リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

平安放火事件の物語絵巻ー伴大納言絵巻ー

今日も生きてます。

 

「世界の地獄と極楽がわかる本」(田中治郎著、PHP出版社。)を買いました。

読むの楽しみだあー。

 

 

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 さて、今日も『マンガでわかる「日本絵画」の見かたー美術展がもっと愉しくなる!ー』(監修矢島新、イラスト唐木みゆ、誠文堂新光社)を読んでいます。

 

絵巻物の元祖「絵因果経」や、「地獄草子」を取り上げてきました。

今日も絵巻物についてです。

 

〇伴大納言絵巻

 

「伴大納言絵巻(ばんだいなごんえまき)」について取り上げます。

 

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Tokiwa Mitsunaga - http://sabasaba13.exblog.jp/3658621/, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15150561による

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伴大納言絵詞(部分、応天門炎上)

Tokiwa,Mitsunaga(?) - Replica published by HEIBONSHA, Tokyo, 1986, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18102949による

 

伴大納言絵巻は実際に起こった出来事をもとに作られた絵巻物です。

 

日本の四大絵巻と称される、

 

源氏物語絵巻

信貴山縁起』

『伴大納言絵巻』

鳥獣人物戯画

 

 

の中に入ります。

 

 

 

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Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18128023による

 

何やら炎上していたり、逃げ惑う人がいたり…

 

 

とっても不穏ですが、これは

 

応天門の変(おうてんもんのへん)」

 

という出来事から制作されました。

 

 

 

 

応天門の変とは?

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Saigen Jiro - 投稿者自身による作品, CC0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=49089222による

平安神宮にある応天門の縮小復元レプリカ

 

 

応天門の変についてざっくり説明します。

 

 

 

〇事件が起こった時代

平安時代前期の貞観8年(866年)に起こった政治事件

清和天皇(858年- 876年)の時代

 

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不明 - The Japanese book "天皇一二四代 (Tennō hyakunijūyondai)", in Bessatsu-Taiyo, Heibonsha, 1988, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=9450417による

 

 

 

 

〇事件が起こった場所

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 英語版ウィキペディアのStca74さん - en.wikipedia からコモンズに移動されました。, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2182381による」

↑の図の中にある応天門放火事件が起きました。

 

奥には天皇の居住スペース(内裏)があり、応天門の奥にある朝堂院は朝廷の政務や儀式を行う大事な場所でした。

 

そのすぐ近くの応天門が炎上したのですから、大変な事件でした。

 

 

 

 

 

 

〇主要人物

 

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 常磐光長 - 伴大納言絵詞, パブリック・ドメイン, https://ja.wikipedia.org/w/index.php?curid=2592033による

 

伴 善男(とも の よしお)

 

ずばり放火した真犯人。

 

大納言の地位にあったが、自分よりも上の地位にある左大臣源信(みなもとのまこと)に放火の罪をなすりつけ、失脚させようとした。

 

上の画像は伴大納言絵巻の一部分だが、この人物が伴大納言か?という説がある。

 

 

 

 

 

 

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Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18128108による

源信(みなもとのまこと)

 

事件当時は左大臣

 

放火をした犯人であると嘘の密告をされ、危うく罰せられるところであった。

 

 

 

 

 

 

 

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Hannah - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=3868651による

藤原 良房(ふじわら の よしふさ)

 

事件当時は太政大臣

 

源信が放火の罪の嫌疑がかけられていると聞きつけ、天皇へもっとよく調べて~と言った人。

この助言のおかげで源信は赦免されます。

 

 

 

 

 

 

 

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Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18081151による部分

舎人(とねり/しゃじん)

舎人とは、名前ではなく皇族や貴族に仕え、警備や雑用などに従事していた者の役職のこと。

 

絵の中には舎人夫婦が描かれている。

 

実はこの舎人は放火のあった日に,逃げる伴大納言一同を目撃しています。

 

この舎人が真相を話したことで真犯人が明らかになります。 

 

 

 

 

 

〇あらまし

 

 

 伴大納言絵巻三巻に分かれています。

 

 

 

上巻のあらまし

 

