リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

あやしい土蜘蛛

今日も生きてます。

 

おっきな蜘蛛を手づかみする夢を見ました。

 

おかんがドン引きする中、かわいいじゃんと気に入ってました。

 

実際に見たらびびるだろうなあ。

 

 

そして今日の絵もたまたま土蜘蛛なのです。

 

 

 

今日の一枚


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↑「土蜘蛛草紙」(14世紀、重要文化財

 

14世紀というと鎌倉時代の古い絵です。

 

そんな古い絵なのですがちょっと変。

特に左側の人。


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土蜘蛛草紙というのは源頼光の土蜘蛛退治の物語絵巻です。源頼光平安時代の武将です。


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源頼光菊池容斎前賢故実』より

 

 

土蜘蛛草紙あらすじ(Wikipedia参考)

 

 

源頼光が家来と空飛ぶ髑髏を見つけ、それを追って古い屋敷にたどり着きます。

 

そして屋敷内で次々に異形のものと遭遇します。

 

明け方近くに現われた美女を頼光が斬ると、白い血のあとを残して消え去ります。

 

白い血のあとをたどって行くと、西の山の洞穴にたどり着き、化け物が苦しみながら現われました。

 

化け物を洞穴から引きずり出して首を斬ると、それは巨大な山蜘蛛でした。

 

傷口からは、死人の首が1990個と、人間の子供くらいの大きさの小蜘蛛が数知れないほど現われます。

 

頼光らは山蜘蛛の首を埋め、その住処を焼き払って平安京に帰りました。

 

 

 

 

 

絵の中に描かれているのは化粧をした巨大な顔の尼です。

上半身裸なのもなんとも言えずあやしいですね。

 

物語によると、顔が2尺、体が1尺、手は糸のようにほそい。そして紫の帽子をつけて緋の袴をつけている、そうです。

 


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↑は土蜘蛛を退治している様子の絵ですね。

 

絵のタッチが素朴なのに描かれている内容が凄絶です。

 

武将二人が淡々と作業しているようにみえますね。蜘蛛の方が表情豊か。

 

今夜の夢にこの蜘蛛が出てきたら立ち向かうしかない…

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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皿が足りない…うらめしや~へ(^^へ)

今日も生きてます。

 

木を彫ったり樹脂を流し込んだりしてます。

 

思ったようにいかないな…


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さて、今日も「あやしい美人画」(東京美術 松嶋雅人著)を読んでます。

 

 

今日は有名な怪談・さらやしきの絵です。


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上の作品は葛飾北斎が描いた「百物語さらやしき」です。

 

葛飾北斎については過去にブログで触れています。

葛飾北斎ー天才と数々の逸話ー - リアル絵描き日記

 

お皿が1枚…2枚…一枚足りない…うらめしや~

というのは知っていますが、実際にどういう話なのかは意外に知らなかったのであらすじをWikipediaから引用します↓

 

 

菊という下女が奉公していた。承応二年(1653年)正月二日、菊は主膳が大事にしていた皿十枚のうち1枚を割ってしまった。

 

怒った奥方は菊を責めるが、主膳はそれでは手ぬるいと皿一枚の代わりにと菊の中指を切り落とし、手打ちにするといって一室に監禁してしまう。

 

菊は縄付きのまま部屋を抜け出して裏の古井戸に身を投げた。まもなく夜ごとに井戸の底から「一つ……二つ……」と皿を数える女の声が屋敷中に響き渡り、身の毛もよだつ恐ろしさであった。

 

やがて奥方の産んだ子供には右の中指が無かった。やがてこの事件は公儀の耳にも入り、主膳は所領を没収された。

 

その後もなお屋敷内で皿数えの声が続くというので、公儀は小石川伝通院の了誉上人に鎮魂の読経を依頼した。

 

ある夜、上人が読経しているところに皿を数える声が「八つ……九つ……」、そこですかさず上人は「十」と付け加えると、菊の亡霊は「あらうれしや」と言って消え失せたという。

 

怪談は恐ろしいですが、皿割っただけでお菊さんも気の毒でしたね。

 

 

落語でもこの「さらやしき」をネタにしているものがあり、面白いです。

 

葛飾北斎の絵の中では重ねられた皿の植えにお菊の顔がついていて、あやしいというより面白いですね。

 

ちなみに最後の浮世絵師月岡芳年もお菊さんを描いています。

 


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芳年のお菊さんは想像通りで分かりやすいお菊像です。

 


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お菊虫
『絵本百物語』竹原春泉画↑

 

このお菊さんは怖い。

 

 

 

この二枚と比べると葛飾北斎のお菊像のユニークさがわかります。

 

こんなものが井戸の中から出てきたらびっくりしますね。

 

 

怖がりですがお寺で蝋燭を立てて百物語憧れます。夏っていいな。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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錯視の最前線



今日も生きてます。

 

今日は明治大学博物館で開催中の「立体錯視の最前線」という展覧会を見てきました。

 


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錯視の解明を研究テーマのひとつとしている明治大学先端数理科学の研究チーム企画の展覧会です。

 

ある方向から見ると現実にはあり得ない立体を見ることができます。

 

↓は形は違うように見えますが、鏡に写っている立体と手前の立体は同じものです。

 


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鏡の中ではスペードやハートになって見える



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どゆこと?と思いますが、違う方向から見ると立体のかたちが認識しているものとは違うことがわかります。

 


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展示室には面白い作品がたくさんありました。

 

図録も買ってしまいました。

 


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このあり得ない立体たちを生み出すには数学の方程式が必要なようです。

 


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なぜ数式から立体錯視が生まれるのか私には理解が追い付かないです。

 

じっくり図録を読み込みたいと思います。

 


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しかも無料で入れます。

おすすめです!

