リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

ゴッホのジャポニズム②


今日も生きてます。

 

暑さと寒さを比べるとどちらがましかと考えると、個人的に暑さがましです。

 

 

 

さて、池上英洋さん著「西洋美術史入門<実践編>」を読んでいます。

 

今日はゴッホの続きです。

昨日は人物画を見ましたが、今日は室内画・風景画を見ていきます。


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ゴッホ「夜のカフェ」1888年9月

 


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ゴッホ「ファン・ゴッホの寝室」1888年10月

 

人物画では立体間の違いを見ましたが、室内画風景画では空間構成の違いを見ていきます。

 

上の作品夜のカフェでは、消失点が画面左側にあり、すべての線はその一点に集中していきます。

下のファン・ゴッホの寝室では、消失点はありますが、テーブルの遠近法はその消失点を無視しています。

他にも明暗差を押さえたり、影を排除するなど、画面から奥行きが減退しています。

 

 


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ゴッホ「田舎の農家」1888年

 


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ゴッホ「収穫する人(麦刈る人)」1889年

 

田園風景も上の作品より下の作品の方が奥行きの表現がなくなっていることがわかります。下の作品では荒々しいタッチは画面全体でほぼ変化なく用いられています。

 

 

1888年から1889年のうちに立体感と奥行きがなくなっていっていることがわかります。

 

ジャポネズリーの傾向にあった作品と比べると
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 日本美術からモチーフではなく東洋的空間性や平面性を絵の中に取り入れています。これがゴッホジャポニズムの作品です。

 

ちなみにゴッホ1888年二月にパリからアルルに移住しました。そしてアルルに日本のイメージを重ねていたそうです。

日本のイメージを重ねていた場所に移った頃に作品の内容も変化しています。不思議。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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ゴッホのジャポニズム

今日も生きてます。

 

眠い…。なぜか眠い…。

デヴィ夫人に日本酒すすめられる夢みた。

しかもなんか怒られた…。ごめんなさい。

 

そういう日もありますよね。

気がついたらゆでダコになっていました。

 

 

さて、今日も池上英洋さん著「西洋美術史入門<実践編>」を読んでます。

 

先日はモネの事を取り上げましたが、ゴッホジャポニズムの作品を描いています。

今日はゴッホについてです。

 

モネと同じようにゴッホもジャポネズリーの段階の作品かあります。


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上の画像の作品の中にはいくつかの浮世絵が模写されてます。

すべてゴッホが持っていた作品です。モネもそうですが、みんなよく日本のものを集めていたんですね。

 

ゴッホの作風の変化を「人物画・室内画・風景画」三つのジャンルに分けて見ていきましょう。

 


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一組の夫婦を描いた作品です。

 

男性の方が先に描かれた作品です。

 

表現に違いがあるのですが、わかりますでしょうか。

 

その中のひとつとして立体感の表現があります。

二つの画像の胸の部分を着目すると、男性の方は白いハイライトと黒い色で影が描かれています。

女性の方は緑の服の上に黒い線だけで表現されていて、平坦な表現処理がされています。

立体感が失われていますね。

 

 

次の二つについては明日。

 

ゴッホはいつか都内の美術館で印象派のくくりの展覧会で見たことがあります。

 

ゴッホが色の発色の研究のため、毛糸を使っていたことや、三原色を使ってわざわざ灰色を自分で作っていたこと等を知っていてため、どんだけきれいな色の作品かと期待していました。

しかし意外に(時間が経っているせいか)発色はそこまで。可もなく不可もなくという印象。

 

パンフレットや画集で見る作品の方が発色良くなって見えますね。

 

ジャガイモが描かれた静物画がなんか素敵でした。同行した作家さんも同意見でした。

でもジャガイモが描かれた作品は画集で見てもなんとも思わないんだろうな。

 

 
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今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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モネのジャポニズム

今日も生きてます。

 

今かいている絵の中にオルゴールのメリーゴーランドに乗っている女の子があります。

 

実際みないとかけない部分もあり、久々に遊園地にいきました。



 

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だいぶしばらくぶりにメリーゴーランド乗りました。

 

 

 

一人でですが。

 

 

