リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

芸術家と自画像の歴史

今日も生きてます。

 

魚肉ソーセージをもりもり食べてます。ありがとうございました。

 

 

さて、今日は自画像についてです。

お付き合いよろしくお願いいたします。

 

美術系の学校通った方なら自画像は誰でも一度は描いたことあると思います小学校の図工の時間にも描くことあるのでだれでも一度くらいは描いたことあるかもしれません。芸大の油画の試験に過去に自画像が出題されたことがあるので予備校ではたくさん自画像を描きました。「自画像」を描きなさい。という試験内容でもただ自分の顔を写し取るだけではなく、自分のどんなところをどんなふうに表現するのか…自画像の醍醐味ですね。モチーフも必要ないし、出題する方としては簡単に作家の頭の中と技量がわかるいい問題ですよね。

 

 

今は身近な自画像ですが昔は様子が違っていたようで、古代ギリシアの彫刻家フェイディアスはアテナ像の円楯に自分の顔を彫ったときに不敬罪に問われたそうです。

(円楯を確認できる画像が見当たりませんでした涙)

 

古代芸術家は神に使える都市国家の公的な使命のために存在していたからです。

 

 

作品の中に作家自身の顔が現れるのは15世紀以降、ルネサンス期に入り美術が教会における最高の表現になってからです。「参列肖像画」の中に使徒や貴族の姿を借りて画家の顔が紛れ込んでいます。

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ミケランジェロ最後の審判

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画像粗くなってしまいましたがこの皮の部分が自画像なんだとか。

 

また自分を変装させて画面の中に描かれるようになりました。

 

 

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カラヴァッチョ 「病めるヴァッカス」

カラヴァッチョは自分の姿をよく変装させて絵に入れてます。

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カラヴァッチョ「ゴリアテの首を持つダヴィデ」

 

そして画面の中に画家自身の似姿が入り込むのは16,7世紀に最盛期を迎えます。人間が社会的束縛から自由になるのと同時に自画像が芸術家の中心的な主題になっていきます。

 

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ベラスケス「女官たち」

 

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クールベ「画家のアトリエ」

 

自分を含め仕事場を描いた作品からは宮廷画家や画家の社会的地位の高さがわかります。

 

自画像を描いた画家として有名なレンブランドは100点に近い自画像を残しています。ゴッホも「自らを知ることは難しい」と手紙に記したくさんの自画像を描きました。

 

二人とも自己の内面の苦悩が絵に現れているものもあります。

 

 

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レンブランド「自画像」

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ゴッホ「自画像」

 

 

なんか見てると落ち込んでくるな。

 

上のように苦悩を描いたものもあれば、何かを誇示するよう描かれた自画像もあるので面白いジャンルです。

 

 

少し風邪気味かも。鼻が垂れてくる。

 

 

 

きょうはここまで。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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天目茶碗

今日も生きてます。

 

雨降りが続いてますね。

雨は嫌いじゃありませんが、

ずっと続くと傘をさすの飽きてくるので危険です。

 

 

 

今日は陶器の偽物の話です。(「ニセモノ図鑑 贋造と模倣から見た文化史」西谷大著より)12世紀中国が北宋の時代に天目茶碗というものが焼かれました。日本の鎌倉時代、東国武士たちに唐物の志向が生まれこの茶碗の需要が広がっていったそうです。

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瀬戸窯ではこの需要にこたえるべく、天目茶碗風の商品の開発を手掛けるようになったそうです。だいぶ味がある仕上がりになっていますね。私にはまったく違うものに見えます。

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「唐物」の人気は室町時代に最盛期を迎えました。

その人気を後押ししたのは足利義政が座敷飾りの決まりなどを記した「君台観左右帳記」というものをつくらせたからでもあると言われています。

 

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面白いのはその君台観左右帳記の中で当時の十五世紀中国の製品ではなく、十二世紀の骨董品を良しとしていたことです。

 

そのため瀬戸窯では12世紀の天目茶碗をお手本に制作されていたそうです。不思議です。ニセモノというよりコピーですね。

 

 

最新のものの方がいいんでないのかなと思ってしまいますが違うようです。古いものを愛する心は日本独自のものなのかなあ。知らない世界がまだまだいっぱいあるよ。

 

 

きょうはここまで。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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運命の湯飲み

今日も生きてます。

 

前の個展では隣の画廊で陶器の展示がありました。多分絵付けだけだと思いますが、素敵なお皿やカップが魅力的だなーとお客さんがいないときには眺めていました。魯山人のお皿もガラスケースの中に展示されていて、(意外に100万しないものもありました。)き、きいたことあるゆ有名な人だ…と目に焼き付けてました。

 

お店の方から、魯山人風のお皿をつくってもらって魯山人風のお皿として販売していたこともあるよということを教えて頂きました。目の前にあった魯山人のお皿が正円でなかったり、不自然に歪んでいたりして(わびさびですね)、しかも釉薬もどうやってこの適当な感じを表現するのか気になり、聞いたところ、そういうものも含めてうまあーく焼くことができるそうです。

 

自分の家にも素敵なお皿が欲しいなと常々思っているのですが、なかなか踏み切れなかったり、見つからなかったりしています。この素敵なお皿を私のあの部屋に置いてしまってもいいのだろうか…と考えると一歩を踏み出せない。そして買っておけばよかったかなという後悔を繰り返しています。

 

いろいろと決心が遅いため物を買うのも何日かかかる私ですが、たまに一目ぼれして買うこともあります。

 

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湯のみ!

