リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

挿絵黄金時代って知ってる?①

今日も生きてます。


前々回から妖精の作品をブログで取り上げてきました。

 

 


妖精のことを考えていたら視界の隅に何かが横切り、

 

ついに私にも妖精の国からお迎えが来たか!

(アリエッティカモン!)


と胸高鳴りましたが、

普通にかわいいサイズの蜘蛛でした。


私の現実にファンタジーの訪れはまだ無いようです。

残念だ。

 

蜘蛛が私に話しかけてきていると感じたら、とりあえず病院行きます。

(耳鼻科へgo)

 


今まで画家には興味があったので、調べたり見たりしてきましたが、「挿絵画家」についてはあまり知りませんでした。

 

ところが荒俣宏先生の著書「新編 妖精画廊」によると、「挿絵黄金時代」と呼ばれる美しい装飾絵本が作られた時代があったらしいのです。


黄金時代という響きが気になったので、今日は挿絵画家挿絵黄金時代について取り上げます。

 

 

 

「挿絵黄金時代」は、

 

イギリスを中心として19世紀後半から1930年頃に挿絵絵本が盛んだった時期

 

のことです。

 

背景にはその時代に印刷技術が発達したということがあります。

 

 

〇初期の印刷方法〇

 

ウッドカット

版の材料 :おもに木材

版の作り方:下絵の線を浮き彫りにしていく。

 

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木版画 1497-1498年 アルブレヒト・デューラー 『黙示録の四騎士

アルブレヒト・デューラー - http://www.wga.hu/html/d/durer/2/12/2apocaly/index.html, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=95226による
  

 

ラインエングレーヴィング

版の材料 :主に銅や鋼

版の作り方:下絵の線の部分を直接彫り刻んでいく。

 

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◎銅版画 1514年 アルブレヒト・デューラーメランコリア I』

 アルブレヒト・デューラー - [1], パブリック・ドメイン,https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1619913により引用

 

 

上の作品を見るとわかると思いますが、どちらかというとエングレーヴィングの方が細かく表現できるため、 16世紀後半になると銅版画の時代になります。

 

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◎混合技法作品(エッチング・ドライポイント・エングレービング)

1647ー49年  レンブラント 

                                   

 

 

                           

〇18世紀以降の印刷技術〇

 

印刷技術は発展していき、様々な印刷技術が開発されます。

 

 

リトグラフ

1798年に発明された印刷技術です。

 

版の材料 :石板、現在では金属板も使用する

版の作り方:水と油が反発することを利用して版を作ります。

 

 

油脂が含んだ描画材で版に直接描画します。印刷(インクをのせる)の工程で効果が出やすいようにするため、版に薬品を塗ります。

これで版は完成。

 

刷りの工程では、版を水で濡らし、次にインクをのせます。ここで描画した部分にのみインクが乗るようになります。

 

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リトグラフ 1896年 ロートレック 「ナポレオン」

アンリ・ド・トゥールーズロートレック - The Yorck Project (2002年) 10.000 Meisterwerke der Malerei (DVD-ROM), distributed by DIRECTMEDIA Publishing GmbH. ISBN: 3936122202., パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=159640により引用

 

 

 ロートレックのポスターはリトグラフの技術が使われています。ちなみにこのリトグラフの技術は最初楽譜を印刷するために使われていました。

 

 

 

 

アクアチント

 

版の材料 :金属板

版の作り方:松脂やアスファルトの粉末等を利用し、薬品で腐蝕させてさせて版を作ります。

 

今までの印刷方法と違い、線ではなく面で表現することができます。面で明暗をつけることにより繊細なトーンを表現できます。

 

 

 メゾチント

 

版の材料 :金属板

版の作り方:ロッカーという専用の器具で版面を全体的に傷つけた後、白くしたい部分を削り取っていく。

 

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◎メゾチント 1826年 ジョン・マーティン 「夜の天国を守る天使」

ジョン・マーティン - Saint Louis Art Museum official site, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=5650017により引用
 

 

 

 

様々な印刷技術が開発され、多様な表現や多色刷りができるようになり、挿絵黄金時代で絵師たちが活躍する準備が出来上がります。

 

 

思ったよりも印刷する方法ってたくさんあるんですよね。

 

木版画はわかりやすいのですが、薬品を使って腐食させて版を作る感覚は実際にやってみないとわかりにくいかもしれません。

 

思った通りの表現を求めると版を作るのにとっても時間がかかります。大学在籍中に少しやりましたが、私には向いてない表現でした…。

 

その分同じ作品を制作出来たり、ちょっと違うバージョンを作れるのは良い点ですね。

 

アールヌーヴォーや、アールデコの時代に、ミュシャロートレックなどのポスターで有名になるイラストレーターが登場するのも、この時代に印刷技術が発達したことが背景にあるようです。

 

明日は挿絵黄金時代にどんな絵師たちが活躍したかをみていきます。

 

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

akashiaya.jimdofree.com