リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

オフィーリア

今日も生きてます。

 

 

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ミレイ「オフィーリア」

 

上の画像はミレイの作品「オフィーリア」です。

個人的に私の中でのラファエル前派といったらこの作品が思い浮かびます。森アーツセンターで一度見たことありますが、全て細密に描写されていて見ごたえのある作品でした。すごく時間かかったんだろうなあ。

 

オフィーリアはシェイクスピアハムレットという戯曲をモチーフにしています。絵に描かれている場面はオフィーリアという登場人物画狂気に陥り歌を口ずさみながら水の中に身を投じている場面です。

 

劇中に様々な花とその意味が登場します。絵の中の植物にもそれぞれ象徴的な意味をもっています。もちろん草木花が描かれているのかわかり、それぞれが細密画として成立するような質の高さで描かれています。

 

アトリエに持ち込んだ浴槽の中のモデルにポーズをとらせてランプで水を温めながら制作していたそうです。しかしミレイが制作に夢中になりランプが消えているのに気がつかなかったためモデルが風邪をひいてしまったことはよく聞く話です。ちなみにモデルの父親から訴えると脅され、ミレイは慰謝料と治療費を支払っています。ちなみにこのモデルは後にロセッティと結婚します。その後服薬自殺してしまいます。

 

昔の時代を舞台とした戯曲を主題としていますがこの絵が描かれた19世紀、女性が川に身を投じる事件はたくさんあったそうです。当時の鑑賞者にとっては絵空事ではなく今を生きるの若い女性の問題として現実的な側面もありました。

 

 

ラファエル前派はジョンラスキンの考えに影響されていたのでオフィーリアのようにすべてのモチーフを細密に描いていました。普通人間は近いものははっきりとみえ、遠いものはぼやけて見えるので、リアルに描こうとするときは視覚のメカニズムに倣って細かく描くところとぼかして描くところを描き分けます。ラファエル前派の作品は人間の視覚では自然にみることができない絵の組み立て方をしていました。自然に見えるように描くのが主流だった中では新鮮であったと思います。

 

 

ミレイとハント、ロセッティから始まったラファエル前派でしたが、制作と発表を続けていくうちに描き方も変わっていき、それぞれがそれぞれの道に進んでいきます。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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ジョン・ラスキンーラファエル前派支援者ー

今日も生きています。

 

実家で熊が出る夢を見ました。(実家という点がリアル)熊は近くでみるととても大きくて黒くて怖かったです。

とりあえず死んだフリをして乗りきりました。

現実で通用するかはわかりません。

 

 

さて、今日はラファエル前派を支持した批評家ジョン・ラスキンについてです。


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上はミレイが描いたジョン・ラスキンです。

肖像がですが背景の自然まで細部の細部まで描写されています。

 

 

ジョン・ラスキンは裕福なシェリー製造業者の家に生まれました。小さな頃から両親と共にヨーロッパ旅行へ出掛けていたそうです。

 

 

当時の教養の一環として水彩画や素描を習っていました。20歳頃になるとメソッドに基づいた技法を不自然と感じるようになり、自然観察に基づく科学的で精密な素描をしました。

 


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23歳でラファエル前派にも影響を与えた近代画家論第一巻を書きます。

 

その中でラスキンは自然の中に存在する美を、ひとつひとつが神の業である、それゆえにいかなる細部も神の叡知の顕現であると見なしていました。

 

そう主張するラスキンにとってラファエル前派の対象を細部にわたり写実的に描く態度は奨励すべきものでした。だからラファエル前派を擁護したのですね。

 

また、ラスキンはトマス・カーライルの中世主義の思想に影響を受けていました。

 

産業革命で物が豊かになったが、過去に比べてより多くの貧困も生み出していると考え、功利主義の競争社会である現代よりも、温情のある父権主義な封建社会の中世の方がいいところもあったのではないかという考え方です。

 

なんだかものが豊かになったのに貧困も生み出されるというのは現代にも通じますね。

 

ラファエル前派は15世紀のイタリアやフランドルの画家の作品に共感を覚えていました。中世に対する思いも共通していたんですね。

 

