妖魚
今日も生きてます。
サクランボをおいしく食べています。
さくらんぼのクラフティとかつくってみたいです。
さて、今日も「あやしい美人画」(東京美術 松嶋雅人著)を読んでいます。
今日の一枚↓
鏑木清方(かぶらききよたか)の「妖魚」です。
ギリシャのセイレーンを彷彿させるあやしい絵です。
鏑木清方(1878-1972)はジャーナリストでありながら人情本作家の父のもとに東京で生まれます。
13歳になると浮世絵師の系譜を引く水野年方に入門します。
翌年には日本中学をやめ、画業に専心しています。
17歳ころから清方の父親・採菊が経営していた「やまと新聞」に挿絵を描き始めます。
21歳以降から、日本絵画協会展や帝展に出品するようになります。
そして美人、風俗画家として活動を始めるようになります。
作家仲間と烏合会や金鈴社を結成します。しかし清方自身はこうした会派、党派的活動には関心があまりなかったようです。
大家としての評価が定まり、その後も「本絵」制作のかたわら挿絵画家としての活動も続けます。
青年期の時に知り合い、影響を受けた泉鏡花の作品の挿絵も描いています。
清方自身も文章をよくし、『こしかたの記』などいくつかの随筆集を残しています。
1954年には、文化勲章を受章します。
明治、大正、昭和を生き抜いた清方は93歳で亡くなりました。
最初に紹介した妖魚は岩の上で正面を見つめる人魚があやしく佇んでいます。
ディズニーのアリエルとは大違いです。
手をよく見てみると小魚を弄んでいます。
世紀末芸術などの西洋美術に影響を受けた時期の作品です。
他の美人画にあやしさはなく、この妖魚だけ特異です。
個人的にはこの絵を見るとファム・ファタル(恋心を寄せた男を破滅させるために、まるで運命が送り届けたかのような魅力を備えた女)をイメージします。
関わったら地の底まで落とされそうな雰囲気を描き出しています。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。