極楽世界のありさまや阿弥陀仏の姿やその徳、自分が極楽浄土にいる様子をイメージしていきます。

 

 

絵の左端にイダイケ夫人と思われる人が全てに描き込まれていますね。

(これは個人的憶測です。)

 

 


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当麻曼荼羅(メトロポリタン美術館所蔵)

 

当麻曼荼羅は仏教の経典である観無量寿経をベースに描かれた絵で、これを見ることで経典の内容の理解や極楽浄土のイメージを手助けしてくれます。

 

 

さ、これで博物館や美術館でどんな当麻曼陀羅に出会っても何が描かれているかはわかりますね。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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王舎城の悲劇 超あらすじー当麻曼陀羅ー

今日も生きてます。

 

あいちトリエンナーレから、まだいろいろと考えてます。

 

 

昔は何で政治的な内容の作品を表現する必要があるのか、私には全く理解できてませんでした。

 

表現するよりも、政治家になって法律をつくる方が理に適っていると思っていたからです。

(政治的な主張を絵にしたところで法律は変わりません。)

 

 

 

 

しかし実際過去のいろいろな作品を見てみると、純粋に作品の表現のためだけにつくられた作品もありますが、一つの作品が作られる動機には、宗教や政治的な主張を持ってつくられたものも数多くあります。

 

政治的な運動のひとつとしてアートを使っているわけですね。(プロパガンダ)

表現より他の目的があります。

 

 

 

この人はなんのために作っているのか…というのは作品を鑑賞するときの一助になりますね。

 

 

 

 

 

 

 

ところで話は変わりますが、「マンガでわかる日本絵画のテーマ」(誠光堂新光社 監修矢島 新)を買いました。

 


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カバーは剥きます。

(表紙の装丁をされている方、すみません。)

 

 


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本に限らず、包装紙やカバーがついたままだと自分のものになったような気がしないので、家の中に入ったら全部とってしまいます。

(趣味のあうカバーの場合は剥きません。)

 

自分のものになったぜ!というような感覚です。

 

 

 

ということで早速今日も読んでいきます。

 

 

曼陀羅についての話が続いてます。

 

曼陀羅(まんだら)ってナニ? - リアル絵描き日記

 

一夜で編まれた?!極楽往生の世界ー当曼陀羅ー - リアル絵描き日記

 

極楽往生の手引きー当麻曼陀羅ー - リアル絵描き日記

 

 

中将姫が一夜にして編み、浄土の世界が表現された当麻曼陀羅

 

その当麻曼陀羅で何が描かれているか見てきました。

(↓は転写本です。)


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昨日は中央に阿弥陀如来と菩薩を中心とした極楽浄土が描かれています。

 

下のコマに九品往生という往生のランクが描かれています。

 

 

 

今日は画面両端のコマの部分について見ていきます。

 

 

向かって左側
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向かって右側

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この両端のコマには仏教の経典である観無量寿経」(かんむりょうじゅきょう)に記されている一つの物語が表現されています。

 

 

その物語は王舎城の悲劇」と呼ばれるものです。

 

向かって左側のコマにはその「王舎城の悲劇」の内容が下から上に向かって11の場面に分けて描かれています。

 


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王舎城の悲劇 超ざっくりあらすじ

 

 

 

今から2,600年前、お釈迦様が生きていた頃古代インドにマガダ国という国がありました。

 

そのマガダ国の王であったビンバシャラ王と、その妃イダイケ夫人は子供がいないという悩みがありました。

 

イダイケ夫人は不安になり、占い師を頼ります。

 


占い師

「山奥のある修行者の命が尽き次第子が宿 りますわ。」

 

 

ということで重臣たちは止める中、イダイケの説得された王は修行者を殺害してしまいます。

 

修行者

「この恨み晴らしてやる…!」

 

 

 

 

 

やがてイダイケ夫人は身ごもります。

 

しかし修行者の幻影に不安になったイダイケ夫人はまた占い師に頼ります。

 