応天門が放火で焼けるという事件が起こる。

 

大納言・伴善男が「犯人は左大臣源信です」と朝廷に訴える。

 

左大臣源信は処罰されることになった。


処罰の報をきいて驚いた太政大臣藤原良房は、

 

「よくよくお調べになり、事の是非を明らかにしてから処罰されるのがよろしいかと」

 

天皇に申し上げた。

 

天皇左大臣源信が犯人だという証拠もないので、赦免することにした。

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朱雀門内の群集

Tokiwa Mitsunaga - http://www31.ocn.ne.jp/~outlook/fudofire.html, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15150601による

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風下で火の子を避けつつ炎上する応天門を眺める群衆

Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18070933による


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清涼殿で清和天皇(左)に対面する藤原良房

Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18046223による

 

 

 

中巻のあらまし

 

 無実の罪に嘆く左大臣源信

赦免の知らせを受けてうれし泣きする。

 

場面は舎人が放火をして逃げる伴大納言・その子と雑色の「とよきよ」を目撃した時に代わる。

 

役所の仕事を終えて夜遅く帰る舎人が伴大納言一同を目撃し、「一体何をやっているのだろう」と、わけもわからずに見ていた。

 

その後、「宮中が火事だ」と騒ぐ声で、火事が起こったことと、「さきほどの人々は放火のために門に上っていたのか」ということに気が付く。

 

 


時は流れて9月頃。

 

舎人の子どもと、伴大納言の使用人の子どもとが喧嘩をしていた。

 

そうすると使用人の親が自分の子供を家に入れると、舎人の子供を死ぬほど踏みつける。


それを見ていた舎人は使用人と口論になり、伴大納言の秘密をばらすと騒ぎ出す。

 

しかし使用人は怒って自宅にはいってしまう。

 

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涙にくれる左大臣家の人々、左奥にいるのは左大臣の夫人と子とみられる

Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18079545による

 

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事件の真相発覚のきっかけとなった子供の喧嘩の場面、「異時同図法」の典型的な例として知られる

Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18068087による

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叫ぶ舎人夫婦

Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18081151による

 

 

 

下巻のあらまし

 

この騒ぎが大きくなり、噂が朝廷にまで伝わる。

 

取り調べされた舎人は真実を話す。


こうして伴大納言は流刑となった。

 

 

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取り調べを受ける舎人(手前)

Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18123174による

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伴大納言逮捕に向かう検非違使の一行

Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18080937による

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悲痛な面持ちで応対する大納言家の老家司(左)、あわてて出てきたのか裸足である

Tokiwa Mitsunaga - https://www.jstor.org/pss/30233678, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15150452による

 

 

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絶望して泣く大納言家の人々

Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18080450による

 

 

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大納言家の門から連行される大納言の車を涙ながらに見送る人々

Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18079494による

 

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連行される大納言を乗せた八葉車

Tokiwa Mitsunaga - [1], パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18101028による

 

 

 

 

 

 

 

〇伴大納言絵巻が制作された背景

 

この絵巻物は応天門の変のおよそ300年後に、後白河天皇常磐光長に描かせたものとされています。

 

今は出光美術館が所蔵しています。

 

 

 

 

 

 

〇伴大納言絵巻の表現

 

源氏物語絵巻の登場人物の顔の表現はあまり描き分けされていません。

鑑賞者にその想像をゆだねています。

 

 

それに引き換え伴大納言絵巻の中の登場人物は、約450人皆異なる表情で描き分けされています。

 

 

そんなたくさんの表情が描かれ、「表情の百科全書」とも呼ばれる絵巻物ですが、巻末まで放火犯である大納言 伴 善男の表情は明かされません。

 

粋ですな。

 

 

 

 

 

流罪になった大納言はその後伊豆でなくなったそうです。

 

より良いポストを求めて罪を犯してしまうなんて…そんなに偉くなりたいのか?と思ってしまいますが、朝廷の中ってずっとそんな争いが絶えない場所だったんでしょうね。

 

もっと楽に生きられたらいいのになあと、出世欲ゼロの私は思いました。

ともかくまさか出来のいい絵巻物にされ、後世にまで伝承されているなんて、あの世の大納言もびっくりでしょうね。

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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六道絵とは?