というよりもこの時代に中世という時代の美術も政治も再評価される風潮があったようです。

それまでは迷信と恐怖に満ちたイメージが中世にはありましたが、それがなくなりつつありました。

 

美術評論家やコレクターの間にもルネサンス美術に比べて稚拙と見なされていた初期イタリア・ルネサンス美術への関心が高まっていました。

 

あとラファエル前派のメンバーの一人ミレイとジョン・ラスキンが一緒に旅行したときにジョン・ラスキンの妻とミレイが恋をしてしまい、その後ジョン・ラスキンと離婚してミレイと結婚しています。

仲こじれそうですがその後もジョン・ラスキンとミレイは交友を続けたそうです。なんてこったい。

 

また、ジョン・ラスキンは風景画を描いたジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナーという画家も支援していました。

しかし彼が描いた裸婦をイメージを壊すという理由で全部焼却処分したそうです。

 

この人鬼畜だ。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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ラファエル前派⑤-ジョン・ラスキン-

今日も生きてます。

 

美術史の本や画家の本を読んでいると批評家の言葉が出てきます。美術の世界は画家がつくっているようにみえますが、批評家や学芸員研究者、画商やコレクターがつくっていっているのだなと思います。

 

ロイヤルアカデミーの教えに逆らうラファエル前派の作品に対する批判があがり、タイムズ紙に批判が載ると、ラファエル前派を擁護する投書を出した批評家がいました。

 

ジョン・ラスキン(1819-1900)

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ジョンラスキンはラファエル前派を高く評価する評論を行い、メンバーの親交を結び彼らを指導し、コレクターを紹介するなどして有力な後ろ盾となりました。

 

ラファエル前派のメンバーはジョンラスキンの著書「近代画家論」に影響を受けていました。そこにはルネサンス以降の絵画が様式化していることと、自然の真実を偽っているということ、自然の中から「そこから何も選ばず、何も拒まず、何も蔑むことなく」謙虚に自然を写し取るべきだということが書かれていました。

 

ミレイは自分の支持者であった詩人を通じてラスキンに支援を求めていたそうです。

 

 

明日はジョン・ラスキンについて。

 

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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ラファエル前派④

今日も生きてます。

 

ラファエル前派は制作と発表を続けていきます。仲間も増えていきました。

1850年

ナショナル・インスティテューション展

 

 
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ロセッティ

我は主の碑女なり

  

 

 

ロイヤルアカデミー展

 

 
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ミレイ

両親の家のキリスト

 

 
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ハント

ドルイド教の僧からキリスト教をかくまう改宗したブリトン人の家族

 

 

 

 

美術評論の世界ではラファエル前派がアカデミーが理想とする美術を批判し15世紀の美術に学ぼうとする若者に不信を抱き始めていました。ミレイの両親の家のキリストはモデルを理想化せずに写実的の描いたという卑俗性が批判されました。

 

 

1851年

ロイヤルアカデミー展

 

 

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ミレイ

マリアナ

 

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箱舟への鳩の帰還

 
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チャールズ・オールトン・コリンズ

修道院の想い

 

上の修道院の想いは透視図法と明暗法の無視、形態の美しさの欠如、細部への偏った傾倒を批判されました。「タイムズ」誌にラファエル前派を批判する記事が載ると、ラファエル前派を擁護するものが現れます。

 

続きは明日。

 

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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ラファエル前派➂

今日も生きています。

 

 

ラファエル前派の中心メンバーであるハント・ミレイ・ロセッティは1768年創立のロイヤルアカデミーの附属美術学校に通っていました。

ロイヤルアカデミーは古典的様式を是としていました。均整の取れた構図に遠近法と明暗法を用いてドラマティックに歴史画などを描き出す様式です。

 

 

ラファエル前派の三人はこの様式の事を画一的で色彩が濁り人物の身振りは大げさであると批判していたそうです。(確かに人物の身振りに関してはそうかも)

 

古典様式よりも15世紀のイタリアやフランドルの敬虔な信仰による細密な表現に共感を覚えていました。そしてそれぞれ中世の歴史や文学の一場面を描いていくようになります。

 

1849年

ロイヤルアカデミー展

 
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ミレイ

イザベラまたはバジルの鉢

 

