リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

日本人なら知っておきたい狩野派の歴史ー余白の探幽ー

今日も生きてます。

 

昨日はお世話になったアートマネジメントの先生と作家たちとお食事でした。

 

皆いろいろやり方で仕事をしていてなかなか刺激的です。

 

美術系の仲間と集まっても意外に美術談義「芸術とは…!」とかはしません。

美大の友人たちともあまりそういう話しはしなかったな。

 

優しそうな人でも臆病そうな人でも、ものを作る人はその人なりのゆずれない美意識と価値観を持っています。

 

本気でそんな話をしたら流血沙汰の喧嘩になること請け合いです。

 

 

ちなみにそんなことを作品にしていた人がいました。

現代作家の田中功起さんという人で、この人は映像作品を多く作っている作家さんです。

 

五人のピアニストがどうやって一台のピアノを弾くか…

 

9人の美容師が一人の髪を切ったら…

 

など、プロセスを映像に納めてます。

 

プロがひとつのものを作るとどうなるのか…ぶつかり合うのか、協調するのか、人間社会について考えさせられる作品です。

 

 

話が横道にそれましたが、今日も狩野派の歴史について見ていきます。

 

前のブログ↓

日本人なら知っておきたい狩野派の歴史① - リアル絵描き日記

 

 

日本人なら知っておきたい狩野派の歴史②ービジネスマン元信ー - リアル絵描き日記

 

日本人なら知っておきたい狩野派の歴史ー天才永徳登場ー - リアル絵描き日記

 

日本人なら知っておきたい狩野派の歴史ー政局の孝信ー - リアル絵描き日記

 

 

とりあえず系図を見ます。


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上の画像は幻冬舎から出版されている「知識ゼロからの日本絵画入門」安河内眞美さん著から借りた図です。

 

昨日は孝信について触れましたが、今日はその息子探幽です。


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↑は狩野探幽の門下の一人、桃田柳栄が描いた探幽像です。あだ名はももたん。

 

狩野探幽(1602-1674)は、孝信が31歳頃の時の子供です。

 

孝信は昨日のブログにも書いたとおり、権力がどこに移るかわからない時代に、

 

朝廷の京都

豊臣秀吉の大阪

徳川家康の江戸

 

それぞれに絵師を派遣するということをします。

 

狩野探幽は江戸に派遣されました。

1612年、探幽10歳の時に徳川家康に謁見します。15歳には江戸幕府の御用絵師になりました。

 

1621年には江戸城鍛治橋門外にお屋敷をゲットし江戸に移ります。

 

そして1623年には狩野家の本家を弟の安信に譲ります。

 

永徳直径の孫光信が早くに亡くなってしまったからです。

江戸で探幽は自分で鍛治橋狩野派を起こします。

 

そしていろいろな作品を制作し、73歳でなくなりました。

 

 

 


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雪中梅竹遊禽図襖

1634年191.13×135.7㎝

 

探幽は最初は永徳のような豪華な絵を描いてましたが、だんだんその作風は上品なものに変わっていきました。

太平の世になったからという解説もできますが、個人的には永徳の顧客は織田信長、探幽は徳川家。この二人が同じ好みであるわけないので、顧客の趣味の違いじゃないかしらとも思います。

 

上の作品は名古屋城徳川家光が上洛の途中に立ち寄った迎賓の部屋のために制作されました。

 


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四季松図屏風

156.5×367㎝ 六曲一双 1641-1646年頃

曲とか双とかなんやねんというかたはこちら↓

屏風のつくり-双とか隻とかよくわからんですよね- - リアル絵描き日記

 

 

 

4本の多様な松が描かれています。

これはひとつのモチーフで四季を表現するという大和絵の手法を取り入れています。

探幽40代前半の傑作です。

 

余白の探幽といわれた彼は(呼んだのは私だけかもしれん)、余白を十分に取り入れ、枠内に品格よく収まった絵を描きました。

 



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鳳凰図屏風

17世紀中頃 158.2×377.6 六曲一双

 

六代将軍の徳川家綱の婚礼のために制作したものという説が有力。

縁起物のひとつとして描かれた鳳凰がモチーフになっています。

鳳凰を描くときは桐も対の画題として描かれます。

 

 


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徳川家康像 大阪城天守閣

 

耳たぶが大きい人だったんですね。(ふふふ)

家康の顔がはっきりとわかる肖像画です。

 


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波濤群燕図(はとうぐんえんず)

17世紀

151.7×27㎝

 

墨で波の上を飛ぶ燕のようすが描かれています。

360度どこからみても、どこの燕のポーズでも、墨だけで証言してしまうのはすごい力量です。

燕は巣をつくると家が繁栄する、幸せを運んでくるなど、鳥の中でも尊ばれ、意地悪するとよくないことが起きると信じられていたそうです。

 

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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