笑顔は愚かな人間⁈オランダの風俗画「幸せな夫婦」が本当に表現していることは戒め?
今日も生きてます。
「シャイニング」という映画を見ました。
ホラー映画です。
大雪で外界から遮断されてしまうホテルの冬の間の管理を任された一家が、自分たち以外誰もいるはずのないホテルで異様な体験を重ね、少しずつおかしくなっていく…
家族は一体どうなるのか?
このホテルには何が隠されているのか?
というような内容の話です。
Amazonプライムで視聴しましたが、冒頭からミュージックが怖すぎてガタガタしてしまいました。
映像は何も怖くないのですが、「これから、怖いこと、起こりまっせ」という印象を与えられすぎてしまい、とにかくミュージックが心に効きすぎてしまいました。
なので映画前半は無音で楽しみました。
(なんとか乗り切れた。)
私と同じホラーを見たいびびりさんにはお勧めの視聴方法です。
「シャイニング」面白かったです。
がんばって見たかいありました。
さて、今日も「人騒がせな名画たち」(木村泰司さん著、マガジンハウス)を読んでいます。
著者である木村さん独自の目線で名画を解説している本で、大変面白いです。
その中のオランダ風俗画の説明が興味深かったので取り上げます。
何故オランダでは風俗画がたくさん描かれたのか?
西洋絵画とひとくくりにしても、それぞれの国で文化は違います。
何を美しいとするのかという美的価値観が違うのです。
黄金時代と呼ばれた17世紀オランダでよく描かれたものは風俗画で写実主義の絵画です。
対してフランスは古典主義(理想主義)の絵画を良しとしていました。そしてフランスのアカデミーでは絵画のジャンルによってヒエラルキーがありました。
フランスで風俗画は下位に位置します。
なのでオランダの絵画はフランスではあまり評価されなかったようです。
オランダで風俗画がたくさん描かれた背景の一つには、偶像崇拝を禁じるプロテスタントの社会であったことがあります。
カトリックと違い、祭壇画の注文がないということです。
そうすると画家の顧客は市民階級になります。なのでフランスではヒエラルキーの下位に属する風俗画、風景画、静物画がオランダでよく描かれたのです。
「幸せな家庭」夫婦の笑顔が意味するものは?
オランダの風俗画は何もない日常の一場面を描いているようで、キリストへの倫理観への導きを表現しています。
ユディト・レイステル画「幸せな家庭」
↑の作品も現代人からすると、ささやかな幸せを称賛するような絵画です。
しかし実際には真逆といっていいことを示しています。
笑顔
この時代、笑顔は自己抑制の欠如とみなされていました。
17世紀のオランダ絵画で笑みが描かれる場合は自制することができな愚かな人間であることを示しています。
楽器の演奏
伝統的に楽器の演奏は性行為を示唆し、肉欲に対する戒めを意味しています。
楽器の音色ははかない快楽を象徴します。
飲酒
この絵画の場合、自己抑制の欠如を戒める演出になります。
総括すると絵画が言いたいことはこのような人間になってはいけないというようなことを意味しています。
どうしてこんな教訓じみた絵を飾りたいのか私には理解ができません。プロテスタント独特の感覚なのでしょうか…
女性画家ユディト・レイステル
「幸せな夫婦」を描いた画家はユディト・レイステルです。
ユディト・レイステル画『21歳頃の自画像』(1630)
女性画家です。
当時のオランダで画家になる女性は大変珍しかったようです。しかも両親が画家だとか、そういった家系でもありません。
レイステルは地元の醸造業者で衣類業者のヤン・ヴィレムスツの第8子として生まれました。芸術家の組合に入り、正式に画家として活動していました。
レイステルの他の作品を見てみると、「笑顔」が笑顔を称賛して描かれたものではないことを感じ取ることができます。
見てみましょう。
ユディト・レイステル画「ネコとうなぎを持つ少年と少女」
ユディト・レイステル画「陽気な三人」
ユディト・レイステル画「上機嫌の酔っ払い」
いかがでしょうか?
全て笑顔の作品ですが、寓意や教訓が込められていそうですよね。
少年が笑顔で持つうなぎもどんな意味があるのかと調べてみましたが、見つからないですね。
(気になる…)
引き続き気にかけておいてわかり次第ブログで報告します。
オランダの風俗画を飾ろうとする人の気持ちはまだ解せない…
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。