あやしい菱田春草
今日も生きてます。
台風が来るという予報ですがまだ外は晴れています。
家の中に湿度を持ち込みたくないので、雨が降りそうだという天気でも洗濯物を外に干しています。
雨の音がしたらすぐ家の中に取り込もうと毎回思っているのですが、絵を描くことに集中すると雨が降ったことに気が付かず、後悔したことが多々あります。
今日は…大丈夫!
さて、今日も「あやしい美人画」(東京美術 松嶋雅人著)を読んでます。
今日の一枚↓
菱田 春草(ひしだ しゅんそう)が描いた『水鏡』です。
菱田春草(1874年- 1911年)は岡倉天心の門下で、横山大観の作家仲間です。
心がピュアそうな素敵な面持ちですね。
菱田 春草は長野県に旧飯田藩士の三男として生まれます。
そして東京美術学校に入学します。横山大観、下村観山の1学年後輩です。
当時校長であった岡倉天心の強い影響をうけました。
横山大観については↓
下村観山については↓
岡倉天心が東京美術学校内での権力抗争に負け校長を辞任すると、当時東京美術学校の教師をしていた菱田春草や横山大観、下村観山も学校を去ります。
そして日本美術院の創設に参加しました。
その後春草はインドやアメリカ、ヨーロッパをまわります。
そして大観、観山らとともに制作をしました。
満37歳の誕生日を目前にして腎臓疾患(腎臓炎)のため亡くなりました。
黒き猫(重要文化財)
猫の絵はどこかで目にしたことがあります。
私は日本画科ではなかったので知りませんでしたが、日本画は縦社会で保守的な雰囲気のようです。昔からの流れがあるんですね。
岡倉天心はそんな中新しい日本画を目指して制作をした偉人なのだということがようやくわかってきました。
その影響下にあった菱田春草も革新的な手法をいろいろと作品の中で挑戦しています。
上の作品は春草の『賢首菩薩 』です。
今では重要文化財ですが、文展に出品した時、色彩点描技法を使ったこの作品は革新性のため、当時の審査員には理解されなかったそうです。
他にも空気遠近法や輪郭線を使わない技法「朦朧体」を用いて伝統的な日本画の世界にさまざまな斬新な技法を導入しました。
(空気遠近法が使われている↑)
一番最初に紹介した『水鏡』
描かれているのは天女です。
下の水面には足元だけが映っています。
天女の手には青から紫に色が変わる紫陽花があります。
天女の美しさがやがて衰えることを暗示しています。
絵の題目は今まで日本画の伝統的なものと変わらないのかなあ。
岡倉天心とその周辺をもう少し知りたくなりました。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。