今日も生きてます。

 

以前ブログで牧島如鳩を取り上げました。

西洋であれ、東洋であれ、何か一つの信仰を抱いている作家が、それぞれの教えに何を感じてそれを作品にしたり、シンプルに聖人や神をたたえる作品は納得できます。

 

ただ牧島如鳩は自身がキリスト教を信じていながら、絵の中で仏教の菩薩と、キリスト教のマリア様を融合しています。

 

というか細かいことを言うと、菩薩は確かに女性であるかのような優美な表現で描かれることが多いですが、生物学的には女性ではないのでは…?

 

とにかく牧島如鳩が描いた聖母子像(?)「慈母観音図」が面白い。

 

キリスト教絵画でよくある、マリア様が幼きイエスキリストを抱いている様子が描かれているテーマです。ラファエロの作品が有名かと思います。

 

牧島如鳩はこのモチーフをマリア様を菩薩風にして描いています。

ちゃんと乳房もついてます。

(あまり理想化されていないから、見てはいけないものをみた気持ちになるような乳首。ていうか菩薩の乳首?それとも悟り前の釈迦の乳首か?)

 

菩薩を油彩で生々しく表現していることにも驚きますが、なんで西洋風の赤ちゃん抱えてるん?(幼きキリスト)と、面白すぎる。

 

こういう作品をみると、私のイマジネーションってお粗末だなと感じます。

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さて、前回に引き続き地獄です。

 

前回は仏教の中で地獄とはどのようなものかざっくり確認しました。

地獄とは、仏教の五戒を破ったものが転生する場所で、地獄は大きく分けると8つのエリアがあります。

 

等活地獄(とうかつじごく)

黒縄地獄(こくじょうじごく)

衆合地獄(しゅうごうじごく)

叫喚地獄(きょうかんじごく)

大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)

焦熱地獄(しょうねつじごく)

大焦熱地獄(だいしょうねつじごく)

阿鼻地獄(あびじごく)

 

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 〇六道絵とは?

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地獄が描かれた絵巻物は「六道絵(ろくどうえ)」と呼びます。

 

まず六道とは、仏教の言葉で、輪廻転生した後に生まれ変わる世界のことです。

 

六つの世界があります。

 

地獄道

餓鬼道

畜生道

阿修羅道

人道

天道

 

この輪廻から解脱できない限り、この六道を永遠に廻ります。


この六道の様子を描いたもの、それが六道絵と呼びます。

地獄を描いた絵はこの六道絵のジャンルに入ります。

 

 

もともとは仏教の生まれた地であるインドから中国を渡って日本に来たそうです。

 

この六道絵が描かれた目的はざっくりというと仏教の布教のためです。

 

六道絵を見た人の嫌悪と恐怖の感情を引き起こし、六道の輪廻転生の苦しみから逃れ、極楽に往生するしかないと思わせました。

 

地獄絵がよく描かれたのは平安末期から鎌倉時代です。

 

なぜこのような不穏なテーマが好まれたのかというと、災害や飢饉が頻繁に起り、政変や争いが絶えなかったことなど、社会不安の背景があります。

 

また、社会不安の一つに末法思想というものがありました。

 

末法思想は、当時広く信じられていた釈迦の入滅後2000年で仏法が衰退し世が乱れるというものです。

 

ちょうど平安時代がそれにあたり、人々の心は不安と絶望のうちにありました。

 

 

 

 

〇現存する地獄草子

 

 

地獄草子で現存しているものは三巻です。

 

東京国立博物館本(国宝)

「正法念処経」というお経に基づき、地獄のひとつ「叫喚地獄」に付属する16の別所が描かれています。

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地獄草子 雲火霧

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地獄草子 雨炎火石




奈良国立博物館本(国宝)

『起世経』のお経に基づき、十六小地獄が描かれています。

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地獄草子 鶏地獄

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地獄草子 鉄鎧所

・旧益田家本甲巻

『仏名経』『宝達問答報応沙門経』『馬頭羅刹経』に基づいていると指摘されています。

 

