鏡と絵画の3つの関係
今日も生きてます。
秋も深まってまいりました。皆さんいかがお過ごしですか?
私は玄米に塩サバ…そんな毎日です。食欲の秋を堪能しております。
さて、昨日は鏡の歴史についてざっと触れました。今日は絵画の中での鏡を見ていきます。
モナ・リザを描いたことで有名なレオナルドダビンチは「絵画論」の中で(正確には彼の手記ですが)鏡を画家の師匠と例えていたり、「画家の心は鏡のようでなければならない」と書いたりしています。
良質の鏡が大量生産されるようになると絵画は「世界の鏡」にたとえられました。
そしてもう一つの大きな変化は絵画に自画像というジャンルが生まれたことです。絵を描く自分を鏡で見つめながら描くというのは特殊な行為ですよね。
↑レオナルドダビンチの自画像
レオナルドダビンチのように鏡の存在を感じさせない平面鏡による立派な自画像を描いた画家もいれば、パルミジャニーノのようにわざわざ凸面鏡に映った自分を描いた画家もいます。(しかもかっこよく)
絵画には描かれているモチーフによって意味があるものがあります。もっぱら聖書から引用されていることが多いです。
昨日受胎告知の絵を何枚か載せましたが、受胎告知ではキリストを身ごもった聖母マリアにそのことを知らせる天使はマリアが清純であることを表す百合の花を持っています。または画中に描かれていることが多いです。そのことから絵の中に百合の花が描かれていたら受胎告知のことや清純であることを暗喩している場合があります。(もちろん全く関係なく描かれていることもあります。)
16、17世紀にフランドル地方(北ヨーロッパ)で多く描かれたテーマにヴァニタスというものがあります。ヴァニタスはラテン語で「虚栄」「虚しさ」を意味します。ヴァニタスをテーマにした絵の多くは静止した自然物が描かれた静物画です。描かれているモチーフとしては頭蓋骨(死を意味する)、時計や煙を出すパイプやランプ(人生の短さ)、貝殻や泡(人生の簡潔さや死の唐突さ)があります。
鏡にも絵によっては暗喩がある場合があります。若い女性が鏡に顔をうつしていて、傍らで老婆や骸骨が描かれている場合、その絵は若さ美しさも時間には勝てずに死に至るということを示唆しています。鏡は絵の中でそれを表現するアイテムになっています。
こういう教訓とは関係なく構図のうえ鏡が利用されている場合もあります。
クリストファー ヴィルヘルム エッケルスベール「鏡の前に立つ女」
鑑賞者に背を向けている女性ですが、鏡を配置することでこちらに顔が見えるようになっています。↑
ヤン ヴァン エイク「アルノール・フィニ夫妻の肖像」
わかりづらくて申し訳ないのですが、中央に凸面鏡があり中に綿密に部屋の様子が描かれています。
画面中央付近の鏡により、実際には画面の中にはいない王と王妃の姿を確認できます。
絵の中に鏡を配置することによって違う空間を取り込めます。構図的に面白くなりますよね。鑑賞者としても何が鏡の中に入り込んでいるかで実際に描かれている空間と補完し合って絵を読み解くことができます。うまく言葉にできませんが、視覚的にも意味的にも複雑になって、とってもおいしくなります。
絵画と鏡の関係
①自画像との関係
②暗喩をもったモチーフとしての関係
③構図との関係
個人的には意味や構図を工夫して絵に取り込んでいけばとってもおいしい(視覚的意味的に)絵画になりそうです。研究します!この三つ以外にも鏡の関係を探しながら絵を見るのも楽しそうです。
きょうはここまで。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
☆展示のお知らせ☆
「チャリテイー・アート展」
売り上げの一部が災害遺児愛護活動に寄付されます。
会場 ギャラリー杉(さん)
会期 11/23(木)-12/5(火)
時間 10:30-18:30
ギャラリー杉のWEBSITE
http://sangarou.sakura.ne.jp/index.htm
26日の午後に在廊予定です。
多数の作家さんが出品されていますので、鑑賞の邪魔にならぬよう長居できません。
明石の絵の話を聞きたいという方はコンタクトからメールをください。25日と26日秋田にいる予定ですのでなるべく都合を合わせたいと思っています。