リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

日本と西洋の絵画の方向

今日も生きています。

 

昨日まで紹介した絵画は一枚の画面の中で物語が展開されていました。日本には右から左へ広げながら絵を読み進めていく絵巻物があります。

 

西洋と日本の絵画を鑑賞するポイントの一つは絵を読む(みる)方向かもしれません。アルファベットが左から右へ読むように西洋の絵画は左から右へ流れがつくられていることが多いです。

 

聖書の場面の一つである「受胎告知」を描いた作品はマリアは画面向かって右側に描かれていて、キリストを身ごもったことを知らせる天使は向かって左側からやってきます。

f:id:akashiaya:20171105123324j:plain

f:id:akashiaya:20171105123232j:plain

f:id:akashiaya:20171105123301j:plain

f:id:akashiaya:20171105123255j:plain

f:id:akashiaya:20171105123249j:plain

f:id:akashiaya:20171105123240j:plain

 

対して日本はというと縦書きの本は右から左へ読むのが普通ですね最初に紹介した絵巻物のように日本の美術の絵巻物の方向は右から左へ流れています。

 

 

 

有名な屏風絵に尾形光琳の「風神雷神図」がありますね。これに裏絵があるのをご存知でしたか?私は知りませんでした!

 

f:id:akashiaya:20171105123316j:plain

 

 

酒井包一「夏秋草図屏風」

テレビ番組の美の巨人で放映されたことがあるようです。HPに酒井抱一について少し解説が載っていました。尾形光琳の大ファンだったんですね。参考にリンクを張っておきます。興味のある方はどうぞ。(KIRIN~美の巨人たち~)

 

上の作品に描かれているのは右隻が夕立にうちしおれる夏草、左隻が野分に翻弄される秋草です。尾形光琳の雷神が夏草に、風神が秋草に対応しています。夏を表した右隻と秋を表した左隻で構成されています。右から左へ視線を動かすことで流れる時間と季節の移ろいを感じさせます。

 

 

視線の流れや絵の中でどういう風に時間が流れているのか、どう表現しているのか注目して絵を鑑賞するともっと楽しめそうです。

 

最後に一枚紹介。

 

f:id:akashiaya:20171105123312j:plain

 

ユペール・ロペール「廃墟となったルーヴルのグランドギャラリーの想像図」

 

描かれているのはルーヴル美術館です。といっても題名の通り今現在の姿ではなく廃墟となった姿です。

 

ルーヴル美術館いつになったらここまでの姿になるかわかりませんが、今を生きる私からしたら相当な年月の時間を感じます。異時同図法では一枚の絵の中に異なった時間を組み込んで観る人に時間を感じさせましたが、この作品は今ある建築物の廃墟となった姿を描くことで鑑賞者に時間を感じさせています。

 

時間をどう表現するかは一つではなくいろんなアプローチがありそうです。勉強になります。

 

 

今日はここまで。

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。

akashiaya.jimdo.com

 

 

 

☆展示告知☆
秋田のギャラリー杉(さん)にてチャリテイー展に参加します。
 

f:id:akashiaya:20171105123659j:plain

f:id:akashiaya:20171105123722j:plain



「チャリテイー展」
売り上げの一部が災害遺児愛護活動に寄付されます。
会場 ギャラリー杉(さん)
会期 11/23-12/5