愛のアレゴリー
今日も生きてます。
私美少女美術史の本どこやったのかな…探さなければ。
筑摩書房から出版されている「美少年美術史」池上英洋さん川口清香さん著を読んでます。
宗教画というのはその宗教によって画面上に描かれた様々なモチーフが一つ一つ意味を持ってる場合があります。
受胎告知のマリアの周りには清純を示す白百合が描かれます。
骸骨や蝋燭、枯れた花などが描かれた静物画はヴァニタス(人生のはかなさ)などを示しています。
ところでルネサンスは古代の神話(ギリシャ・ローマ神話)に再び価値が見いだされた時代です。
しかし一神教のキリスト教に支配(?)されていた時代なので多数の神を崇拝するギリシャ・ローマ神話とは反りが合いません。
そこでどんなことがなされたかというと、神話と聖書に出てくる似たキャラクターを同一視することと、神話の主題をキリスト教の解釈で読み解くということがなされました。
(日本の神仏習合のようなイメージ)
さて、次の絵はその例です。
この絵に描かれているモチーフはギリシャ・ローマ神話のキャラクターですが、絵全体が示していることはキリスト教の教えです。
何を示しているかわかりますでしょうか?
ちなみに私が画集でこの絵を見たときは、なんか見てはいけないものを見てしまったような感覚になりました…。
これはアーニョロ・ブロンツィーノが描いた「愛のアレゴリー」です。
画面右で薔薇の花束をもっている男児は「戯れ」
その後ろの少女は「欺瞞」
(両手が逆についていて、蜂蜜と蠍を差し出している)
画面左奥の老婆は「嫉妬」
右上のおじいちゃんは「時の翁」
何をしているかというと真実のヴェールをはごうとしています。
画面下の仮面は「はかなさ」
ヴィーナスがクピドの矢をクピドの背後に掲げているのは危険な地上の愛の誘惑を遠ざけようとしています。
まだまだ意味のあるモチーフは色々あるのですが、つまり何が言いたいかというと、地上の愛はつかの間の甘美な官能をもたらすが一時的なもので、男女の愛は時が経つにつれ失われる。
そして残るのは天上の愛、つまり神への信仰上の愛だけだ。ということです。
…なんてまわりくどいんだー。
言葉で示すと簡単ですがこの絵はその事を身ぶり手振りで必死に教えてくれています。
当時の知識人はこの絵を見ていろんなモチーフからそれぞれ意味を読み取り、絵画鑑賞を楽しんでいたのでしょう。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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