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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ツバキ文具店

今日も生きてます。

 

午前中は読書してました。

(白い恋人をかじりながら)

 

ドラマ化もされた「ツバキ文具店」です。


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鎌倉を舞台に代筆屋と文房具店を営む主人公の話です。

 

ラジオドラマにもなっていて、それを聞いたことがあったので大体の内容は知っていましたが、本には主人公が代筆した手紙が絵として文中に差し込まれていて印象が変わりました。

 

主人公のもとには様々な手紙の代筆の依頼が舞い込みます。

私の代筆のイメージは便箋と手紙内容などは依頼人が決めるものと思っていましたが、本の中では手紙内容も便箋も代筆屋任せでした。

 

お金の無心を断る依頼

病気になってしまった親しい友人に昔貸したお金を催促する依頼

離縁状

離婚を切り出す手紙、それに対して別れたくないという依頼

亡くなった人からの手紙の依頼

 

などなど…

 

もし私がこの依頼来たら内容考えるのもどんな紙使うのも悩むな~という難題ばかり。

 

 

ただ字を書くだけではないんですよね。

そこが面白いです。

 

 

そして登場人物たちが鎌倉の土地をよく歩き回るんですよね~

本には地図ページもあります。

 


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つるやの二世帯住宅食べたい

 

鎌倉遊びにいきたくなくなるような作品です。著者が鎌倉に在住してるのかな?

 

 

 

 

ネットで調べると代筆屋のサービスもたくさんあるようです。

 

手紙を通して問題解決を図るのが代筆屋さんなんですね。

 

 

私が頼むとしたら歴史上の人物とか二次元のキャラクターから私宛に書いてほしいですね。

ドラえもんとか。

 

 

 

今日は簡単ですがここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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浮世絵の美人はなぜ皆同じ顔なのか

今日も生きてます。

 

梅雨らしい一日でした。

 

アマゾンプライムに入っていて、映画を視聴できる特典があるので利用しています。

 

ゆれる人魚」という題名の映画を見ました。


ポーランドアグニェシュカ・スモチンスカ監督の作品です。

 

映画に詳しくないのですが、あやしい題名に惹かれて見てしまいました。

 

内容はアンデルセンの「人魚姫」をアレンジした異色ホラーファンタジーです。

 

共産主義時代のポーランドが舞台で、ギリシャ神話のセイレーンを彷彿とさせる肉食人魚姉妹が、ナイトクラブで働く人間に拾われるところから話ははじまります。

 

おとぎ話をネタにした話は、結末をどうするかで監督の価値観が出るところ。(と思っている。)

 

とばしとばし見ました(ミュージカル?風なのかディズニーを皮肉っているのか登場人物がやたら歌い出す。)が話の展開や結末は普通でした。

 

ですが全体的に画面が暗くて雰囲気は好きでしたし、人魚の尾ひれと人間の足を交換する手術シーンで、オペ担当の闇医者が雑すぎて逆に面白かったです。

 

じっとりした日にはちょうどいい作品でした。

 

 

 

さて、今日はあやしい美人画ではなく、「浮世絵ことば案内」(小学館田辺晶子著)から気になった所を紹介したいと思います。

 

 


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上の作品は喜多川歌麿の「江戸三美人」という作品です。

 

寛政三美人と謳われた評判のむすめたちを描いた浮世絵です。

 

でも顔みんな同じですよね?

 

 

本のなかではなぜ美人が同じように描かれているのか説明していました。

 

実在の人間であったならばそれぞれもう少し個性があったのではと思いますが、絵の中で個性的に顔が描き分けられることはなかったようです。

 

顔は常にその時代の好みが反映されていて、どこで特定の人物とわかるかというと、名前が記されていたり、持ち物でわかったり。

 

江戸三美人ではそれぞれが花・月・雪とかかれた内輪を持っていて、それによって名前や所属がわかるようになっています。

 

浮世絵を時代ごとにみていくと、そのときの顔の流行がわかるそうです。

 


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ちなみに上の浮世絵は歌川国貞の「北国五色墨 河岸見世」です。

 

顔の趣がだいぶ江戸三美人と違いますが、これは文化8年頃の浮世絵で、清純派の美人よりも、絵の中の女性のように凄みのある女性が魅力的とされた流行もあったんですね。

 

楊貴妃もすごく太ってたらしいですし、美的価値観て時代によってだいぶ違いますね。

自分が生きてる間に時代が追い付いてくれないと困りますね。

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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あやしい歌川国芳

今日も生きてます。

 

今週は浮世絵の知識を深めるべくこれを読みます。


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今日の一枚↓


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歌川国芳(うたがわくによし)の浮世絵「四代目市川小団次の於岩ぼうこん」です。

 

歌川国芳は江戸時代後期の浮世絵師です。

 

歌川国芳で有名なのは↓の作品ではないでしょうか?


