リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

日本と西洋の絵画の方向

今日も生きています。

 

昨日まで紹介した絵画は一枚の画面の中で物語が展開されていました。日本には右から左へ広げながら絵を読み進めていく絵巻物があります。

 

西洋と日本の絵画を鑑賞するポイントの一つは絵を読む(みる)方向かもしれません。アルファベットが左から右へ読むように西洋の絵画は左から右へ流れがつくられていることが多いです。

 

聖書の場面の一つである「受胎告知」を描いた作品はマリアは画面向かって右側に描かれていて、キリストを身ごもったことを知らせる天使は向かって左側からやってきます。

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対して日本はというと縦書きの本は右から左へ読むのが普通ですね最初に紹介した絵巻物のように日本の美術の絵巻物の方向は右から左へ流れています。

 

 

 

有名な屏風絵に尾形光琳の「風神雷神図」がありますね。これに裏絵があるのをご存知でしたか?私は知りませんでした!

 

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酒井包一「夏秋草図屏風」

テレビ番組の美の巨人で放映されたことがあるようです。HPに酒井抱一について少し解説が載っていました。尾形光琳の大ファンだったんですね。参考にリンクを張っておきます。興味のある方はどうぞ。(KIRIN~美の巨人たち~)

 

上の作品に描かれているのは右隻が夕立にうちしおれる夏草、左隻が野分に翻弄される秋草です。尾形光琳の雷神が夏草に、風神が秋草に対応しています。夏を表した右隻と秋を表した左隻で構成されています。右から左へ視線を動かすことで流れる時間と季節の移ろいを感じさせます。

 

 

視線の流れや絵の中でどういう風に時間が流れているのか、どう表現しているのか注目して絵を鑑賞するともっと楽しめそうです。

 

最後に一枚紹介。

 

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ユペール・ロペール「廃墟となったルーヴルのグランドギャラリーの想像図」

 

描かれているのはルーヴル美術館です。といっても題名の通り今現在の姿ではなく廃墟となった姿です。

 

ルーヴル美術館いつになったらここまでの姿になるかわかりませんが、今を生きる私からしたら相当な年月の時間を感じます。異時同図法では一枚の絵の中に異なった時間を組み込んで観る人に時間を感じさせましたが、この作品は今ある建築物の廃墟となった姿を描くことで鑑賞者に時間を感じさせています。

 

時間をどう表現するかは一つではなくいろんなアプローチがありそうです。勉強になります。

 

 

今日はここまで。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

akashiaya.jimdo.com

 

 

 

☆展示告知☆
秋田のギャラリー杉(さん)にてチャリテイー展に参加します。
 

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「チャリテイー展」
売り上げの一部が災害遺児愛護活動に寄付されます。
会場 ギャラリー杉(さん)
会期 11/23-12/5

 

 

チャリテイー展:在廊について

今日も生きてます。

 

ネット接続の機嫌が直りました。よかった。ケーブルが問題だったのかな?いまいちパソコン関係のことはよくわからぬまま始まりよくわからぬまま終わります。

 

今日は在廊についての訂正のお知らせです。

25日と26日在廊予定でしたが、26日の午後になりました。

 

あんまりいられるとお客さんの鑑賞の邪魔になるので短縮です。同じく出品作家のミチヨさんも一緒に在廊する予定です。

 

25日と26日でしたら秋田にいるので、もし明石の作品の話を聞きたいという人がいらしたらwebsiteのContactからメールをください。せっかく秋田に行くのでできるだけ都合を合わせます!

akashiaya.jimdo.com

 

またはFacebookメッセンジャーからメッセージをください。コメントは高確率で見落とします。(ごめんなさい)

https://www.facebook.com/hakoirimusume2013

 

 

会場の近くににねぶり流し館という秋田の夏のお祭り「竿灯」について学べる施設があります。個人的にはおすすめです。

 

今日は簡単ですがここまで。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

 

☆展示告知☆
秋田のギャラリー杉(さん)にてチャリテイー展に参加します。
 
「チャリテイー展」
売り上げの一部が災害遺児愛護活動に寄付されます。
会場 ギャラリー杉(さん)
会期 11/23-12/5

 

西の異時同図法

今日も生きてます。
やりたいこともやることも増えていく。時間は減っていく。充実しているということでしょうか。
関係ありませんが家のオーブンレンジで焼きいもが作れると知り、焼きいもブームです。美味しいです。


さて、ひとつの絵の中で異なる時間を描く異時同図法について描いています。

昨日は法隆寺にある玉虫厨子の須弥座に描かれたお釈迦様の絵を紹介しました。


画面上から下にかけて三つの描写が描かれていました。



今日は西洋です。西洋ではお釈迦様ではなくキリスト様です。





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上の絵はフラアンジェリコの「海へ投じられ天使に救われる聖コスマスと聖ダミアヌス」という作品です。

聖書に詳しい方は知っているかもしれませんが、聖コスマスと聖ダミアヌスはアラビア生まれの双子の兄弟で、生涯を医術に捧げ、様々な奇跡を行ったと伝えられているそうです。