 

大学の学園祭(?)でデザイン科の人がつくったものです。魚のシルエットと魚の漢字がデザインされたものが印刷されています。なんかかわいくて買ってしまった。いい買い物でありました。愛用しております。この出会いは運命ですね。

 

好きな食器少しずつ集めて最高の食卓で好きな料理を食べるのが私の小さな夢です。

 

今日は陶器のにせものの話をしようと思ったのですが導入で500字超えてしまいました。明日にしようと思います。

 

 

 

きょうはここまで。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 


あと故郷秋田で展示があります。

☆展示告知☆
秋田のギャラリー杉(さん)にてチャリテイー展に参加します。
 
「チャリテイー展」
売り上げの一部が災害遺児愛護活動に寄付されます。
会場 ギャラリー杉(さん)
会期 11/23-12/5
 
私も何日か在廊する予定です。ぜひおこしくださいませ。
 

縄文人のイミテーションと絵画の偽物

今日も生きてます。

 

間が空いてしまいましたが何とか生きてます!雨です。寒いです。布団にくるまっています。

 

ニセモノ(「ニセモノ図鑑 贋造と模倣から見た文化史」西谷大著より)についてです。

 

この本を読んでるとニセモノの存在ってだいぶ昔からあるのね!と驚きます。

今日は縄文人のアクセサリーのイミテーションについてです。

お付き合いよろしくお願いいたします。(美術が遠い。)

 

そもそも縄文時代の人はどんなものをアクセサリーとしてつけていたのかというと、動物の角や骨、石やガラス玉や粘土からこしらえたものをイヤリングやネックレスにしていたそうです。

また腕に貝のブレスレットをつけることもあったそうです。

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貝が手に入りにくい地域はこのブレスレットを模した土製品をつけていたそうです。

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なんか重そうですね。

 

こちらは装身具ではないですが、イモガイを模した土製品↓

 

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貝の輪を模した土製品↓

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出土するしたものは色褪せているのでその時に生きていた人の目にどのように美しかったかは想像するしかありませんが、なんでこれの模造品をわざわざつくってはめたのかなあ。(率直な感想ですみません。)と思ってしまいました。

 

今でも真珠や宝石のイミテーションのアクセサリーてたくさんありますよね。(私は装飾品興味ナシなのであんま持ってないです。)感覚的には縄文人も全く同じだったのかもしれません。

 

ちなみに絵画のイミテーションとしてジクレーと呼ばれるものがあります。キャンバスに名画を印刷して、その上からタッチや質感を模した厚みもメディウム(盛り上げ剤)で表現しているものです。美術館の企画展のお土産コーナーによく専門の販売員の方が立って売られているものってこれじゃないかなと思います。贋作として通用できるようなものではありませんが(印刷だし。)ポスターよりはそれらしいです。おばあちゃんの家にもジクレー技法で印刷されたであろうモネの水連がありました。

 

今調べてみましたがマネの「オランピア」という作品があります。↓

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ジクレー技法でコピーしたものがデジアート福岡というところでは8号サイズで額装含まず約二万円です。高いのか安いかはわからません笑

 

実際に名画を描いてもらうこともできます。直筆模写でマネのオランピアはサクラ・アートというところで8号サイズ額込で約三万二千円でした。高いか安いかは…安いですね。描いた画家に画料が入っているのか心配になります。笑

 

ちなみちなみに福島県に世界の名画のニセモノばかりが展示されている美術館があるそうです。

リンク→大塚国際美術館|徳島県鳴門市にある陶板名画美術館

 

入館料も日本で一番高い美術館で3240円。でも楽しいらしいです。テーマパーク的な感じなんでしょうか?美術史の勉強にはいいかもですね。

 

個人的にはカフェメニューのある「おいしいぃぃぃ~と叫ぶムンクのどら焼きセット」が気になります。叫んでいいのかな。

 

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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あと故郷秋田で展示があります。


☆展示告知☆
秋田のギャラリー杉(さん)にてチャリテイー展に参加します。
 
「チャリテイー展」
売り上げの一部が災害遺児愛護活動に寄付されます。
会場 ギャラリー杉(さん)
会期 11/23-12/5
 
私も何日か在廊する予定です。ぜひおこしくださいませ。

 

ニセモノ

今日も生きてます。

 

この前の展示のときに茶道売り場の販売員さんにいろいろ茶道の事を教えて頂きました。印象的だったのは茶道は抹茶を飲む会ではないということ。お茶を飲みつつその場の調度品も楽しんだり学んだりするのが茶道だそうです。奥が深いです。(常識なんでしょうか?)

