江戸の男装文化「俄(にわか)」
今日も生きてます。
この本を読んでます。
「江戸の男装と女装」渡邉晃著、太田記念美術館監修、青幻舎を読んでます。
女装・男装した人を描いた浮世絵を取り上げている本です。
浮世絵ってそもそも男性と女性を明確に描き分けようとして表現されてない気がします…。
奥村政信「足袋の紐」
「男女の性差<美しさ」という感じで、皆美しいお顔立ちです。
18世紀半ばから後半にかけて、浮世絵では中性的な男性の表現が好まれたそうです。
ちなみに↑の作品で男性は手前で足袋の紐を結んでいる人物です。立っているのは女性。
女性の足袋の紐を結んであげるなんて、紳士的な男の子ですね。
さて、今日は吉原で行われていたとされる俄(にわか)について取り上げたいと思います。
まず「俄(にわか」とは、江戸時代から明治時代にかけて流行した即興の芝居のことです。江戸・京・大阪から全国へ広がりました。
具体的に何をしていたのかというと、寸劇や歌舞伎や仮装など…場所により内容は様々でした。
特に吉原の俄では芸者が男装していました。
その様子が浮世絵に残っていますので、見ていきましょう。
菊川英山「青楼仁和嘉全盛遊」
𠮷原で俄は八月に行われていました。
上の浮世絵の中では獅子舞をしている女芸者たちが描かれています。
それぞれ獅子と書かれた提灯や、俄と書かれた扇を持っています。題名の横に書かれているのは女芸者の名前です。それぞれにモデルがいたことがわかりますね。
落合芳幾「新吉原角街稲本桜ヨリ仲之街仁和賀一覧之図」明治二年
上の作品は江戸ではなく明治の作品。
𠮷原の俄の様子が描かれています。
手前の左側には遊女たちが祭りの様子を楽しそうに眺めています。
その目線の先には移動式の踊屋台の上で狂言や獅子舞があります。
遊女や芸者の名前は必ず書く決まりなのか、名前も記されています。
喜多川秀麿「青楼仁和嘉 助六所縁の江戸桜」
上の作品で描かれているのは「助六所縁の江戸桜」を演じる女芸者二人です。絵の中に「だい」「ほん」という名前もかかれています。
歌川豊清「新吉原仁和歌 女作浪花湊 つるや のふ」
市松模様が目を引くこの女性は刀と尺八を背にさしています。解説に「女伊達」の姿であるとあります。女伊達がわからなかったので調べてみると、強きを挫き、弱気を助ける渡世人(ばくち打ち)のことらしいです。女伊達、かっこよいです。
漫画のキャラクターとかにもいそうですね。
↑は月岡芳年「風俗三十二相 にあいさう 弘化年間廓の芸者風俗」
闇夜に輝く月を背景につややかな芸者が描かれています。男装の麗人というような感じで艶やかで魅力的です。
これは月岡芳年が描いた美人画の32枚の連作のうちの一枚です。
題名の「にあうさう」は、男装が様になってるという事のようです。
個人的にも好きな一枚です。
↑は歌川国芳「見立廿四孝 大舜」
一見すると状況がわかりにくい作品ですが、中国の伝承をもとにした劇を絵にしたものです。
親族に何度も殺されそうになったのに孝をつくした男が、奇跡を起こして象や鳥たちが畑仕事を手伝うようになった…というような内容だそうで、象が人物と描きこまれているのが個人的に新鮮です。
芝居の様子が描かれているため、象の足の下から演者の足がちらりと見えます。
浮世絵の中で俄の文字を見つけたら、絵の中の人物が男装している可能性ありますね。
この俄の祭りは現在でも残っている場所があるようです。(※男装の文化ではない)
近年ハロウィンの仮装とかよく注目されますし、この男装のイベントあったら流行りそうですね。
そして個人的な意見ですが、美しい造形の顔ってあんまり性別関係ない気がします。
ということで次回も続きます。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。