二人はキリスト教迫害の際に捕らえられ海へ身を投じましたが、天使に救われました。


この絵には一連の行為が画面上の崖からはじまり、右回りに弧を描き、画面左下の天使の背中で終わります。


昨日の釈迦も上から物語が始まっていましたね。2つとも落ちる行為があるからかもしれません。


そして明日に続きます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

異時同図法

今日も生きてます。

パソコンのネット接続が調子悪しです。いったいどうしたらいいのやら。涙

あたふたしてても時間が過ぎるだけなので、しばらくは携帯から投稿することにします。

今日は絵画のなかでの時間の流れの表現についてです。1枚の絵の中に連続的な行為が描かれているものを異時同図法というそうです。

携帯だと画像や文章が重いと投稿完了できないので少しずつ書いていきたいと思います。

異時同図法の作品として法隆寺にある「玉虫厨子」の須弥座に描かれた投身飼虎図があります。



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描かれているのはお釈迦様の前世における善行の物語です。


画面上は王子が崖の上で脱いだ衣を傍らの木にかけているところ

画面向かって右は飢えた虎たちに我が身を与えるべくして両手を揃えて垂直に落下するところ

画面下は虎たちが王子の腹を食い破っているところです。


というか王子は何てことしてるんだ!アンパンマン的な発想なんでしょうか。


1枚の絵の中に三つの異なる場面が描かれてます。見る方は絵の中の物語を読むことができるわけですね。


今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。

在廊予定日

今日も生きてます。

鼻が止まりません。花粉症とかじゃないですよね?


来月秋田の展示の在廊日が決まったので連絡です。

☆展示告知☆
秋田のギャラリー杉(さん)にてチャリテイー展に参加します。
 
「チャリテイー展」
売り上げの一部が災害遺児愛護活動に寄付されます。
会場 ギャラリー杉(さん)
会期 11/23-12/5


私は11月25日(土)と、11月26(日)に在廊します。お昼休憩で居ないときもあるかもしれませんが、付近にいるのでギャラリーの方に電話してもらってください。


秋田に帰るのも数ヵ月ぶりです。

楽しみです!






今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。


最近勉強できてないなー反省。
皆さん風邪をひかないように~

芸術家と自画像の歴史

今日も生きてます。

 

魚肉ソーセージをもりもり食べてます。ありがとうございました。

 

 

さて、今日は自画像についてです。

お付き合いよろしくお願いいたします。

 

美術系の学校通った方なら自画像は誰でも一度は描いたことあると思います小学校の図工の時間にも描くことあるのでだれでも一度くらいは描いたことあるかもしれません。芸大の油画の試験に過去に自画像が出題されたことがあるので予備校ではたくさん自画像を描きました。「自画像」を描きなさい。という試験内容でもただ自分の顔を写し取るだけではなく、自分のどんなところをどんなふうに表現するのか…自画像の醍醐味ですね。モチーフも必要ないし、出題する方としては簡単に作家の頭の中と技量がわかるいい問題ですよね。

 

 

今は身近な自画像ですが昔は様子が違っていたようで、古代ギリシアの彫刻家フェイディアスはアテナ像の円楯に自分の顔を彫ったときに不敬罪に問われたそうです。

(円楯を確認できる画像が見当たりませんでした涙)

 

古代芸術家は神に使える都市国家の公的な使命のために存在していたからです。

 

 

作品の中に作家自身の顔が現れるのは15世紀以降、ルネサンス期に入り美術が教会における最高の表現になってからです。「参列肖像画」の中に使徒や貴族の姿を借りて画家の顔が紛れ込んでいます。

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ミケランジェロ最後の審判

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画像粗くなってしまいましたがこの皮の部分が自画像なんだとか。

 

また自分を変装させて画面の中に描かれるようになりました。

 

 

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カラヴァッチョ 「病めるヴァッカス」

カラヴァッチョは自分の姿をよく変装させて絵に入れてます。

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カラヴァッチョ「ゴリアテの首を持つダヴィデ」

 

そして画面の中に画家自身の似姿が入り込むのは16,7世紀に最盛期を迎えます。人間が社会的束縛から自由になるのと同時に自画像が芸術家の中心的な主題になっていきます。

 

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ベラスケス「女官たち」

 

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クールベ「画家のアトリエ」

 

自分を含め仕事場を描いた作品からは宮廷画家や画家の社会的地位の高さがわかります。

 

自画像を描いた画家として有名なレンブランドは100点に近い自画像を残しています。ゴッホも「自らを知ることは難しい」と手紙に記したくさんの自画像を描きました。

 

二人とも自己の内面の苦悩が絵に現れているものもあります。

 

 

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レンブランド「自画像」

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ゴッホ「自画像」

 

 

なんか見てると落ち込んでくるな。

 

上のように苦悩を描いたものもあれば、何かを誇示するよう描かれた自画像もあるので面白いジャンルです。

 

 

少し風邪気味かも。鼻が垂れてくる。

 

 

 

きょうはここまで。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

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