極楽往生の手引きー当麻曼陀羅ー
今日も生きてます。
あいちトリエンナーレの表現の不自由展が話題になっていますね。
公的資金の問題や、外交上の問題、運営の対応の問題など、様々な事を考えさせられました。
展示が中止になった作品を展示して議論のきっかけを作りたいという目的の展示だったそうですが、議論の材料が足りなかったのではないかと思います。
角度がついた意見の作品だけではなく、違う着眼点の作品も合わせて展示することで鑑賞者の感情を逆撫ですることなく冷静に考えるきっかけを与えられたのでは?
面白そうな展覧会なのに勿体ない…。
しかも展示から3日で閉鎖ということで、表現の不自由展なのに運営自ら不自由にしていて滑稽ですね。
作品をつくった作家に対しても失礼かなあ。
また展示中止で作品見てもらえなかったなあという気持ちになりますよね。
さて、今日も「マンガでわかる「日本絵画」のテーマ」(誠文堂新光社 監修矢島 新)を読んでます。
今日は昨日取り上げた当麻曼陀羅の見方を紹介します。
昨日のブログ↓
一夜で編まれた?!極楽往生の世界ー当曼陀羅ー - リアル絵描き日記
中将姫という姫が當麻寺で尼になったときに 、お告げを聞いて蓮の茎の糸で一夜にして浄土の世界を表現した曼陀羅を編み上げました。
それが当麻曼陀羅です。
当麻曼陀羅は転写本が全国に出回りました。
死んだらどこにいくのか気になる人が多かったんでしょうね。
気持ちわかる。
そして当麻曼陀羅には何が描かれているかを今日は見ていきます。
絵を見ると中央部文には浄土の様子が描かれています。
真ん中には阿弥陀如来。
まわりには菩薩がいます。
中央の前面は蓮池です。
往生者が生まれ変わっている様子が描かれています。
中央の後ろの空中には散華や楽器と共に飛天(天人と天女)が舞っています。
ここまでは言われなくても何となくわかりますよね。
問題は中央部文をぐるっと囲んでいる部分です。
(両端&下部分)
サイコロゲームのコマに見える…
まずは下の部分から見ていきます。
黒い部分には当麻曼陀羅の由来について記されているそうです。
そしてこの黒い部分を抜かすと9個のコマになります。
ここに描かれているのは「九品往生」(くほんおうじょう)のそれぞれの様子です。
九品往生というのは、浄土教で極楽往生には九つの階位があり、人の往生には上品・中品・下品、さらにそれぞれの下位に、上生・中生・下生、合計9ランクの往生があるというものです。
絵には向かって右側へいくにつれて往生のランクが上がっていきます。→
下品下生→下品中生→下品上生→中品下生→中品中生→黒いコマ(当麻曼陀羅の由来)→中品上生→上品下生→上品中生→上品上生
絵と合わせてみるとわかりやすいかも。↓
一番左
下品下生
左から二番目
下品中生
左から三番目
下品上生
左から四番目
中品下生
左から五番目
中品中生
由来が記されてる黒いコマの左から一番目
中品上生
由来が記されてる黒いコマの左から二番目
上品下生
由来が記されてる黒いコマの左から三番目
上品中生
一番右のコマ
上品上生(最高ランク)
ランクが上がっていくにつれて多くの仏が迎えに来てくれることがわかります。
ちなみにこの「九品往生」は、「観無量寿経」(かんむりょうじゅきょう)という経典の註訳書「観経疏」(かんぎょうしょ)のなかに書かれています。
ランクアップ=迎えに来る仏様多くなる、なんですね。
明日は両脇のコマ(と表現していいのか?)について見ていきます。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
明石 恵 Aya Akashi website - 明石 恵 Aya Akashi website