リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

東洋の遠近法

今日も生きてます。

 


この前の絵画教室のことを木蓮さんがブログに書いてくれました。
こちらからどうぞ

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そして通りがかりの本編とは全く関係ない猫。こんにちは。

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今日は額縁の裏や箱にはる名札のデザインを考えていました。絵の題名とサインを描いた紙を額と箱に貼っています。その時々で作るのでその時で違うでサインです。統一した方がいいんでしょうか…?今回は童話をモチーフにしているから本のかたちにしようかなあ。絵以外で作るものは絵の世界観が広がるようにと思って作っています。


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明石 恵 Aya Akashi website - 明石 恵 Aya Akashi website





さて、今まで見てきた表現は西洋においての奥行き表現、遠近法です。空間の捉え方が地域によって違うように奥行きの表現も東洋と西洋では違うようです。
今日は東洋の奥行き表現について見ていきたいと思います。

お付き合いよろしくお願い致します。


日本や中国では遠近を表す言葉に「三遠」というものがあるそうです。「三遠」とはなんぞやというと、北宋の時代の山水画家・「郭煕(かくき)」という人の考えを弟子がまとめた本「林泉高致集(りんせんこうちしゅう)」の中で書かれている考えです。

 

ダヴィンチも手稿を弟子が本にしていましたが、先生の考えを広めたいという思いがそうさせるんでしょうか。ま、これは置いておいて。


三遠が何を示すかというと、

「高遠は高く仰いで見ること、深淵は向こう側を見通すこと、平遠は水平に広がった方向を見ること」

参考にしている絵画の教科書では、上下左右前後の空間的な拡がりを描こうとする態度とも受け取れます。と書かれています。

 

でも正直…つまり何?となりますね。

構図法として

下から山の頂上を見上げる構図の高遠,

前の山から後ろの山を眺望する構図の平遠,

山の前方から背後をのぞきこむ構図の深遠

というものらしいです。

 

山水画は上下遠近法が使われています。眼の位置はかなり上に設定されています。そこから下の方には近景が俯瞰的に描かれ、上の方には山の遠景が描かれています。その上にはさらに仰ぎ見るように山頂や雲が描かれます。

 

三遠を提唱した郭煕の傑作に「早春図」という山水画があります。中国山水画の傑作の一つと言われています。

(「早春図」で調べるとでてきます。貼れずにすみません。)

それを見ると上の方に山頂らしきものがあり、下には近景があります。色が黒一色なのでちょびっとわかりづらいですが。

前回まで西洋の奥行表現を見てきましたが、比べるとだいぶ捉え方が違うことがわかります。東洋では幾何学的、数学的な奥行の表現は近代まで用いられなかったそうです。面白いですね。絵画の教科書には東洋人が視覚だけではなく、触覚や体性感覚などの知覚、記憶などを重視しているからではないかと書いてあります。

 

 

他の国々ではどんなふうに遠近を表現しているか気になりました。遠近をどう表現するかは奥行だけではなく、どういう風に世界を捉えているかと関係しているようです。わたしはどうなのか…もっと意識して今後の制作に取り組みます。

 

 

最後まで読んで頂きありがとうございました。