神聖隊
今日も生きてます。
「黄金のアデーレ名画の帰還」という映画見ました。
この作品がナチスから返還されたということは知っていましたが、詳しい背景(どこまで事実に忠実であるかはわからないが)は知らなかったので面白かったです。
池上英洋さん著の西洋美術史実践編の中にナチスからの返還を認めた事例として紹介されており、返還された数ヵ月後に凄い額で化粧品会社に売っていた事から、個人的に金銭目的で返還を求めたのかと思っていましたが、映画ではそのような表現はなかったので印象が変わりました。
しかし映画中日長い裁判の末勝利し、返還が決まった後でも心が晴れずに亡くなった両親に思いを馳せるマリア(絵画の所有者)の描写があり、遺品でも結局絵画は物でしかないと思わされました。絵画の置場所などを理由に映画中では絵画を化粧品会社に売っていましたが、本当に思い入れがあったら身近に置いておくはずです。
さて、今日は池上英洋さん川口清香さん著「美少年美術史」を読んでます。
美少女美術史が18世紀頃から始まっていることに比べ美少年美術史が古代ギリシャからはじまっているのは大きな違いですね。
古代ギリシャの一般的な住居には「アンドロオン」なるものがありました。
アンドロオンは男性専用の部屋で宴会などが催される場所であったそうです。しかし家族でも一般の女性は同席できず、「ヘタイラ」と呼ばれる高級娼婦が男性の相手をしていました。
ヘタイラは性的魅力、宴会を盛り上げる会話術、躍り、楽器の演奏といった技術が求められ、その点日本の芸者に近い存在でした。
ジャン・デルヴィル
「プラトン・アカデミ―」
このアンドロオンを舞台に会話をする模様を描いた作品がプラトンの饗宴です。
プラトンは哲学者で、ソクラテスの弟子でした。たくさんの著作があり、「饗宴」の中ではアンドロオンに集まった男性たちが愛(エロス)について意見を述べ合っています。
最終的には「知への愛」(フィロソフィア)へと導かれます。しかしその前にそこかしこで少年愛が称賛されています。
意見のなかには、自分が恥ずかしい状態にあるのを特に見られたくないのは恋人である。
ならば恋人同士だけで構成された部隊があれば奮闘するのではないか。
というものもありました。
実際に紀元前四世紀のテーバイで、150組のカップルからなる300百人編成を基本とする「神聖隊」(ヒエロス・ロコス)という軍隊がありました。
強力で、もちろんカップルは男女ではなく「年長者&年少者」でした。
イザーク・ヴォルラーフェン
「エパメイノンダスの死」
男性カップルで構成された神聖隊を描いた絵。
中央の目立った男性二人、カップルです。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。