 


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 ハント

コロンナ派とオルシーニ派の小競り合いで殺された弟の死に正義を獲得することを誓うリエンツィ

 

自由美術展


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ロセッティ

聖母マリアの少女時代

 

 批評の中では15世紀のフィレンツェ美術と共通点を指摘されおおむね好評でした。

 

自信を得た彼らは制作を続けていきます。

明日に続きます。

 

今日もご覧いただきありがとうございました。

ラファエル前派ー結成のきっかけー

今日も生きてます。

 

ラファエル前派に戻ります。

 

ラファエロ前派兄弟団を結成した三人の青年はミレイ、ハント、ロセッティです。

 

三人は1840年代後半にロイヤルアカデミーに附属した美術学校に通っていました。

 

裕福な家庭に生まれたミレイは幼少から卓越した才能をあらわしていて、11歳の最年少で学校に入学していました。

 

ハントは管理倉庫人の息子で苦労して附属の美術学校に入学しました。

 

ハントとミレイは学校で親しい間柄だったようです。

 

ロセッティはイタリア独立の亡命者が集う家で育ちました。少年の頃から詩作やデッサンに才能を表していたそうです。

…というかロセッティすごい家で暮らしていたんだな。

 

ロセッティはデッサンの訓練に必要な忍耐心にかけていたらしく、附属美術学校の三課程、古典・写生・絵画の最初の古典を修了することなくフォードマドックス・ブラウンという画家のもとに弟子入りします。

 




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ハントはロイヤル・アカデミー展に「聖アグネス祭の前夜」を出品し、それに魅了されたロセッティが交流を求め、一緒のアトリエで制作するようになります。

 
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1848年には三人は親しくなり、ロイヤルアカデミーの活動が形骸化し、凡庸な風俗画が主流を占めて沈滞化していた当時のイギリス画壇に新風を吹き込む計画に乗り出しました。かっこいいですね。

 

 

というかロセッティは行動力ありすぎですね。何かが違う。見習います。

 

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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象徴主義➂

 

今日も生きています。

 

幼稚園の頃お手洗いが男女共用で覗かれるのが嫌で我慢していました。今でもたまに男女共用のお手洗いに入らなければならない状況下の夢を見ます。昔サンフランシスコの小学校で(いろんな配慮のため)男女一緒のお手洗いにした。という記事をみましたが今どうなっているんでしょうか。慣れてないだけだと思いますが個人的にはそこじゃないなと思ってしまいます。

 

のっけからこのような話題で申し訳ありませんでした。相変わらず変な夢ばかり見ます。

 

象徴主義です。

ラファエル前派が美術史の中で象徴主義という区分で、物や人があふれた華やかな時代に反動的に生や死の不安などを象徴して表現したということを前回書きました。

 

 

今日は実際に象徴主義といわれた画家を紹介します。調べていたら私が好きな画家は象徴主義の画家多いです。

 

◎フランス

 

ギュスターヴ・モロー

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ピエール・ピュヴィス・ド・シャヴァンヌ

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オディロン・ルドン

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◎ドイツ

アルノルト・ベックリン

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自然の大きさと人間の小ささを対象的に描いた作品が印象的だったので、このちょっぴしエラそうなポーズを撮った自画像は意外でした。

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ヒトラーも何点かベックリーンの作品を所持していたそうです。

 

 

◎オランダ

ヤン・トーロップ

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ノルウェー

 

エドヴァルド・ムンク

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ちょうどいい感じに力の抜けたいいポートレイトですね

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オーストリア

グスタフ・クリムト

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◎ベルギー

フェルナン・クノップフ

 

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ジェームズ・アンソール

 

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画像はみつりませんでしたが、仮面をたくさん描いた画家です。

 

 

 

象徴主義は19世紀に華やかな社会をそのまま描いたフランスの印象派と同時代に人間の内面などを象徴的に表現しました。

 

ラファエル前派は象徴主義の中のイギリスの動きと考えるといいかもしれません。象徴主義の画家みんな好きだなあ。クノップフの絵は浪人中模写模写してました。本物が見たい。

 

今日はここまで。

 

 

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

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