リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

瑞獣とは?龍・鳳凰・霊亀・麒麟ーもっと知りたいカッコいい霊獣たち!①龍編ー

今日も生きてます。

 


f:id:akashiaya:20191202220324j:image

この作品は曾我蕭白(そがしょうはく)の雲龍図」(部分)です。

 

迫力のある顔ですね。

個人的にはかっこいいというより面白い顔ですよね。

 

 

「龍」は空想上の霊獣ですが、古代の中国では生き物の長として「龍・鳳凰霊亀麒麟という四つの霊獣がいるとされていたそうです。

 

 

霊亀以外の名前はどこかで聞いたことありますね。

 

 

それぞれ絵のモチーフになることも多いので、今日はそもそもこれらの霊獣とはどういう存在であるのかということについてみていきます。

 

 

 

 

 

瑞獣とは?

 

 

孔子の問答などが集録された孔子家語」の中では、この世の中の生き物を五つに分類して五虫(ごちゅう)と称しています。

 

 

 

五虫

 

鱗虫

鱗を持つ生き物

 

羽虫

羽を持つ生き物(鳥類)

 

毛虫

毛を持つ生き物(獣類)

 

甲虫

殻や甲羅を持つ生き物

 

裸虫 

人間

 

 

 

 

 

この五虫にはそれぞれがいます。

 

 

 

 

鱗虫の長→


羽虫の長→鳳凰

 


毛虫の長→麒麟

 


甲虫の長→霊亀

 


裸虫の長→聖人

 

 

 

この中で、聖人以外の四つの長「龍・鳳凰麒麟霊亀は、瑞兆(良い事の兆し)のときに姿を現す瑞獣(ずいじゅう)と呼ばれます。

 

 

それぞれの特徴を作品と共にみていきます。

 

 

 

 

〇龍

 


f:id:akashiaya:20191202220825j:image

葛飾北斎画『竜図』



f:id:akashiaya:20191202220627j:image

歌川国政画「釈迦八相記今様写絵」



皇帝の象徴として表現されます。

 

 

元や明の時代には皇帝の装飾品などに使用する龍は5本指(爪)。

 

認められた皇族は4本。

 

庶民は3本。

 

と決められていたそうです。

 

反逆すると死罪であったとか…(ひえぇ)

 

 


f:id:akashiaya:20191202221139j:image

本朝武者鏡画 「二位の尼」 

 


f:id:akashiaya:20191202220427j:image


f:id:akashiaya:20191202220441j:image

曾我蕭白(そがしょうはく)「雲龍図」

 

龍の外見は色々な動物の特徴が組み合わせっています。↓

 

鱗は鯉

角は鹿

頭は駱駝

眼は兎(又は鬼)

首は蛇

腹は蜃(しん)

※蜃(しん)は、蜃気楼を作り出す伝説の生物。

爪は鷹

手は虎

耳は牛

口辺に長髯をたくわえている

 

首〜腕の付け根の長さ=付け根〜腰の長さ=腰〜尾の長さ

 

 

ここで個人的な見解ですが、龍は「鱗虫の長」つまり、魚や蛇などの種族の長なので、鱗関係生き物の特徴を集約した外見の霊獣の方が理にかなっているのではないのでしょうか?

 

なぜ鹿や兎や鷹の特徴を入れてしまったんだろうか…なんだかすっきりしない。

 

 

 

 

 

 




f:id:akashiaya:20191202223648j:image

f:id:akashiaya:20191202223656j:image

f:id:akashiaya:20191202223707j:image

f:id:akashiaya:20191202223715j:image
陳容画 九竜図

 

「9」の数は中国で天の数とされているそうです。幸運の数字でもあります。

 

そのため、中国の龍は9の数に関連づけられることが多いです。

 

龍の鱗の数も117(9×13)枚持つとされます。 

 

その鱗のうち、あごの下に1枚だけ逆さに生えているものが「逆鱗」です。

(なぜこのような設定が加えられたかは謎。)

 

 

 

 

 

 

 

 


f:id:akashiaya:20191202224340j:image

横山大観画「龍興而到雲」 

 

龍は湖や海のそこに生息し、雷雨と共に姿を現します。

 

そのため雷や雨、雲と共に描かれることが多いです。

 

 

雨を降らせる神様として信仰されているので、火除けとして禅宗寺院の天井にも描かれます。

 

 

 

 


f:id:akashiaya:20191202224737j:image
葛飾北斎画「富士越龍図」

龍は顎下に願いをかなえる宝珠を持つとされています。

 

ドラゴンボールですな。

 

なぜ龍が宝珠を持っているかということに関しては、インド初の蛇神様が中国の龍と融合したという説があるようだ。

 

インドの蛇神様が頭に玉を乗せているそうだが確認できず。

 

 


f:id:akashiaya:20191202225049j:image

長谷川等伯画「龍虎図屏風」

 

 

画題として龍は武士や禅僧の間で人気でした。

 

実在しない龍と、実在する虎を一緒に描く「龍虎」の画題も好まれました。

 

これは中国の古代書で、哲学や占いなどについて書かれている「易経」(えききょう)に由来します。

 

 

 

龍吟ずれば雲起こり、

虎嘯けば風生ず

 

 

 

雲は龍に従い、

風は虎にしたがう。

 

聖人作りて萬物現はる。

 

 

それぞれがそれぞれを相伴うことによって一層その勢いを増すということを意味しているそうです。

 

なんだかとってもカッコいい感じはすごく伝わります。この画題が武士に愛されたのもわかるなあ。

 

 

 

今日はここまで。

次回はは鳳凰です。

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

明石 恵 Aya Akashi website - 明石 恵 Aya Akashi website