占い師

「太子は恨みをもってます。成長したらきっと親を殺されるお方になりますわ。」

 

ということでイダイケ夫人はまた王を説得して子供を殺そうとしますが、元気に生まれ、生き延びます。

 

産声を聞き殺意失せた2人は、その子をアジャセと名づけ可愛がって育てます。

 

 

 

アジャセ王子は成長すると異常な凶暴性をあらわにしていきます。

 

 

困り果てた王と妃は、釈尊のご説法に耳を傾けるようになります。そして釈迦教団のの支援をするようになります。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

さて、釈尊教団を乗っ取ろうとしている提婆達多(だいばだった)釈尊を殺そうとしていました。

 

 

何度かトライするものの、失敗に終わります。

 

そして、釈迦の支援者の息子アジャセ王子へ目を向けます。

 

そしてダイダバッタはアジャセ王子と仲良くなりアジャセ王子出生時の秘密を暴露します。

 

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

 

そして超ショック&激怒のアジャセ王子はビンバシャラ王を牢屋にいれてしまいます。

 

イダイケ夫人はこっそり食べ物を牢屋へ持っていき、ビンバシャラ王は命を繋ぎます。

 

これを知ったアジャセ王子はは激怒し、イダイケ夫人も牢屋にいれてしまいます。

 

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

牢獄で苦しむイダイケ夫人。

 

お釈迦様はイダイケ夫人の悲痛な心の叫びをキャッチし、救済しに向かいます。

 

愚痴りまくるイダイケ夫人に、釈尊は慈眼を向けられます。

 

そして定善十三観と散善三観の教えを説かれました。

 

教えを実行して地獄しか行き場のない者と知らされたイダイケ夫人は苦しみます。

 

お釈迦様

「イダイケ、今よりその苦しみを除く教えを説こう」

 

するとお釈迦様の姿が消え、空中に金色輝く阿弥陀如来のお姿が現れます。

 

 

阿弥陀如来を見たイダイケ夫人の苦悩は晴れわたり、歓喜が胸に満ちます。

 

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

 

イダイケ夫人の様子に驚き、アジャセ王子は母を牢から出します。

 

やがて、アジャセも真実の仏法を聞くようになりました。

 

 

 

 

 

 

というお話でした。

 

ちなみに王は牢の中で自害してます。

 

 

イダイケ夫人はこの世で最初に阿弥陀如来に救われたひとらしいです。

 

 

 

向かって右側ののコマについては明日に続きます。

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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極楽往生の手引きー当麻曼陀羅ー

今日も生きてます。

 

あいちトリエンナーレの表現の不自由展が話題になっていますね。

 

公的資金の問題や、外交上の問題、運営の対応の問題など、様々な事を考えさせられました。

 

展示が中止になった作品を展示して議論のきっかけを作りたいという目的の展示だったそうですが、議論の材料が足りなかったのではないかと思います。

 

角度がついた意見の作品だけではなく、違う着眼点の作品も合わせて展示することで鑑賞者の感情を逆撫ですることなく冷静に考えるきっかけを与えられたのでは?

 

面白そうな展覧会なのに勿体ない…。

 

しかも展示から3日で閉鎖ということで、表現の不自由展なのに運営自ら不自由にしていて滑稽ですね。

 

作品をつくった作家に対しても失礼かなあ。

また展示中止で作品見てもらえなかったなあという気持ちになりますよね。

 

 

 

 

 

さて、今日も「マンガでわかる「日本絵画」のテーマ」(誠文堂新光社 監修矢島 新)を読んでます。

 

 

今日は昨日取り上げた当麻曼陀羅の見方を紹介します。

 

 

昨日のブログ↓

一夜で編まれた?!極楽往生の世界ー当曼陀羅ー - リアル絵描き日記

 

当麻曼陀羅は奈良の當麻寺に伝わる曼陀羅です。

 

中将姫という姫が當麻寺で尼になったときに 、お告げを聞いて蓮の茎の糸で一夜にして浄土の世界を表現した曼陀羅を編み上げました。

 