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『相馬の古内裏』

 

歌川国芳(1797-1861)は日本橋の染色屋の子供として生まれます。

 

15歳で歌川豊国入門しました。

 

1827年頃に発表した大判揃物『通俗水滸伝豪傑百八人』の『水滸伝』のシリーズが評判となります。

 

“武者絵の国芳”と称され、人気絵師の仲間入りをしました。

 

 

しかしその後、水野忠邦による天保の改革で質素倹約、風紀粛清の号令のために1842年には国芳人情本艶本が取締りによって絶版処分となってしまいます。

 

 

江戸幕府の理不尽な弾圧に、国芳は浮世絵で皮肉をぶつけます。


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源頼光公館土蜘作妖怪図』(1843年)

 

平安時代の武将源頼光による土蜘蛛退治が題材ですが、妖術に苦しめられているのは頼光ではなく将軍・徳川家慶を表現していて、国家が危ない時に惰眠をむさぼっていると批判しています。

 

 

そして妖怪たちは天保の改革で禁止されたものを比喩しています。

 

富くじが禁止された富くじ妖怪、歯のないろくろ首には歯なし→噺など寄席の禁止を恨んだものなどなど。

 

 

幕府は国芳を要注意人物と徹底的にマークします。

 

国芳は尋問を受けたり、罰金を取られたり、始末書を書かされたりしましたが、国芳の筆は止まらず、幕府を風刺する国芳は江戸の人々から人気を集めました。

 

 

そして水野忠邦が失脚したあとも江戸の人々が驚く作品を制作します。

 

1861年に65歳で亡くなりました。

 


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↑こんな面白い絵も描いてます。

『みかけハこハゐが とんだいゝ人だ』

 

 

幕府に対して風刺画を描いていたとはまさに江戸っ子という感じです。江戸の人々から愛された絵師だったんだろうなあ。

秋田生まれの私には反骨精神ないなあ。マイルドだからね。

 

↓は歌川国芳の自画像


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きょうの一枚の於岩ぼうこんは、四谷怪談を元とした歌舞伎の演目が題材となっています。

 

四谷怪談とは元禄時代に実際に起きた事がもととなってできた怪談です。

 

その怪談は歌舞伎や落語など、様々な演目の元となっています。

 

それぞれ話はアレンジされていますが、基本的には妻お岩が、夫である伊右衛門に惨殺され、それをお岩が幽霊となって復讐を果たすというものです。

 

 

歌川国芳の浮世絵では惨殺されたお岩が着飾った姿で現れ、やがて変わり果てた幽霊の姿になるという場面を着飾った姿の於岩と亡霊が重なって踊るという風な表現をしています。

 

 

後ろの霊がこわいですね。

 


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今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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あやしい幽霊図

今日も生きてます。

 

スマフォにきょう何歩歩いたかわかる機能があるのですが、300歩未満でした。


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引きこもりだ…。

 

さて、今日も「あやしい美人画」(東京美術出版 松嶋雅人著)を読んでます。

 

きょうは二枚紹介します。



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↑は月岡芳年の「幽霊之図 うぶめ」です。

 

月岡芳年は以前ブログで取り上げました。

最後の浮世絵師ー血まみれの芳年ー - リアル絵描き日記

 

うぶめ(産女)は日本の妊婦の妖怪です。

 

死んだ妊婦をそのまま埋葬すると「産女」になるといわれていました。

 

産女は血に染まった腰巻きを纏い、子供を抱いて、連れ立って歩く人を追いかけるとされます。

 

色々なバリエーションの話が各地に残っています。

 

芳年の作品では女性が抱いた赤ん坊の足だけ見えます。

 

顔に手を当てる様子から悲しみがつたわります。

 


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↑は長沢芦雪が描いた「幽魂の図」です。

 

長沢芦雪も以前ブログで取り上げました

長沢 芦雪はどんな人? - リアル絵描き日記

 

長沢芦雪も幽霊の作品を描いているんですね。

 

何の幽霊を描いているのか…?

画面右上にには漢詩が記されています。

 

黄昏時に何を怨んでいるのか、佇む幽霊に冥途の事を尋ねてみても無言でただにらんでいるだけだ

 

という内容です。

 

 

ふわっと現れた恨みの情念という感じがよく伝わる絵ですね。

黄昏にこれを見たら一瞬まぼろしかな?と思います。

 

幽霊の姿はほとんどが作家のイメージで描かれることになります。

 

昔の虎の絵もそうですが、想像上の存在は作家の個性が出るので面白いですよね。

 

あ、でも実際になにか見える人もいるのかな…

 

わたしは霊感ゼロです。

 

でもこわがりです。

 

 

今日はここまで

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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