リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

獏ってなに?

今日も生きてます。

 

空想の生物のシリーズが続いてます。

 

今日は「獏(ばく)」をとりあげます。

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Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1271546

葛飾北斎画「北斎漫画 第二編」

 

 

 

 

 

 

〇日本の獏、中国の獏

 

 

獏は悪夢を食べるということで有名です。

 

実は獏が悪夢を食べるという設定は日本だけのものです。

 

獏の生まれ故郷である中国で、獏(の毛皮)は病気や邪気を払う存在ですが、悪夢は食べません。

 

日本に獏が伝わり、室町時代末期には「獏は悪夢を食べる」存在になっていたようです。

 

あの豊臣秀吉も獏の枕を使用していました。

 

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うぃき野郎 - 投稿者自身による作品, CC 表示-継承 4.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=56825088による

豊臣秀吉が使用したと伝わる獏枕↑(※真偽は不明)

 

 

江戸時代には獏を描いた札が縁起物として流行し獏の絵が描かれた枕獏の形の枕夜着がつくられました。

 

 

なんというか、そんなに悪夢に困っていたのでしょうか?

(明石は全く見ないぞ)

 

 

 

 

〇獏の姿

 

獏は古くから中国の様々な文献にみられますが、外見については統一されていません。

 

白豹やパンダに似ているという説もあります。

 

唐代中期の詩人である、白居易(はくきょい)が獏の外見について文章を残しています。

 

「貘屏賛」の中には、白居易が頭痛に悩まされたときに小さな屏風に獏の絵を描かせたことや、獏が鉄を食べるということ、鼻はゾウ、目はサイ、尾はウシ、脚はトラにそれぞれ似ていることなどが記されています。

 

獏が鉄を食べないということが転じて、武器がない世の中→平和、という意味で寺社建築に彫られているという説があります。

 

 

 

〇獏の効用

 

お正月にいい夢が見られるように、七福神が乗る宝島の絵を枕の下に敷いて眠るという風習がありました。江戸時代には悪い夢を食べてくれる「獏」の字を宝島の帆の部分に書くことがあったようです。

 

また、悪夢を見たときに、「獏にあげます」と唱えると、同じ夢を見ないとされていました。


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曾我蕭白「獏図」

曾我蕭白の獏の姿は象の鼻、牛の尾、虎の足に近いです。

 

外見の文献が少ないものは描くときに困りますね。

 

 

 

 

 

日本の絵画で縁起物って多すぎないかいは?と思っていました。

そんなに縁起の悪いものを恐れていたり、目に見えないものの脅威が激しかったりしたのかなあと不思議に思っていましたが、江戸の人々は身を守るためというよりも、縁起物を楽しんで生活の中にとりいれていたのかなと思いました。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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