それが当麻曼陀羅です。

 


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当麻曼陀羅は転写本が全国に出回りました。

 


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死んだらどこにいくのか気になる人が多かったんでしょうね。

 

 

気持ちわかる。

 

 

そして当麻曼陀羅には何が描かれているかを今日は見ていきます。

 

 

 

 


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絵を見ると中央部文には浄土の様子が描かれています。

 

 

 

 

 

真ん中には阿弥陀如来

まわりには菩薩がいます。


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中央の前面は蓮池です。

往生者が生まれ変わっている様子が描かれています。


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中央の後ろの空中には散華や楽器と共に飛天(天人と天女)が舞っています。

 


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ここまでは言われなくても何となくわかりますよね。

 

問題は中央部文をぐるっと囲んでいる部分です。

(両端&下部分)



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サイコロゲームのコマに見える…

 

 

 

まずは下の部分から見ていきます。

 


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黒い部分には当麻曼陀羅の由来について記されているそうです。

 


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そしてこの黒い部分を抜かすと9個のコマになります。

 

 

ここに描かれているのは「九品往生」(くほんおうじょう)のそれぞれの様子です。

 

 

九品往生というのは、浄土教極楽往生には九つの階位があり、人の往生には上品・中品・下品、さらにそれぞれの下位に、上生・中生・下生、合計9ランクの往生があるというものです。

 

 

絵には向かって右側へいくにつれて往生のランクが上がっていきます。→


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下品下生→下品中生→下品上生→中品下生→中品中生→黒いコマ(当麻曼陀羅の由来)→中品上生→上品下生→上品中生→上品上生

 

 

 

 

絵と合わせてみるとわかりやすいかも。↓

 

一番左

下品下生


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左から二番目

下品中生


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左から三番目

下品上生


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左から四番目

中品下生


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左から五番目

中品中生


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由来が記されてる黒いコマの左から一番目

中品上生


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由来が記されてる黒いコマの左から二番目

上品下生


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由来が記されてる黒いコマの左から三番目

上品中生


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一番右のコマ

上品上生(最高ランク)



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ランクが上がっていくにつれて多くの仏が迎えに来てくれることがわかります。

 

 

ちなみにこの「九品往生」は、「観無量寿経」(かんむりょうじゅきょう)という経典の註訳書「観経疏」(かんぎょうしょ)のなかに書かれています。

 

 

 

 

 

ランクアップ=迎えに来る仏様多くなる、なんですね。

 

 

明日は両脇のコマ(と表現していいのか?)について見ていきます。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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一夜で編まれた?!極楽往生の世界ー当曼陀羅ー

今日も生きてます。

 

骸骨を描いてます。

 

参考に骨格模型を購入しようかなあと悩んでいたところ、骨格の3Dをどの角度からでも見ることができるアプリを発見!

 

便利な世の中になったなあ。

 

 

 

さて、今日も「マンガでわかる「日本絵画」のテーマ」(誠文堂新光社 監修矢島 新)を読んでます。

 

 

昨日は曼陀羅とはナニ?という界でした。

曼陀羅(まんだら)ってナニ? - リアル絵描き日記

 

 

もともとは密教の宇宙観を表現したもので、日本には最初に空海が唐から伝えました。

 

 

それがもとで密教以外の絵画にも曼陀羅の形式が使われるようになります。

 

 

 

 

 

 

今日はその中のひとつ、「当麻曼陀羅」(たいままんだら)について見ていきます。

 


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綴織当麻曼荼羅

 

当麻曼荼羅図に描かれている内容は、密教の教えとは全く関係ありません。

 

 

描かれているのは極楽往生の世界です。

 

当麻曼陀羅ができた背景には中将姫の伝説があります。

 

 

 

 

中将姫って誰?


