あやしい葛飾応為
今日も生きてます。
日本の巨匠を学ぶべく本を借りました。
自分の生まれた国の作家なのに知らない人ばかり…
この世界は学ぶことが多い。
さて、今日も『あやしい美人画(東京美術 松嶋雅人著)』を読んでます。
今日の一枚↓
この作品は葛飾応為(かつしかおうい)の「夜桜美人図」です。
葛飾北斎に娘がいたことは有名でしょうか?
2017年に北斎の娘が主役のNHKドラマ『眩(くらら)』がやっていたようなので、知っている方も多いのでは?ちなみに宮﨑あおいが応為役。
富士山の浮世絵で有名な葛飾北斎には6人子供(二度結婚している)がいます。
絵にしか興味がないのかと思ったら意外に普通に結婚するという感覚も持ち合わせていたんですね。
応為は北斎の三女です。
上の「夜桜美人図」は北斎にはあまりない色使いや構成ですね。
燈籠の光をうけている部分だけ桜や顔、短冊を持つ手が浮き上がっていて、ほかは暗いシルエットになっています。
家の中では書けない見られてはいけないものなのか?
わざわざ燈籠の灯りを頼りに何を書いてるんだろうか?
シルエット部分ではわからない花の輪郭が光の下でわかるところも面白い。
暗い空に輝く星も素敵ですね。ロマンチックですわ。
葛飾応為『吉原格子先之図』
上の吉原の作品もいいですね。
顔が見えているのは奥の花魁一人だけ。
あとは後ろ姿や格子越しにちらちら隠れてしまっています。
そこが逆に鑑賞者を惹きつけますね。
一枚目の作品より光の使い方が複雑になっていますけど、絵の中で混乱起きずにもっと視覚的に面白い構成になっているなー。すごい。
この見たいもの(人の顔)をあえて見せない構図は小悪魔的ですね。
心理的にも楽しい絵。
北斎の遺伝子ほしい。
現代の私たちから見ると夜の吉原の雰囲気を味わうことができてそれもまた楽しいです。
↑葛飾応為
葛飾応為は町絵師に嫁ぎました。
しかし針仕事を殆どしないうえに、旦那の描いた絵の拙い所を指摘し笑ってしまい、離縁されてしまいます。
作家同士で付き合った場合これは禁じ手ですね。
男性はプライドもありますからね。これやると心の損傷が激しいですよ。
出戻った応為は晩年の北斎と暮らすようになり、北斎の助手をしました。
応為は顎が出ていたため、北斎は「アゴ」と娘を呼んでいたそうです。
北斎デリカシーなさそうだなあ…。
しかし北斎は
「美人画にかけては応為には敵わない。彼女は妙々と描き、よく画法に適っている」
と語ったと伝えられているので、応為の腕を認めていたんですね。
応為の晩年について詳しいことはわかっていないそうです。
葛飾応為『月下砧打美人図』
葛飾北斎の子孫は現代にいるのかな?
とふと思いました。
今日はここまで。
最後まで読んでいただきありがとうございました。