リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

生涯経歴を隠した妻マルトと、その謎の妻と穏やかな日常を描いた画家ボナール

今日も生きてます。

 

 

 

引き続き「画家たちの妻」(澤地久枝著、文藝春秋)を読んでいます。

 

今日はボナールを取り上げます。

 

ボナールは「ナビ派」とも言われます。

 

このナビ派とは、昨日取り上げたゴーギャンを信奉して制作を続けた画家たち。つまりゴーギャンに影響された画家たちのことを示すようです。

なぜ「ナビ派」というかというと、ナビとは預言者のこと意味していて、ゴーギャンのことを預言者とした集団のことを「ナビ派」と呼びました。

ゴーギャン人間性はひどいもんだけどね!)

 

 

 

ピエール・ボナール

1867 - 1947

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出典:ピエール・ボナール - Wikipedia

Johangag - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=26154699により引用

 

日本美術に影響され、平面的・装飾性のある表現を探求した。

描かれているのは室内や庭の風景が多く、日常的なテーマを、豊かな色彩で表現した。

 

 

1867

陸軍省局長の父の家に生まれます。典型的なブルジョワでした。

 

18歳

大学法学部へ入学します。

 

20歳

夜間の画塾に通います。

 

21歳

友人からゴーギャンからもらったという護符(小さな絵)を見せられます・

 

22歳

役所でバイトしながら国立美術学校へ入学します。

ポスターの公募展に優勝します。

 

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ボナール画「フランス・シャンパーニュ」(ポスター)

23歳

アンデパンダン展に出品します。

 

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ボナール画「庭園の女たち」

26歳

妻となるマルトと出会います。

 

28歳

デュラン・リュエル画廊で個展開催

 

39歳

ベルネーム・ジュス画廊で個展をします。

契約を結び、収入が安定します。

 

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ボヌール画「田舎の食堂」1913

57歳

マルトと正式に結婚します。

 

58歳

カーネギー賞審査員になります。

作家としての評価はフランスやアメリカでも確立していました。

 

74歳

妻マルトが亡くなります。

 

1947年

79歳で亡くなります。

 

 

 

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ボナール画「身づくろいするマルト」

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ボナール画「浴槽の裸婦」

 

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ボナール画「葡萄を持つ女」

 

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ボナール画「逆光の裸婦」

 

 

 

ボナールの妻はマルトです。

 

 

二人が出会ったときボナール26歳、マルト24歳でした。

 

マルトの素性は明らかになっていません。というのもマルトというのも偽名で、マルトは生涯経歴を明かさなかったからです。天涯孤独であるとボナールには言っていたようです。

 

二人が正式に結婚したのは出会ってから32年後です。その時に初めてボナールはマルトの本名マリア・ブールサンを知りました。

 

マルトは異常なほど潔癖症で、日に何回も入浴したそうです。そして嫉妬深くもあり、夫であるボナールが他人と接触することを嫌いました。ボナールが描くほとんどのモデルは妻のマルトです。どの絵にも愛情が注がれているようにも思えます。

 

ボナールより先にマルトが亡くなります。

ボナールはマルトが亡くなった後もマルトの絵を描き続きました。

そして5年後ボナールも亡くなります。

 

 

そして興味深いことに、二人が亡くなった時に遺産を求めてマルトの姪という人物4人が現れるのです。訴訟が続き、和解成立するまで16年かかりました。

 

 

 ボナールの経歴ははっきりしていますが、意図的に経歴を隠していたマルトのことは謎が多いようです。

 

にしても結婚するまで本名も教えなかったとは…出会ってから30年近く‥不思議です。それを不安に思わず添い遂げたボナールもすごい。二人ともどちらかというと内向的な性格であったとか。

 

 

 

ボナールは日常の中にテーマを見出しました。しかもほとんどがボナールとマルトの二人の日常です。当時の風俗を描いたと、当時の事件をテーマにしたとか、そんなものとは比にならないくらい狭い世界ですよね。

 

スケッチや記憶を頼りにして描くのがボナールのスタイルで、絵に筆をずっと入れ続けて、一枚をゆっくり描くタイプでした。直接モデルを前に描く手法でしたら、マルトが亡くなったあともマルトの作品を描くこともできなかったでしょう。

 

二人の小さな世界を絵を通して私たちは見ることができますが、それはすごく平穏で幸せにみちていたんだろうなあ…と感じられる表現ですよね。というかボナール家を覗いているよな気分にもなる。

 

でも私思ったんですよね。

 

ボナールは本名も秘密にする謎の妻マルトとの生活を描いてますよね。

ということは見方によってはマルトが登場するボナールの絵画はミステリーですよね。この女性はいったい何者で、何故経歴を隠していたのか…

 

そういう斜め鑑賞術もスキルとして持っておくと、展示会を二倍楽しめると思います。

 

「日常の中のミステリー ーボナール謎解き展ー」

巨匠の残した謎を解け!(←キャッチコピー)

 

とかあったら見に行きたいですね、

 

 

 

私は日常の中を描きたいと思ったこと無いです。たぶん作家によって興味を持つモチーフが違うのでわかりやすいですが、私が描きたいのはどちらかというと人間なので、人の顔をみると凹凸を目で追ったりして造形を愛でてしまいます。

 

なので人と会話しているとき、顔を見ているときは大体何も聞こえてないです(爆

頭に残さなければならないことを聞くときは宙をみて耳の神経を研ぎ澄ませるようにしてます。(大事なことはできればメールにしてほしい。)

人のかたちはみんな個性的で見ていて飽きませんね~

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

akashiaya.jimdofree.com