あやしい橘小夢
今日も生きてます。
彫ったり描いたり…黙々と。
さて今日も「あやしい美人画」(東京美術 松嶋雅人著)を読んでます。
きょうの一枚↓
橘小夢(たちばなさゆめ)の「水魔」です。
個人的には好きな作品です。
橘小夢(1892-1970)は秋田生まれの画家です。
同郷なのが嬉しいです。
旧制中学校卒業後上京し、白馬会研究会で黒田清輝に洋画を学びます。
3年後には川端画学校で日本画を学びます。
その後出版物のイラストを手掛けるようになります。
色々な縁で本の装丁や芝居関係などに仕事が広がっていきます。
1818年頃、地元の詩人で秋田文学の中心的存在だった帯屋(山内)久太郎の尽力により、小夢を支援する会が発足します。
昭和7年から「夜華異相画房(やかいそうがぼう)」を版元に新版画を自費出版しています。
しかし、その第一回目の「水魔」が発禁処分を受けてしまいます。
軍国主義が強まる当時の世相と、妖美溢れる小夢の画風が相容れなかったと推察されます。
戦時色が強くなっていくと、芝居関係の仕事に重心を移し、舞台衣装のデザイン、舞踏詞の作詞などを行いました。
次第に持病の心臓病が重くなり、療養生活をおくることが多くなります。
昭和45年、77歳でなくなります。
小夢は日本の伝承、民話、怪談をテーマに制作しました。
きょうの一枚の水魔には女性の背中に河童がしがみついています。
河童によって水底に引きずり込まれる様子が描かれています。
普通の感覚ですと、水底は絵の下に描き、河童は絵の下に向かって女性を引きずり込むうに描くかなーとおもいます。
しかし小夢は水面を画面下に描き、まるで上昇していくように表現しています。
水面の渦巻きと水中の波を表現している波線の組み合わせが面白いなあ。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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