リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

画家の死を予言した絵「死と乙女」のホラー。エゴン・シーレが描いた作品は何を意味していたのか。通説と勝手な個人的新解釈披露。

今日も生きてます。

 

友人に占いの学校に勤めている人がいます。

 

私自身はスピリチュアル・占い・幽霊・魂・死後の世界・神…迷信や霊的なものなどは信じないタイプでした。

 

しかしその友人の影響を受けて、今では「私が感じられないものもこの世界には数多く存在しているんだ。」と、価値観が変わりました。

 

その友人の話では「作品を制作している人には、そういう(第六感的な)感覚があり、表現しているのは無意識的(神秘的)なところから影響を受けている」と言っていました。

(表現は違いますが大体このようなことを言っていました。)

 

なので芸術作品は霊的なものと通ずるものがあるのかもしれません。

 

今日は画家の死を予言したかのような作品 エゴンシーレの「死と乙女」を見ていきます。

 

エゴンシーレ画「死と乙女」

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出典:エゴン・シーレ - Wikipedia

 

 

 

 

 

エゴン・シーレ

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出典:エゴン・シーレ - Wikipedia

 

 

この作品を描いたのはエゴン・シーレです。

 

エゴンシーレは19‐20世紀のオーストリアで活躍した画家です。

 

幼少のころから美術の才能を認められていて、ウィーン美術アカデミーに進学します。しかし保守的な価値観が合わずに退学します。

 

その後クリムトのもとに弟子入りし、クリムトの支援のもと制作を続けます。

 

第一次世界大戦が勃発すると従軍します。

大戦が終わりに近づく頃、クリムトが開催した展覧会「第49回ウィーン分離派展」でエゴン・シーレの新作が50点以上展示されます。

 

それが評判を呼び、注文が舞い込むようになり、人気画家としての兆しが見え始めたころにスペイン風邪で亡くなってしまします。

 

エゴン・シーレ画「自画像」(1912年

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出典:エゴン・シーレ - Wikipedia

 

 

 

 

 

エゴン・シーレの男女関係

エゴン・シーレ画『裸体の女』(1917年)

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出典:エゴン・シーレ - Wikipedia

 

「死と乙女」が描かれた背景を語るには、エゴン・シーレの男女関係を話す必要があります。

 

描かれている女性はエゴン・シーレの彼女、そしてモデルであったのヴァリ・ノイツェルです。

 

彼女はモデルとしてエゴン・シーレの制作を支えていましたが、1914年に中産階級職人の家の娘であるエーディトと結婚します。

 

社会的に認知されやすい裕福な娘を選んだということです。

 

しかしモデルのヴァリ・ノイツェルに未練があり、愛人として関係を継続することを提案しました。

(なんてことしてるんだ…)

 

性的に奔放であったヴァリ・ノイツェルですが、エゴン・シーレの愛人契約をきっぱり断り、二度と姿を現さなかったようです。

 

「死と乙女」はこのときに描かれた作品です。

 

 

 

 

 

「死と乙女」に描かれているもの

エゴンシーレ画「死と乙女」

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出典:エゴン・シーレ - Wikipedia

 

 

西洋美術では、伝統的な画題のひとつにメメント・モリがあります。

メメント・モリラテン語「死を覚えよ」を意味します。

 

死を象徴するようなモチーフを描き、限りある生を示唆する表現方法です。

そのモチーフには若くて美しい乙女もありました。

 

これは若さも美しさも、いつかなくなり死によって連れ去られてしまうという「美の虚栄」や「儚さ」を意味しているからです。

 

エゴン・シーレの「死と乙女」にはそのメメント・モリの手法を使用しています。

 

描かれている男性はエゴン・シーレ

男性にしがみついているのはモデルのヴァリ・ノイツェルです。

 

これはエゴン・シーレは自分を「死神」に見立て、モデルのヴァリ・ノイツェルを生の儚さを象徴する「乙女」に見立てて表現しているのだと思われます。

 

ヴァリ・ノイツェルがシーレに捨てられたということを考えると、絵の中の女性であるヴァリがシーレに未練があるように腕を回しているように見えます。

 

しかし実際はシーレがヴァリ・ノイツェルに未練があり、愛人契約の提案までしたのにきっぱり断られています。

 

絵の中のエゴン・シーレは驚いた表情していませんか?

ヴァリ・ノイツェルに拒絶されて驚いている顔とも取れます。

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「人騒がせな名画」のなかで著者である木村泰司さんはこの作品のことを「男のエゴイズムによる自惚れと愚かさ」を象徴した作品ともいえる…と、少々厳し表現をされていました。

 

 

 

 

 

個人的解釈

 

ここから勝手な解釈です。

 

元カノであり、モデルであったヴァリ・ノイツェルは、シーレと別れた後は、従軍看護婦としてクロアチアに出向き、1917年に23歳で亡くなります。

 

そして翌年、結婚したエゴン・シーレと妻エーディトもスペイン風邪で亡くなってしまいます。エーディトにはおなかの中にクリムトの子供がいました。

 

エーディトが先に亡くなり、後にエゴン・シーレが亡くなっています。28歳でした。

 

画家としての成功が見えてきたとたんに本当に悲しいことです。

 

 

冒頭で芸術作品をつくっているような人は、無意識のような神秘的なものから影響を受けて作品を作っているという話をしました。

 

エゴン・シーレとヴァリ・ノイツェルのことを知ってからこの作品を見ると、なんだか先に亡くなったヴァリ・ノイツェルがシーレを捕まえにきたみたいに見えてきました。

 

だからこんなエゴン・シーレはびっくりした顔してるんじゃないかな。

 

病の床に臥せているエゴン・シーレをヴァリ・ノイツェルが引きずりこもうとしている。こわい。

 

シーレは無意識に死の直前に自分の身に起こる恐怖を描いてしまったんじゃないかな。

 

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めちゃくちゃ怖い絵に見えてきませんか?

ホラーですね。

 

全て私の勝手な妄想なので安心してくださいね。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

akashiaya.jimdofree.com