リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

雪舟について知ろう

今日も生きてます。

 

日本で水墨画の作家というと「雪舟」です。

美術興味無い人からすると、教科書に載ってる雪舟水墨画以外見ることないかもしれません。

 

以前ブログで雪舟について触れたことはあったのですが、もう少し深堀りしたいので、今日もまた雪舟を取り上げたいと思います。

 

おつきあいよろしくお願い致します。

 

 

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雪舟自画像(模本、重要文化財藤田美術館

不詳 unknown - 雪舟<新潮日本美術文庫 1>, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=6710708による

↑は雪舟の自画像を模写したものです。(室町時代)

 

静かそうな人ですね。

水墨画は禅の修行の一環だったので、筆を極めた雪舟は禅の領域でも悟りに境地にいたのかもしれません。

 

ケルトンな帽子がおしゃれ。

 

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雪舟『四季花鳥図』(東京国立博物館)

 

 

 

雪舟の生涯

 

 

雪舟ー人生の初期ー

雪舟室町時代に活躍しました。

 

1420年に備中国(岡山県)の武士の家に生まれます。

 

幼い頃自宅付近の宝福寺に入り、後に11歳になると京都の相国寺で禅の修行(&絵の修行も)始めます。

 

有名な逸話の一つにこんなものがあります。

 

幼い日の雪舟が、絵ばかり描いて他の修行をしなかったので、寺の僧が雪舟を仏堂の柱にしばりつけます。

しかし雪舟は床に落ちた涙を足の親指につけ、床に鼠を描いていました。

僧はその見事さに感心し、雪舟が絵を描くことを許しました。

 

事実かどうかはわかりませんが、雪舟が幼いころから絵に興味を持っていたことがわかります。

 

当時文芸で身を立てるには寺に入るのが唯一の道であったそうです。

 

 

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『山水図』(拙宗、京都国立博物館

 

 

雪舟ー人生の中期ー

実は今ではめちゃ有名な雪舟ですが、30代半ばまではあまり派手な活躍はしていませんでした。

 

45歳ごろに守護大名大内氏の庇護のもと周防国(山口)にアトリエを構えます。

 

このころから「雪舟」と名乗るようになります。

 

その後48歳(1467年)になると明へ渡り、本格的な水墨画を学びます。

 

雪舟の弟子への便りの中に、

「明の画壇に見るべきものはなく、日本の詩集文や叙説を再認識した」

とあり、明の時代の画家よりも宋・元時代の画家を学びました。

 

そして50歳(1476年)で日本に帰国。

 

日本に帰国した時は応仁の乱の最中でした。

 

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四季山水図(山水長巻)(毛利博物館)

 

雪舟ー人生の後期ー

 

その後は大内氏に仕え、絵を描いたり、庭をつくったり、活躍します。

 

様々な名作を残し、87歳(1506年)に亡くなります。

 

 

 

雪舟ー死後の評判ー

 

江戸時代、狩野派雪舟を師と仰いだことで大名が雪舟の作品を求めるようになります。そうして贋作も数多く出回るようになり、今では水墨画の巨匠として不動の地位に君臨しています。

 

 

 

 

 

 

雪舟の風景画

 

 

↓の作品は国宝の「秋冬山水画」です。

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雪舟は奥行を感じさせる構図を使用しつつ、実際とは異なる風景を墨の濃淡で表現しています。

 

 

 

また、大内氏のお抱えの絵師であった雪舟は、絵を使って他国の情報を伝える役目もありました。

 

そう、雪舟はスパイ的な役割もあったんですな。

 

↓は国宝「天橋立図」

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大内氏の命を受けた雪舟が実際に歩いて情報収集した土地を頭の中で再構成して俯瞰した図を描いています。

 

すごく難しいことだと思います。

 

紙にはたくさんの継ぎ目や書き直しがあり、本作ではないことがわかります。

 

 

 

 

 

個人的に雪舟の作品は風景より人物画の方がやはり好きです。

 

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『慧可断臂図』(斉年寺)

かっこいいですな。

しびれるぜ。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。