しかも貸しきりでした。

 

 

 

 

画像などでは確認できない部分も確認できて良かったです。


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二段あるメリーゴーランドだったので1番人目につかなそうな二階から写真をパシャパシャしておりました。描けそうです。

 

 

係りの人はこの暑さの中大変ですね…。

開演0分ぐらいに行きましたがすでにぐったりしたご様子でした。

 

お疲れさまです。

 

 

 

 

さて、先日はジャポネズリーとジャポニズムのお話でした。

 


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(なんで画像があみあみしてしまうのだろうか…)

上の画像はモネのジャポネズリーの傾向がある作品だということも書きました。

 

モネはそれから日本美術の画面構成まで作品に取り入れていきます。

 

 

モネ「睡蓮の池、ばら色の調和」


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歌川広重亀戸天神境内」


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構図がそっくりですね。

 

 

モネが庭に太鼓橋を造らせたことも日本美術からの影響です。

 

モネは他にも広重の「名所江戸百景」や「東海道五十三次」、「六十余州名所図解」、葛飾北斎の「富獄三十六景」等を着想源としています。

 

当時のヨーロッパでは喜多川歌麿等に比べ、広重や北斎の作品が安価であったことや、パリで開催されていた万国博覧会も影響を与えています。

 

 

ちなみに横浜美術館では今モネの展覧会開催中だそうです。

 

西洋美術館では常設されていたような。

けっこう見応えあります。

興味があるかたはぜひ。

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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ジャポネズリーとジャポニズムの違い

今日も生きてます。

 

猛烈な暑さですね。

 

道で浴衣姿の人を見かけると夏祭り気分が高まります。

花火とかいいですね。見に行きたい。

ここ数年見に行きたいと思っているうちに夏は終わっています…

 

 

さて、今日も池上英洋さん著「西洋美術史入門<実践編>」を読んでます。

 

昨日は18-19世紀ヨーロッパで流行した「シノワズリー(中国趣味)」についてかきました。

 

今日はジャポネズリーとジャポニズムについてです。本のなかで出てくるまでジャポニズムは知っていましたがジャポネズリーは知りませんでした。どんなものなのかについて書いていこうと思います。

 

 

ペリーの軍艦が浦賀沖に来たのは1853年ですが、このときに同行していたドイツ人画家ヴィルヘルム・ハイネが1856年スケッチ集をドイツで出版し、それが人気となりフランスでも出版されました。

 

1859年にはロンドンで「エルギン卿使節団の中国と日本における活動報告」(ローレス・オリファント)出版、1861年にはフランス使節団の一人シャシロン男爵が自著の中で北斎漫画を紹介しました。

 

西洋の日本に対する関心が高いことがわかります。開国すると日本の文化が西洋に紹介されていきます。

 

 

そんな中でホイッスラーとルノワールが日本のモチーフを多く取り入れた作品を描いています。

 

 
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ジェームズ・アボット・マクニール・ホイッスラー「薔薇色と銀色-陶器の国の姫君-」


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クロード・モネ「ラ・ジャポネーゼ」

 

 

 ホイッスラーの作品には中国製の陶器や日本のものではなさそうなござが敷かれてますが、2枚とも日本的なモチーフを多く描いています。

 

しかしモデルのポーズを見てみると少し違いがあることがわかります。

 

 

モネの作品は妻のカミーユがモデルです。この振り返っているポーズは歌川国貞らの作品が着想源だと言われています。

カミーユの笑顔からはふざけて真似っこしてみたというような無邪気な明るさがあります。

 

ホイッスラーは友人の画家の姉がモデルです。団扇を手にしてますが、静的なポーズです。

全体的に縦に細長い印象を与えています。

 

ホイッスラーは日本のモチーフを並べているだけではなく、日本画の女性の雰囲気まで描き出そうとしています。

 

モネの作品のような傾向を、あくまで日本趣味というところまでで、シノワズリーと類似のものとしてジャポネズリーと呼びます。

 

ホイッスラーも日本のモチーフが並べられ、ジャポネズリーの作品の傾向に違いないのですが、日本の様式受容までも視野にいれたジャポニズムに繋がる作品です。

 

 

 

