リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

象ー優しくって力持ち!ー

今日も生きてます。

 

 

乾燥に襲われています。

 

良い感じに手がパサパサで

 

 

手がぁ…!!手があああ!!

 

 

独りムスカごっこに忙しい今日この頃です。

 

(バルス!)

 

 

 

 

 

 

さて、今日はについて取り上げます。

 


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↑は俵屋宗達の描いた「白象図」です。

 

勢いよく描かれた白い象が印象的ですね。

 

この絵があるのは京都の「養源院」です。


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養源院は、淀殿が亡き父浅井長政の21回忌のために創建しました。

しかし、25年後に火災でなくなってしまいます。

 

(そしてその25年間に豊臣家は滅亡し、徳川家康による天下統一がなされます。)

 

その後、淀殿の妹であるお江与の手で養源院は再建されます。

 

なぜ豊臣側の人間のお寺の再建を、敵であった徳川家康が許したのかというと、有名な「血天井」に理由があります。

 

 

養源院の本堂の左右と正面の廊下の天井は、伏見城落城の際に自刃した武将たちの血がしみた廊下の板が使われています。

 

家康は天下統一のための戦いの中で自刃した敵方武将たちの供養のために、伏見城の廊下を養源院などの寺に分け与えました。

 

血天井」と呼ばれ、今でも血の跡があります。

 

 

 

 

 

 

〇なぜ象がモチーフになっているのか

 


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普賢菩薩像(東京国立博物館蔵)↑

 

仏教の中で白い象は縁起が良く、神聖な動物とされています。

 

お釈迦さまのお母さんである「摩耶夫人」は、六本の牙を持つ白い象が自分の右のわきの下から体に入ってくる夢を見て、自分が身ごもったということを知ったといわれています。

 

白い象はお釈迦様の前世の姿であるとも言われています。

 


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普賢菩薩像(鳥取・豊乗寺蔵)

また、普賢菩薩は白い象に乗っている姿で表現されます。

 

(普賢菩薩は超絶ざっくり説明すると、いつでも悟れるけど悟れてない人々を救うために現世にいるね!というような尊い存在です。)

 

 

供養のため、神聖な存在である白い象を描かせたのであろうと推察します。

 

白い象が有名ですが、獅子と麒麟の絵もあるようです。

 

 

 

 

宗達は象を見たことあったのか?

 

俵屋宗達の絵を見て思うことがあります。

宗達は象を見てこの絵を描いたのか?ということ。

 

俵屋宗達が何年から何年まで生きていたのかは明確になっていません。

 

 

ただ、日本に初めて象がやってきたのははっきりしていて、1408年です。

 

今のインドネシアから、室町幕府の将軍への贈り物として黒ゾウが船できました。

 

その後何度か日本には象がやってきましたが、その存在が庶民に知れ渡るきっかけになったのは徳川吉宗が中国から呼んだ象です。

 

 

当時の日本は巨船の建造を禁止していたため、陸路で数か月かけて江戸に向かうことになります。

 

 

象が江戸へ向かう途中、長崎についたのだから天皇陛下にも見てもらおうと京都に寄り道します。

 

当時天皇に謁見するには、相応の官位が必要でした。

 

 

そこで象には、「四位広南白象(じゅうよんいこうなんはくぞう)」位階が贈られます。

 

 

そして中御門天皇にご挨拶します。

 

美術品や書物でしか知らない象を見た天皇はいたく感激されたようです。

 

 

その後象が江戸に到着すると、江戸っ子たちは象舎に押しかけました。

象に関する大量の出版物が発行されます。

 


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英一蝶 『衆瞽象を撫ず』図

 

 


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北尾政美「鳥獣略画式」

 

象を描いた絵の中には、これは本物を見たっぽい、というようなリアルなものもありますが、資料を見て描いたであろうデフォルメされたものもあり、そこを推察して鑑賞するのも楽しい画題です。

 

おそらく俵屋宗達は本物は見たことなかったのではないのかな?

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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