女子大生はいないの?18世紀イギリス美大生のアトリエ風景からわかる当時の男女格差。
今日も生きてます。
あと5日ですね。
一年ほんとうにあっという間です。
今年を振り返ると、世界がウィルスの影響を受けて今までとは全く変わりましたよね。
なにをするにも感染予防に努める(なければならない)世の中になりました。
人が集まれなくなったとか、テイクアウト・テレワークが増えたとか、常にマスクしてるとか…誰がこんな日常予測したでしょうか。
一番驚きなのは世の中がこんなに変わったのに、私の日常生活全く変わらないということです。
家出るときにマスクはしますが、外には基本出ないで家で作業しているし、旅行は好きではないし、人混みも苦手です。
私ってみんなと同じ世界に住んでるよね?とたまに心配になることがあります。
さて、今日は18世紀に設立されたイギリス最古の美術学校である「ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツ」のアトリエを描いた一枚の絵画を見てきます。
(※ブログタイトルのは美大生と表記しましたが、ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツは今は大学院に相当するようです。)
ヨハン・ゾファニー画「ロイヤル・アカデミーの会員たち」
ロイヤル・アカデミー・オブ・アーツはイギリス最古の美術学校で、1769年に開校しています。
創立メンバーは36名です。
↑の絵画ではその36名がアトリエに集合した様子です。
集合写真のようなものですね。
背景には石膏像のようなものが置かれています。
みんなびっちり正装っぽい服装をしている中に裸の男性がいます。
この方々はヌードモデルです。
実はこの創立メンバー36人のうち、2名女性がいます。
この絵の中に描きこまれているのですが、わかりますでしょうか?
すぐお分かりかもしれませんが、実はここに描かれています。
壁の絵の中に描かれているんですよね~。
見方によっては差別なの?
いじめなの?
と捉えられてしまいますが、これは当時の倫理観的に女性が裸の男性モデルを描くことを(というよりも同じ空間にいること)が良しとされていなかったためです。
そういったことから絵の中でも裸の男性モデルがいる空間と同じところに女性を描くことを止め、壁の絵の中に表現したのでしょう。
配慮という見方もできますね。
この壁に掛けられた女性画家二人はメアリー・モーザーとアンゲリカ・カウフマンです。
ジョージ・ロムニー画
メアリー・モーザーを描いた肖像画
メアリー・モーザーはロンドンに生まれです。
父親はスイス生まれの美術家で、親から美術の教育を受けていました。
24歳の時にロイヤル・アカデミー・オブ・アーツの創立会員に選ばれました。父親と共に会員になっているので、女性ながらにして会員になれたのは、才能だけではなく父親の力もあったのでしょう。
メアリー・モーザーの静物画
アンゲリカ・カウフマン画『自画像』
出典:アンゲリカ・カウフマン (画家) - Wikipedia
アンゲリカ・カウフマンはスイス生まれで、オーストリア育ちです。
裕福な家庭では無かったようですが、画家の父親から絵を教わり、母親からは複数の言語を教わりました。
自画像からもわかるように超美人な才女です。
複数の言語を話し、絵画だけではなく音楽にも優れていました。
立ち回りも上手だったようで社交界でも人気者になり、たくさんの注文をこなしていました。
アンゲリカ・カウフマン画『デヴィッド・ギャリックの肖像』(1741年)
出典:アンゲリカ・カウフマン (画家) - Wikipedia
以前ブログで絵画の画題にはヒエラルキーがあったということを書きました。
歴史画が頂点です。
画家としての権威を付けるには歴史画を描く必要がありました。しかし歴史画には男性を描く必要があります。
冒頭でも触れたようにアカデミーでは女性がヌードの男性モデルを描くことができなかったため、カウフマンの描く歴史画の男性は少し女性的です。
アンゲリカ・カウフマン画「ヘレネにパレスについていくように説得するヴィーナス」
出典:「人騒がせな名画たち」(木村泰司さん著、マガジンハウス)
芸術の都パリの官立美術学校でも女性の入学が認められたのは19世紀後半です。学びの場が少ない中活躍した女性画家たちはすごいですね。
カウフマンと同じ時代に活躍していたのはマリーアントワネットの肖像画で有名なルブランです。
(個人的にはカウフマンよりルブランの方が良い絵だと思う。対象に愛がある。)
1790年にフィレンツェで描かれた自画像。
出典:エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン - Wikipedia
モスリンのシュミーズ・ドレスを着た王妃マリー・アントワネット
出典:エリザベート=ルイーズ・ヴィジェ=ルブラン - Wikipedia
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。