かっこいい!私が燃える錦絵の戦争画と歴史画①
今日も生きてます。
買い物に行くときに通りすぎるお宅の窓に、たまに猫が寝ています。
窓辺は陽ざしがあたって気持ちがいいのでしょう。
たまにというのがなかなか良くて、みかけるとむふふと鼻の下を伸ばしています。
毛が生えている動物をなぜかわいいと思うのか不思議です。
(毛虫とかは苦手なのになあ)
ささやかな幸せです。
さて、引き続き 「傑作浮世絵コレクション 小林清親ー光と影をあやつる最後の浮世絵師ー」(発行者小野寺優、解説濱田信義、川出書房新社、2017年。)を読んでます。
ブログでは、小林清親について何回か取り上げてきました。
今までの小林清親のブログ
①清親の年表と人生について
②清親の光線画について
③清親とポンチ絵について
ポンチ絵とは何か?「ポンチ」の由来は?清親のポンチ絵を見てみよう!
④清親の花鳥動物画について
光線画、ポンチ絵、花鳥動物画…と、様々な画題を手掛け、それぞれ独自の表現をして実績を残しているのがすごいです。
小林清親が生きた1847年から1915年は、江戸-明治-大正と、激動の時代でした。
そもそも清親は絵師になる前に伏見の戦いに武士として参加しています。
(こちらは戦地には赴いていません。体験ではないかな?)
直接対決的戦争を生まれてから一度も体験したことのない私にとってはすごい時代です。おじいちゃんがシベリア出兵(衛生班)の話をしていたな…ロシア人の女性が美人だったとか…
明治時代、急激な西洋化に対する反発や、国民に日本国民として意識させる国策として、国粋主義が流行ります。その影響を受けて、浮世絵の画題として歴史画や戦争画が描かれます。
私個人は軍機や物語の戦闘機的な戦い合うシーンは少し苦手です。
人間同士が戦う創作物は、エキサイティングですがその分心が疲れてしまうのです。
そんな私ですが、清親の戦争画や歴史画は絵としてかっこいい!と素直に感じます。そもそも戦争や歴史を題材にしないと出てこないような表現もあります。
ということで、今日は私が燃える清親の戦争画と歴史画を見ていきたいと思います。
歴史画
歴史画は歴史を題材に描かれた作品のことを意味します。明治時代、国粋主義が高まる中で浮世絵に生まれた新しいジャンルです。
出典:「傑作浮世絵コレクション 小林清親ー光と影をあやつる最後の浮世絵師ー」(発行者小野寺優、解説濱田信義、川出書房新社、2017年。)
題名の「日本外史」とは江戸時代後期に刊行された歴史書です。武家の興亡が漢文で書かれました。
これをもとに描かれたのが清親の「日本外史之内」のシリーズです。
↑の作品で描かれているのは平安末期の武将で弓が得意だったと言われる源為朝です。
この胸をはる源為朝のポーズ、なかなか良いですね。ヒーロー!
(あけちさまのすけみつはるこすいのりうちからさきまつのず)
出典:「傑作浮世絵コレクション 小林清親ー光と影をあやつる最後の浮世絵師ー」(発行者小野寺優、解説濱田信義、川出書房新社、2017年。)
描かれているのは明智光春です。
明智光春は明智光秀の先鋒として本能寺を襲いました。その後、近江坂本城を攻められ自害します。
歌舞伎や講談では、光春が坂本城へ向かう途中、名馬に乗って琵琶湖を渡る場面が有名のようです。
この作品ではその名馬と湖を渡る場面が描かれています。
湖の波紋や、その中で泳いでいつ源為朝の表現や、画面奥にうっすら描かれた坂本城の感じも好きです。歴史的な背景知らなくてもこの絵いいなあと思ってしまいます。
小林清親画「平忠盛御堂法師を捕る図」
(たいらのただもりみどうほうしをとらえるのず」
出典:「傑作浮世絵コレクション 小林清親ー光と影をあやつる最後の浮世絵師ー」(発行者小野寺優、解説濱田信義、川出書房新社、2017年。)
描かれているのは平忠盛と老法師です。
白河法皇から祇園近くの御堂で見られる怪しい人影の調査を依頼された平忠盛。
調査しに行くと、まさしく怪しい人影が!
怪しい人影を捕まえてみると、それは御堂の灯籠に油を注いで歩く老法師であった。
という平家物語でも有名といわれるエピソードが描かれています。
灯籠の光が続く暗い森の中、怪しい風貌の老法師と、その老法師に注意を払う平忠盛。
構図のせいもあってか、ものすごく引き込まれる作品です。
清親と同時代に生きた浮世絵師月岡芳年も日本の歴史上のヒーローを画題にした作品をたくさん残しています。やっぱそういう時代だったんだろうな。
次回は戦争画について取り上げます。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。