リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

あやしいトミノの地獄

今日も生きてます。

 

三度見ると死ぬ絵…

論破すると精神に異常をきたすといわれる奇書…

歌の4番目を歌ってしまうと…

 

 

等々、都市伝説ってたくさんありますよね。

 

信じるか信じないかはあなた次第ですっ!のあの番組きっかけで脚光を浴びてますね。

 

事実に則していなくてもでも噂ばなしにはちょうどいいし、面白いですよね。

 

 

さて、今日も「あやしい美人画」(東京美術 松嶋雅人著)を読んでます。

 

 

あやしい美人画も少しずつ読み進めて、とうとう紹介する絵が二枚になりました。

 

 

この本の面白いところは日本画や浮世絵の美人画が紹介されている中でラスト2枚はマンガであるところ。

 

 

ということで今日紹介するのはこちら↓

 


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丸尾末広さんが描いた漫画「トミノの地獄」です。

 

トミノの地獄の漫画のあらすじは、親に捨てられ、見世物小屋に売られた双子の姉弟トミノカタンが地獄のような世界を目の当たりにしていくという物語です。

 

丸尾末広さんは少女椿で知っていましたが、他にもたくさん作品をつくられているんですね。

 

世界観は少女椿と近いですね。

 

 

というか今調べていたら少女椿が実写映画化されていました。

 

むずかしいことに挑戦するなあ。

 

やっぱり主演の女優さんもそこそこの年の人がやってますね。

 

性的な描写もあるから本当の少女は採用できなかったのかなあ。

 

 

 

 

ところでこの漫画の題名「トミノの地獄」というのを調べていると漫画のインスピレーションの元となったと思われる詩の題名であることがわかりました。

 

つくったのは西條 八十(さいじょう やそ)という詩人です。

 


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トミノの地獄
西條八十
詩集「砂金」より


姉は血を吐く、妹(いもと)は火吐く、
可愛いトミノは宝玉(たま)を吐く。
ひとり地獄に落ちゆくトミノ
地獄くらやみ花も無き。
鞭(むち)で叩くはトミノの姉か、
鞭の朱総(しゅぶさ)が気にかかる。
叩けや叩きやれ叩かずとても、
無間(むげん)地獄はひとつみち。
暗い地獄へ案内(あない)をたのむ、
金の羊に、鶯に。
皮の嚢(ふくろ)にやいくらほど入れよ、
無間地獄の旅支度。
春が来て候(そろ)林に谿(たに)に、
暗い地獄谷七曲り。
籠にや鶯、車にや羊、
可愛いトミノの眼にや涙。
啼けよ、鶯、林の雨に
妹恋しと声かぎり。
啼けば反響(こだま)が地獄にひびき、
狐牡丹の花がさく。
地獄七山七谿めぐる、
可愛いトミノのひとり旅。
地獄ござらばもて来てたもれ、
針の御山(おやま)の留針(とめばり)を。
赤い留針だてにはささぬ、
可愛いトミノのめじるしに。

 

 

なんだか内容は具体的にイメージできないけれど、韻を踏んでるのでリズムよく声に出したくなりますね。

 

しかしこの詩を朗読するとよくないことが起こるという都市伝説が一時期広がっていたそうです。

 

 

よく読んでも具体的になんのことだか特定できない箇所が多いので様々な解釈がされているそうです。

 

そもそもトミノが男の子なのか女の子なのかさえわかりません。

 

抽象絵画みたいだ。

 

 

でもこういうイメージを膨らませてくれるような言葉が創作のきっかけになったりもします。

 

地獄って想像が広がりますよね。

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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