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月岡芳年『皇国二十四功』より「当麻寺の中将媛」

 

 

藤原鎌足の曾孫である右大臣藤原豊成とその妻の娘として生まれます。

 

 

母親は中将姫が5歳の時に亡くなってしまいます。

 

 

美貌と才能に恵まれた中将姫でしたが、継母である照夜の前に憎まれるようになります。

 

盗みの疑いをかけられての折檻などの虐待を受けるようになります。

 

 

 

中将姫14歳、豊成(おとん)が出張にでると、照夜の前は家臣に中将姫の殺害を命じます。

怖いですね。

 

 

家臣が中将姫を殺害しようとすると、中将姫は命乞いをしません。

 

そして亡き実母への供養を怠らず、極楽浄土へ召されることをのみ祈り、読経を続ける中将姫を家臣は殺害することができません。

 

 

そして雲雀山の青蓮寺へと中将姫を隠しました。

 

 

翌年、豊成(おとん)が見つけて連れ戻します。

 

 

そして中将姫は『称讃浄土佛摂受経』1000巻の写経をしました。

(すごいな…)

 

 

中将姫16歳、淳仁天皇より後宮へ入るように望まれるますが、これを辞退します。

 

そして當麻寺へ入り尼になりました。


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29歳で亡くなります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中将姫の伝説

 

そして當麻寺で尼になった中将姫ですが、そこで伝説を残します。

 

これが当麻曼陀羅の由来です。

 

 

1000巻の写経をした中将姫は日の沈みかけた西の空に阿弥陀如来と極楽浄土の光景が浮かびあがるのを見ます。

 

そして導かれるように當麻寺で出家し、ひたすら極楽浄土を願います。

 

 

蓮の茎を集めよ…

というお告げを聞き、蓮の茎の糸を取り出し、観音の助力を得て一夜にして「当麻曼荼羅」を織り上げました。

 

 

そして姫が29歳の時、生身の阿弥陀仏と二十五菩薩が現れ、姫は西方極楽浄土へと旅立ちました。

 

 

 

 

中将姫が織り上げた當麻寺の当麻曼陀羅は縦横4メートルの大きなものでしたが、鎌倉時代になると原画を小さくした転写本が出回り、日本全国で大流行しました。

 

 

 

みんな死んだらどうなるか知りたかったんでしょうね。

 

 

 



明日に続きます。

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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曼陀羅(まんだら)ってナニ?

今日も生きてます。

 

暑い日は外には出ずに自宅で絵を描き書物を紐解くのがいいですよね。

 

プール…海…行きません!!

 

実は季節に関係なくインドアな毎日です。

 

 

 

 

 

 

さて、今日も「マンガでわかる日本絵画のテーマ」(誠文堂新光社 矢島新監修)を読んでます。

 

 

 

 

 

曼陀羅(まんだら)について見ていきましょう。

 


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曼陀羅は、仏を中心に様々な如来や、菩薩などを配置した図です。

 

もともとは密教(仏教の宗派のひとつ)の宇宙観を表現したものでした。

 

大日如来を中心としたものを「両界曼陀羅

 

それ以外の仏を中心とした「別尊曼陀羅

 

 

この形式が他の仏教絵画や神道などにも応用されるようになります。

 

 

 

 

密教を日本に伝えたのは空海です。

 

この曼陀羅を初めて日本に持ち帰ったのも空海でした。

 

空海は唐の高僧から経典と2つの曼陀羅を持って帰ります。

 

 

 

 

この2つの曼陀羅のことを「両界曼陀羅といいました。(大日如来を中心とした曼陀羅)

 

何故2つあるかというと、仏の世界が「悟りの世界の胎蔵界(たいぞうかい)」「知恵の世界の金剛界(こんごうかい)」が揃って完成されると言われるためです。

 

 

 

 

胎蔵界のことを表現した曼陀羅

胎蔵(界)曼陀羅(たいぞうまんだら)

 

金剛界のことを表現した曼陀羅

金剛界曼陀羅(こんごうかいまんだら)

 

この2つの曼陀羅のことを両界曼陀羅と言います。

 

 

少し複雑ですね。

 

 

 

 

 

 

 

空海が日本へ初めて持ち帰った曼陀羅を模倣するところから日本での曼陀羅の制作はスタートしました。

 

