いけない眼差し?描かれたメイドの意味ー17世紀オランダの風俗画を見比べるー
今日も生きてます。
インドの屋台の映像を最近視聴しています。
あまり外国に行った経験のない私にとって、異国の風景をみるのは楽しいことです。
どんな料理にも調理人がはらりはらりとスパイスを振りかけていて面白いです。しかも幾種類も振りかけていて、中には味の素を振りかけている場合もあります。
(スパイスの魔術師)
出来上がった料理の色は赤い。激赤。
見るからに辛そうです!
しかしとっても美味しそう!
香川の讃岐うどん、盛岡のわんこそばに続き、ご当地で食べてみたい食べ物候補にインドのスパイス料理が入りました。
とりあえず今は地元のナマステカレーでスパイス欲を満たすのです。ナマステ~
さて、「人騒がせな名画たち」(木村泰司著、マガジンハウス)を読んでいます。
前回に引き続き今回もオランダの風俗画を取り上げます。
裕福な市民が絵画を購入するようになった17世紀オランダ(ネーデルランド)では教訓的な意味が込められた風俗画が流行しました。
画家は画面に意味のあるモチーフを描きこみ、鑑賞者はそれを読み解いていました。
メイドが描かれた作品を見てみます。
ヘラルト・ダウ画「玉ねぎを刻む少女」1646年
出典:「人騒がせな名画たち」(木村泰司著、マガジンハウス)
時代や文化が違う私たちからすると、メイドの日常が画題?というような印象を受けますが、読み取れる要素がたくさんあるようです。
1 玉ねぎ
当時玉ねぎには媚薬の効果があると考えられていました。
2 横たわった水差し
水差しは聖母マリアの処女性を象徴します。その水差しが横たわっているということは純潔を喪失したことをほのめかしています。
3 鳥籠
空の鳥籠は美徳の喪失を意味しています。
鳥籠の中に鳥が入っている場合は女性が家を守っていることを意味しています。
4 吊り下げられた鶏
オランダ語の「鳥を捕る:vogelen」には「交接する」という意味もあります。
5 そばにいる少年
少年は「無垢」を意味しています。
その子を無視してメイドはこちらに視線を送っています。
以上のことを踏まえるとこの作品はメイドの日常を描いただけのものでは無いことがわかります。17世紀のオランダではキッチンで家事をいそしむメイドを描いた風俗画もあり、その中でメイドは男主人を惑わす性的な存在として描かれることが多くありました。
そして、この時代メイドの監督も主婦の重要な仕事の一つでした。↑の絵は秩序ある家庭を整えるべき主婦への警告といった意味合いも含まれています。
フェルメール「牛乳を注ぐ女」1660年ごろ
これも先ほどと同じメイドを描いた作品です。
しかしメイドのモデルも描かれている様子も全く違います。
この「牛乳をそそぐ女」は一体何をしているところかというと、硬くなったパンにミルクを注いでリメイクしようとしています。つまり食材を無駄にしないようにしているのです。
現代人の感覚だと、仕事に忠実なメイドの美しさや賛美を描いているのかな~と思いますが、それは違うようです。
この作品で称賛されているのはこの忠実なメイドを監督した女主人です。この作品は仕事に忠実なメイドを監督できる主婦は素晴らしいといった美徳を称賛してます。
しかし描かれたメイドの背景にあるタイルにはキューピッドが描かれ、キューピッドの矢の先には足温器があります。
足温器には恋人を望む女性を示唆しているという解釈もあります。
こんな忠実なメイドでも女の子で油断してはいけないということでしょうか。
現代の日本人なので、なぜ教訓的な作品を自宅の壁に飾りたいと思うかがなかなか理解できませんね。
癒しや美しさ、楽しさや面白さ…日々の日常の気分を上げてくれるようなものを自分だったら飾りたいな~。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。