今日も生きてます。
漫画の「進撃の巨人」ってそろそろ終わりが見えてきたそうですね。アニメ化も実写映画化もされ、大人気という感じです。
私がUSJに行ったときに、巨人のオブジェ(?)に遭遇したときは本当に驚きでした。完成度の高いコスプレした人も目撃したし(ラッキー!)、アツいですね。
私も最初の数冊読んで面白いな~と思っていました。続きをドキドキしながら待つのが苦手なので、物語が完結したら一気に読みたいぜ。
巨人に人が食べられてしまうは非常にショッキングで、それゆえに作品に惹き付けられますよね。
今読んでいる「食べる西洋美術史ー最後の晩餐から読むー」(宮下規久朗著光文社新書)の中には、禁断の人食(!?)を画題とした絵画も取り上げられていました。
フランシスコ・デ・ゴヤ - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4221233による
↑はゴヤの「我が子を食うサトゥルヌス」(マドリード、プラド美術館、1822-23年)です。 衝撃的な作品ですね。異常性を強く感じます。
描かれているのは、ローマ神話の農耕神「サトゥルヌス」です。将来自分の子に殺されるという予言を恐れ、5人の子を次々に呑み込んでいったという伝承をモチーフにしています。
目がとにかく怖い…。1870年代に撮影されたX線写真から、制作当時はサトゥルヌスの性器が勃起した状態で描かれていたそうです。
この画題はルーベンスも描いています。
ピーテル・パウル・ルーベンス - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1723595による
こちらはリアルで怖いですね。サトゥルヌスの口元や、子供の涙にハイライトが当てられ、ルーベンスはドラマティックな演出がうまい気がする。
ゴヤは他にも食人の作品を残しています。
実際の事件ではなく、ゴヤのイメージです。二人のイエズス会士が先住民に拷問の末殺害されて食べられるというもの。ゴヤは人間の負の深みを覗き込んだ作品残してますね。
↑はジェリコーの「メデューズ号の筏」です。西洋美術史の本によく載っている気がします。
この作品は何を描いたものかというと、1816年にフランスで起きた実際の事件をモチーフにしています。
題名にもあるメデューズ号という船が、フランスの新植民地セネガルに向かう途中にモロッコ沖で座礁してしまいます。
破損したメデューズ号の用材で臨時の筏を造り、149名が乗り移ります。最初は救命ボートが筏を牽引していたが、ボートの乗組員が筏をつないでいたロープを切断してしまい、牽引船と保存食を失った筏はあてもなく荒海をさまようこととなります。
筏は12日間漂流しました。他の船によって発見されたときに生存者は149名から15名になっていました。12日間の漂流期間中、筏の上では殺人、食人を含む様々な非人間的行為が行われたことが後に明るみになります。
ジェリコーは実際に筏に乗っていた生存者の話を聞き、病院へ行って瀕死の病人の肌をスケッチしたり、刑場で処刑された犯罪者の首をスケッチするなどしてリアリティを追求しました。そして事件の三年後にこの作品を発表します。
胸が痛くなる事件ですが、作品の中ではあまり人間同士の残虐さは描かれていません。構図が良く練られているせいか、舞台の一場面を見ているような気分。ドラマチックです。
↑はダリ「秋の人肉食」ロンドン、テートギャラリー、1936年
ダリ特有のぐにゃーんとした表現のためわかりにくいですが、二人の男がスプーン、ナイフ、フォークを握って互いの柔らかい身体を食べています。
ダリによると、スペイン市民戦争の「悲しい情念」が表現されているそうです。スペインの内戦の作品でいうとピカソのゲルニカが有名ですが、ダリも作品にしていたんですね。二人とも癖のある人間だと思いますが、人間同士が争うことはショックだったんだろうな。
「食べる西洋美術史ー最後の晩餐から読むー」の著者である宮下規久朗さんによると、直接的にカニバリズムを描いた作品はダリやルーベンスの作品以外にはあまりないようです。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。