リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

水滸伝ー歌川国芳、人気絵師のきっかけー

今日も生きてます。

 

昨日は中国の三國志の画題を取り扱いました。

 

今日も中国の文学から水滸伝」(すいこでん)を紹介します。

 

昨日と同じく、名前は聞いたことあるけれども内容はしらない中国有名文学。

 

先に水滸伝について少し解説しておきます。

 

 


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歌川国芳

 

 

 

水滸伝」(すいこでん)

 

明の時代の中国で施耐庵(あるいは羅貫中)が書いた小説。

 

「滸」は「ほとり」の意味であり、『水滸伝』とは「水のほとりの物語」という意味。

 

「水のほとり」とは、作中に出てくる中心的な場所「梁山泊(りょうざんぱく)」のことです。 

 

梁山泊とは地名で、中国に昔からある沼のある地域です。

 

 

物語のあらすじ

ざっくり言うと、前半では108人のヒーローが梁山泊に集まり、後半ではそのヒーローたちが力を合わせて国のために敵と戦う話です。

 

水滸伝の序章では108人の因縁についてえがかれています。

 

竜虎山の中に、唐時代に108人の魔王を封じ込めたと伝えられていた伏魔の殿という祠がありました。

 

ある人間がそれを開けてしまいます。

 

すると黒雲がわき上がり、天罡星36柱、地煞星72柱の魔王たちが金の光となって飛び散ってしまった。

 

やがて合わせて108個の魔王は、人間に生まれ変わり、後の時代には梁山泊に結集します。

 

 

前半は基本的にその108人についてどういうわけで梁山泊に来ることになったのかということがえがかれています。

 

警察に追われてきたものや、誘拐されたものなど、それぞれ様々です。

 

後半では梁山泊の山賊たちを危険視する朝廷が、梁山泊のヒーローたちを配下に納め、梁山泊のヒーローたちが国の敵と戦います。

 

さてみんなどうなっていくのか…

 

 

 

というようなお話です。

 

 

 

 

 

このお話は江戸時代ブームになります。

 

そんな中、水滸伝に登場するヒーローたちを躍動感溢れる姿で表現した浮世絵も大ヒット。

 

歌川国芳水滸伝のシリーズで人気浮世絵作家の仲間入りしました。

 


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歌川国芳

「通俗水滸伝豪傑百八人之壹人 浪裡白跳張順」

(ろうりはくちょうちょうじゅん)

 

物語の中で水軍のトップをするほどの水泳の達人です。

敵が籠城する城の水門を怪力で突破している様子です。すごいですね…

 

 


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歌川国芳

「通俗水滸伝豪傑百八人之一個 九紋龍史進

(くもんりゅうししん)

 

9匹の龍の刺青をしているから九紋龍史進と名乗った人。

場面は争いになった山賊をこらしめているところ。

 

 


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歌川国芳

「通俗水滸伝豪傑百八人之一個 花和尚魯知深初名魯達」(かおしょうろ ちしんしょめいろたつ)

 

名前の「花」は桜の刺青のこと。

絵は松の木を鉄の杖で打ち砕き、役人を威嚇しているところ。こ、こわい…

 

 


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歌川国芳

「通俗水滸伝豪傑百八人之一個 浪子燕青」(ろうしえんせ)

小柄で細身の美少年設定。

相撲の試合で大関を倒した後、大関の弟子が襲いかかってきたところを棒を振り回し戦う場面です。

水滸伝のキャラはみんな刺青してるんだなあ

 

 


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歌川国芳

「通俗水滸伝豪傑百八人之一個 短冥次郎阮小吾」

(たんめいじろうげんしょうご)

 

漁師生まれの三兄弟の次男。

水中で敵をとらえようとする姿が描かれています。

 

 


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水滸伝豪傑双六」

子供もはまってたことがわかりますね。

 

 

歌川国芳水滸伝シリーズは刺青界にも革命を起こします。

それまで輪郭線が主流だったものがカラフルな絵柄になりました。

 

 

 

浮世絵はみんなに受けることを第一に作られているので普通にみていて楽しいですね。

どこに視線が移っても画面の外に誘導しないようになってて勉強になります。

 

 

きょうはここまで

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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