モネはジャポネズリーの作品からジャポニズムの傾向の作品に変わっていきます。

 

 

明日に続きます。

 

 

今日もご覧くださりありがとうございました。

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シノワズリー

今日も生きてます。

 

江戸川乱歩のパノラマ島奇談を久々に読みました。話の内容はともかく、パノラマ島の描写が細かくてとても興味深いです。連作したい。

 

さて、今日も池上英洋さん著「西洋美術史<実践編>」を読んでいます。

 

ジャポニズム印象派との関係で知ってるかた多いと思うのですが、その前にシノワズリーとジャポネズリーがあったそうです。

 

知らなかったので今日からはその事について取り上げたいと思います。

 

 

シノワズリーとは…

シノワズリ(仏: chinoiserie)は、ヨーロッパで流行した中国趣味の美術様式で、中国をイメージし、非対称の縮尺や、漆など独特の素材や装飾を用いた様式が特徴である。ヨーロッパでシノワズリが流行を始めたのは、17世紀半ばから後半頃と伝えられる。18世紀の中ごろにロココ趣味と融合し、人気が最高潮となった。

シノワズリ - Wikipedia

 
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フランソワ・ブーシェ「中国庭園」

↑はシノワズリーの作品。

描かれている傘や陶磁器や壺は実際にヨーロッパにもたされたものです。

しかし画面左側にいる男性の髪型には誤解があり、帽子も清のものではありません。

 

東洋と西洋の空間性には大分違いがありますが、ブーシェの作品の絵画空間は完全に西洋の遠近法で描かれています。

 


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↑はシノワズリーが流行った18-19世紀の中国趣味の部屋です。

 

中国からの絵画をそのまま壁紙にされています。また、中国からの壺や陶磁器も飾られていますが、基本的なテイストはシャンデリアやソファが飾られるなど西洋風です。

 

シノワズリーは中国風のものが流行ったということで、精神性などが共感されていたわけではありませんでした。

 

 

その点違うのがジャポニズムです。

明日に続きます。

 

 

 

今日もご覧くださりありがとうございました。

 

 
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版画画廊

今日も生きてます。

 

ミッシャーの図録を見返してます。

面白いです。

 

 

今日は中から一枚紹介。
「版画画廊」


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ぱっとみ分かりにくいがじっくり見ていくと面白い。

 

作品下の解説にはエッシャーがこの作品について語った言葉がかかれていました。

「こんなに変わった作品は自分でも今まで作ったことがありません。ここには一人の青年が展覧会の壁に自分自身を描いた作品を好奇心をもって見ているところが描かれています。」

 

こんな構図どうしたら思い付くのだろうか…。

 

イデアを思い付いてもスマートに表現するのは難しいと常々思っています。

かっこいいなあエッシャーマグリットも個人的には絵柄は違いますがエッシャーと同じ分類に入っています。

 

 

今日はここまでー。

ご覧いただきありがとうございました。

 


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日本のオリジナリティ

今日も生きてます。

 

日本の図案集をペラペラしていたのですが、千鳥が可愛らしいです。


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昔の人もこういうデザインを見てかわいいなあと思っていたのかな?

 

ウィリアムモリスみたいなデザインとは違った良さがあって東洋と西洋の違いは興味深いですね。

 

 

 

 

さて、昨日はヨーロッパのような石の文化と日本のような木の文化ではオリジナリティの考え方が違うということを書きました。

 
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石の文化を持つヨーロッパ文化からすると1300年前の部品などひとつも残ってない伊勢神宮はすでに本来のオリジナリティを失っています。

 

しかし日本人は伊勢神宮は古いものだと捉えます。(よね?)日本のオリジナリティとはデザインのことなのです。

 

日本建築においてはオリジナルのデザインとそれに内包される精神性こそがオリジナリティの骨格であり、輪郭と構造のための素材には重きを置きません。

 

池上英洋さん著「西洋美術史<実践編>」を読み進むにつれて、作品のオリジナリティについて少し考えるようになりました。

感覚的にはやはり東洋の意匠がオリジナリティという考え方に近いです。制作者は完成した状態をその作品として認識してると思います。半壊の状態はその完成イメージから少し離れてると思います。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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