リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

カラヴァッジョ

今日も生きてます。

 

今一番気になっているものはカラヴァッジョです。

 

最初は「カラヴァッジョ巡礼」という本を読んでいたのですが、もう一冊読みたいとなって東京美術というところから一冊につき画家1人を取り上げて生涯と作品を紹介している「もっと知りたい」シリーズのカラヴァッジョを読んでいます。

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なんだか内容似ているな…と思ったら同じ作者の方でした。宮下規久郎という方で、今は神戸大学の教授をされているらしいです。本を読んでいるとカラヴァッジョ愛が文章からにじみ出ています。読んでいて楽しいです。カラバヴァッジョを取り上げた本をたくさん書かれています。

 

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カラバッジョの人物相関図が掲載されているのですが、面白いです。

 

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友人・共作助手・師事・影響などの項目の中に「襲撃」や「殺害」があるのですが…

しかも内容も訴えたり斬りつけたり、すごいものです。画家の人物相関図としては激しすぎます。

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カラバッジョは1571年9月29日にミラノで3人兄弟の長男として生まれます。お父さんはフェルモ・メリージという人で、カラバッジョ伯爵の執事で、そこそこの土地と財産を持っていました。あいかしカラバッジョが6歳の時にお父さんはペストで亡くなってしまいます。祖父と叔父もペストで亡くなりました。一家はカラバッジョに移り住みます。

 

13歳にはミラノの画家シモーネ・ペテルツァーノ(当時ミラノで目覚ましく活躍していた画家らしい)と四年間の徒弟契約を結びます。19歳には母が亡くなります。21歳には兄弟と資産を分け(まとまった資金を手にし)、ローマへ向かいます。

カラバッジョの伝記を書いたマンチーニによると、ミラノで罪を犯したためいられなくなった。と記されています。

 

当時のローマは25年に一度巡礼者が集まる聖年のために多くの聖堂や宮殿が建築・改修されていました。その仕事を目当てに多くの芸術家がローマに集まっていました。

 

何のつてもなく大都会に迷い込んだカラバヴァッジョは貧窮にあえぎながら様々な工房を渡り歩き、23歳の時にローマ画壇一の売れっ子であったカヴァリーノ・ピエールの工房に入ります。そして8か月でやめてしまいます。(何かあったに違いない。)

 

そして路上で静物と少年を組み合わせたようなものを売り、宿泊代や飲食代にしていたようです。信じられません。

 

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やがて上の〈いかさま師〉がフランチェスコ・デル・モンテ枢機卿(枢機卿教皇の最高顧問です。)の目に留まります。カラバッジョの才能を見抜いたデル・モンテ枢機卿はカラバッジョを邸宅に連れて帰ります。

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病めるバッカス

自分がモデルになっています。

 

 

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トカゲに噛まれた少年

 

 

 

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果物籠を持つ少年

 

実物をみたことがあります。実物みると人物は果物に比べてふわっと描かれています。果物はしゃっきり描かれていて、描き分けを意図的にしていることがわかります。写真では見られない些細な違いですが、こういうことで生きている人間と果物を表現しようとしたんだと勉強になりました。写実的な画面の中では違和感を感じさせないように描き方を少し変えるだけでしか違いを表現できません。難しいことに挑戦しているなあ。

 

 

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リュート弾き

 

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合奏

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バッカス

 

 

 

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ナルキッソス

 

 

デル・モンテ枢機卿は芸術を愛する人だったようで、邸宅にはたくさんの芸術家がいたようです。その少年たちをモデルにカラバヴァッジョはたくさんの少年像を描きました。

 

デル・モンテ枢機卿は男色の趣味があったようです。パトロンである枢機卿の趣味が反映されているせいか、この時期のカラバヴァッジョは官能的な少年像を多く描いています。個人的には素敵だと思います。

 

 

明日に続きます。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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