 


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「胎蔵(界)曼陀羅」(両界曼陀羅のうち)

13世紀

 


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理(仏教の教え)の世界を表す「胎蔵(界)曼陀羅

 

母胎のような大きな慈悲心によって悟りの世界が生まれることを表現しています。

 

中央の赤い蓮華の中央に大日如来がいます。

 

 

 


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金剛界曼陀羅」(両界曼陀羅のうち)

 


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強固な宗教的叡知である「智の世界」を表現している「金剛界曼陀羅

 

それぞれの四角形の中心に大日如来がいます。

 

四角が9つありますね。

 

金剛頂経(こんごうちょうぎょう)という経典に書かれた曼荼羅の中の9つが描かれています。

 

中央には1000尊以上の仏が描かれているそうです…。

 

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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炎舞に魅了されました。



今日も生きてます。

 

上野の不忍池の蓮を見に行きました。


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時期と時間が遅かったのか、思ったより花は咲いてませんでしたが、近くで観察することができました。

 

10時前に行きましたがやはりもっと早朝の方がいいのかもしれませんね。

 

カメラをもって撮影してる方もたくさんいました。

 

中にはちょっとしたバズーカ(?)みたいな筒上のカメラを持っている方もいて、驚きました。

 

 

 

 

 

 

以前ブログで速水御舟について取り上げ、展示会が行われているとかきました。

 

あやしい速水御舟 - リアル絵描き日記

 

人間の浅ましい美しさ - リアル絵描き日記

 

 

その展示会が明日まで!ということに気がつき(ギリギリセーフ!)、上野のあとに恵比寿の山種美術館に行ってきました。

 

 

恵比寿駅から駅から10分ほど歩いたところに美術館があるので、山種美術館に到着したときはたぶん少し溶けてたと思います。

 

 


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速水御舟展ということで、全て速水御舟の作品が約120点展示されていました。

 

 

山種美術館には初めて行きましたが、空いていると思ったら意外に人がたくさんいました。

カフェも並んでました…。

 

小さめの美術館でしたが、個人的にはこのぐらいがちょうどいい。

 

速水御舟の年にあわせて作品が展示されていました。

 

見る順番が丁寧につくられて案内されていたので展示会場で迷わずに鑑賞出来ました。

 

ところどころ速水の言葉や写真が飾られていて、芸術に対する思いなども知ることが出来ました。

 

会場は基本的に撮影禁止ですが、写真オーケーの屏風が一枚だけありました。

 

SNS対策でしょうか?

 


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↑の作品

 


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会場にて。↑↓


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かさぎかわゆい。

 

 

速水さんはいろいろな技法を試されていたので、見る方としてもマンネリせずに楽しめました。

 

↑のアジサイの表現も、日本画ではあまり見ない表現法方でしたので、目新しかったです。

 

 

そしてなんといっても一度は見たかった「炎舞」。

 

 

すごかった…

 

まず展示室が二つに別れていて、炎舞は小さめの展示室に飾られていました。

 

その展示室は壁などはグレーに統一されていて、照明は最小限に絞られていました。

 

 

その真ん中のいちばんいいところに炎舞が飾られています。

 


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↑は印刷されたカード

 

写真で見て印象もいいなあと思っていましたが、本物は部屋全体の演出も後押しして本当に燃えてました。

 

炎のところが光っているように感じました。

 

この作品を描くために速水御舟は焚き火を何日も見つめ続けたそうですが、作品を見てるとその速水御舟が見つめた炎を私も見ているような気持ちになりました。

 

炎自体は描写的な表現ではなく、デザイン化された炎なんですが、本当に燃えているようで不思議。

 

炎の粉みたいなものが炎の上に上がっていて、それがまたキラキラしていてそのものみたいできれいだったなあ。

 

私が蛾だったら躊躇なく中に入ってしまうような魅力的な炎です。

 

感動冷めやらぬというような感じです。

 

 

 

今日はここまで。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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