 

昨日からニセモノ図鑑(「ニセモノ図鑑 贋造と模倣から見た文化史」西谷大著)を読んでいますが、その中になぜニセモノの掛け軸などが出回ったのか解説されていました。

 

茶道と同じように宴会が行われる時に家主は宴会会場に珍しい品有名な品を飾り、招待客をもてなし、家の格式の高さを自慢する必要があったそうです。私の今の感覚ですと掛け軸や壺はお部屋のプラスα的存在ですが、昔は必需品だったんですね。

 

中国の皇帝も地方から献上された品々で非常に珍しい動物園をつくり、周辺諸国の使節団に見せびらかしつつ酒池肉林でもてなしたそうな。権力と富があることを誇示するためにたくさんのものが必要だったんですね。

 

権力持っている人のコレクションルームって権力誇示が一つの役割だったのかな。

 

↓が日本の宴会風景再現(飾ってるものはニセモノらしい)

 

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渋い。

描く側としては絵の中の事ばかり考えていますが、文化の中で見ていくと美術品の役割は奥が深いと感じます。

 

 

私は飾ってくれた人の人生に寄り添うような作品が描きたいなと思っています。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

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人魚と平田篤胤

今日も生きてます。

 

寒いです。10月も半ばですね。二十代も後半に入ったせいかなかなか馬力が出ません。こたつに入って雪見だいふくが食べたいです。(モナカでも可。)

 

もっと寒いであろう故郷秋田で来月展示があります。

 

☆展示告知☆
秋田のギャラリー杉(さん)にてチャリテイー展に参加します。
 
「チャリテイー展」
売り上げの一部が災害遺児愛護活動に寄付されます。
会場 ギャラリー杉(さん)
会期 11/23-12/5
 
私も何日か在廊する予定です。

 

 

さて、今日も昨日に引き続きやや美術とは離れますが人魚の話。

 

ニセモノ図鑑という本(「ニセモノ図鑑 贋造と模倣から見た文化史」西谷大著)を読んでます。

 

これは千葉にある国立歴史民俗博物館が2015年に企画した展示:大ニセモノ博覧会のときの内容から作られた本です。さまざまなニセモノとその背景が載っています。ニセモノだから悪いということではなく、なぜニセモノが必要であったかという文化までわかる良い本です。なにより楽しく読めるようにしようという配慮にあふれてる編集でした。雑誌のように読めます。

 

中に人魚の項があり、昨日ブログに載せたの人魚のミイラは大ニセモノ博覧会のためにつくったもの(!)です。すごいなあ

私はTV見ないのですが話題になってたんでしょうか?

 

日本書紀推古天皇の時代に「魚でも人でもない生き物が捕れた」という記述があり、それが日本で最古の人魚目撃の報告例だそうです。

 

本には様々な時代の人魚の想像図が載っていました。あんまりかわいくないなァ。

 

 

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ディズニーのアリエルとは大違いですね。私の人魚のイメージはジョンウィリアムウォーターハウスの人魚です。美女です。

 

江戸時代後期に活躍した国学者平田篤胤(ひらたあつたね)が人魚の骨を食した感想を送った手紙が紹介されていました。それがとても長い!

 

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興奮冷めやらぬという様子です。人魚を食せば不老不死になると聞きますが、平田篤胤はこの手紙を書いた翌年亡くなっているそうです。

 

 

しかも平田篤胤は秋田生まれです。勝手に親近感がわきます。

 

もしかしたらどこかで生きているのかもしれませんね。当時と変わらぬ姿で。

 

 

こんな人がいたら教えてください。

 

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今日はここまで。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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人魚のミイラの作り方

今日も生きてます。

 

寒いです。鍋の季節です。きりたんぽです。ということで来月秋田で展示があります。

 

☆展示告知☆
秋田のギャラリー杉(さん)にてチャリテイー展に参加します。
 
「チャリテイー展」
売り上げの一部が災害遺児愛護活動に寄付されます。
会場 ギャラリー杉(さん)
会期 11/23-12/5

 

私も何日か在廊する予定です。

 

昔新宿の酉の市で見世物小屋(?)に入ったことがあります。なんか簡単な手品などを歌と踊りで楽しく見せてくれました。しかも生伴奏でした。そのときに人魚のミイラを見せてもらいました。人魚ではなかったかも…ともかく「これは珍しい〇×▽~」と言いながら箱に入った(珍しい割には保管方法が粗い笑)何かの干物をみました。

 

今日はたまたま人魚のミイラの作り方を載っている本を発見したので中身紹介。少しグロテスクかもしれません。

 

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まるで自由研究かのようなポップさでつくり方が紹介されていました。

 

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なんてこったい。

朝から見るものではなかったかも…すみません。

 

「ニセモノ図鑑 贋造と模倣から見た文化史」西谷大著からです。美術品と贋作は関わり深いので勉強になるかなーこの本は昔の時代のことが主ですが、今も問題としてあることですよね。明日からニセモノの話です。

 

 

今日はここまで

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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