ヴァルールを教えてくれる変なおじさん
今日も生きてます。
画像は通りすがら見た風景。
提灯が風に揺られています。夏だなあ。提灯をみると秋田の竿灯まつりを思い出します。意外と実際見ると感動するお祭りです。
今日は絵を描きつつ、部屋の整理をしていました。足の踏み場がないからです。もうどうしようもありません。こうなったら踊るしかありません。タップダンスです。ホップステップジャンプです。そして宙に浮かぶのです。
そして絵は間に合うのか!発送はどこ使うか!服はどうしよう!
など心配事がたくさんあり、展覧会前はナーバスになっております。(基本的にいつも心配事はしてるかもしれません。)
個展詳細はこちらから
明石 恵 Aya Akashi website - 明石 恵 Aya Akashi website
今日はバルールについて取り上げます。お付き合いよろしくお願い致します。
アトリエの中で必死にイーゼルのキャンバスに向かって絵を描く新人画家。
集中して物音に気がつきません。
そしてベレー帽をかぶり、厚い眼鏡をかけ、立派な白い髭をたくわえた初老の男性が、まさしく巨匠(先生)といったような雰囲気で静かにドアから入ってきます。
そっと絵を描く画家の背後で制作を見守り、しばらくして眼鏡をかけ直しながら一言言いました。
「バルールがあっとらん。」
他は余計なことを言わず、すっとアトリエから出ていきました。
制作に集中していたためその言葉で老人の存在に気づいた新人画家が驚いて振り向いた時には老人はアトリエから出ていくところでした。しかし慌てて呼び止めます。
「すみません!」
老人が振り返ります。新人画家が続けます。
「バルールってなんですか?」
老人は一度目を見開きましたが、にっこり笑って新人画家に語りかけました。
「説明しよう!
バルールというのはな、日本語にすると色価というんじゃ。絵の中で使われる色の 色相・明度・彩度などの関係による「色の価値」のことを意味するんじゃ。
世界は色んな色に溢れているじゃろう?しかし絵の具の色は限られておる。そんなとき画家は限られた色の絵の具同士を絵の中で調整して絵の世界をつくるのじゃ。
実際現実で見るともっと明るく見える色も、絵の中ではその世界が調和するように現実より暗く見える色を使ったりする。
絵の世界のつじつまが合うように色の彩度や明度、色相をコントロールするのじゃ。
これがうまくいっているとき、バルールがあっているというんじゃよ。逆にそれがうまくいっていないときは、バルールがあっとらんということじゃ。君が今かいてる絵、バルールが合うと歴史に残る傑作になる可能性があるぞ。」
ひとしきり話すと老人は新人画家にウィンクしました。
「僕の作品が!?歴史に残る傑作!!!ありがとうございます!!!」
新人画家は喜んで老人に言いました。
そして老人は喜ぶ新人画家を横目にふふふと微笑みながらアトリエからでようとしました。
「すみません!」
その老人をまた新人画家は呼び止めます。
「結構序盤から気になってたんですが、あなた様はどちら様ですか?」
老人はふりかり、
「私ぐらいの年齢の男性が誰ですかと聞かれる。そのときの答えは大体変なおじさんと相場が決まってるんじゃ。」
と言うと、
変な躍りを躍りながら宙に浮かび、天井を幽霊のように通り抜けていきました。
おわり。
ヴァルールについて調べましたが解釈は色々あるようです。変なおじさんの説明は私なりの解釈です。
個人的に参考になったページを貼っておきます。
◎二年間お世話になった新宿美術学院のブログ。
◎アートスケープ
今日はおとぎ話風にしてみました。
最後まで読んでいただきありがとうございました。