 

 

絵巻物を見ているのは基本的に貴族です。

地獄絵巻で獄卒に罰されている人々の中に貴族はいません。庶民やお坊さんです。

貴族はこのような絵巻物を見ても、功徳を積んでいる自分は地獄に落ちないと思っていたのでしょう。

 

そういう人間ほど地獄を回ってほしいと願ってしまいます。

 

 

今日はここまで

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 

参考

『マンガでわかる「日本絵画」の見かたー美術展がもっと愉しくなる!ー』(監修矢島新、イラスト唐木みゆ、誠文堂新光社

 

 

 

 

地獄のイメージー地獄草子ー

今日も生きてます。

 

肩がかちこちです。

気が付くと、同じ姿勢のままPCの前で何時間か過ごしてしまいます。

 

遊園地のアトラクションを考えています。

 

ミラーハウスやメリーゴーランドなどなど、考えつつ描きつつ過ごしています。

 

ミラーハウスはいったいどんな構造でできてるんだろうか…

取材するより模型作った方早いだろうか…

 

悩みが絶えません。

 

 

 

さて、今日も『マンガでわかる「日本絵画」の見かたー美術展がもっと愉しくなる!ー』(監修矢島新、イラスト唐木みゆ、誠文堂新光社)を読んでいます。

 

 

前回は絵巻物の元祖である「絵因果経」について取り上げました。

釈迦の伝記的な絵巻物から、物語絵巻が発展していきます。

akashiaya.hatenadiary.jp

 

 

 

平安時代で有名な絵巻物は源氏物語絵巻ですが、以前この絵巻物についてはブログで取り上げました。

akashiaya.hatenadiary.jp

 

 

今日は絵巻物の中でも仏教の地獄の世界を表現した

「地獄草子(じごくぞうし)を取り上げます。

 

 

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地獄草紙

不明 - Tokyo National Museum, Emuseum, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7884024による

今現代の私たちが抱いている地獄のイメージの原点はこの絵巻物です。

 

ちなみに私が地獄にもっているイメージは血の池地獄、三途の川、閻魔大王様…でしょうか。

 

あとお盆のお墓参りの時に行くお寺に、閻魔大王様とその夫人(?)を模したであろう彫刻(おそらく木製)があり、子供心にその前を通るのが怖かった思い出があります。

 

でもなまはげと比べるとなまはげの方が怖い。

 

あと落語の中に地獄に行く話がありますよね。

地獄八景亡者の戯れだったかと思います。

 

サバの刺身に当たって死んでしまった男が地獄の中面白おかしく進んでいくストーリーです。個人的に好きな話です。

 

地獄だけど登場してくる亡者たちはめっちゃ陽気です。

 

 

話が横道にそれ過ぎてしまいましたが、そもそも仏教でいうところの「地獄」とはどんなものなのでしょうか?

 

 

仏教には「輪廻転生」という考えがあり、生まれ変わりを繰り返すというものです。

 

悟りを得て仏になるとこの輪廻転生から解脱することができます。

 

 

輪廻転生の中で生まれ変わる行先の世界は六つあります。

 

それを「六道(ろくどう)」と呼びます。

 

 

 

〇六道の種類

※名称は細かく違う表現もあるようです。

代表的なものを選びました。 

 

 

地獄道(じごく)

この世で悪い事をした人間が落ちる世界です。

 

餓鬼道(がきどう)

鬼に生まれ変わる世界。

 

畜生道(ちくしょうどう)

動物に生まれ変わる世界。

 

修羅道(しゅらどう)

戦が絶えない世界で、ずっと戦い続けます。

 

人間道(にんげんどう)

この世です。

 

天道(てんどう)

快楽の限りを尽くせるものの、老いや病や死のような苦しみからは逃れられない世界。

死ぬときは地獄の苦しみよりもきついらしい。

 

 

地獄というのはこの六道」の一つです。

 

 

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不明 - Tokyo National Museum, Emuseum, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7884117による

この世で悪いことをした人間が地獄に落ちるということはわかりましたが、「悪い事」とは何を指すのでしょうか?

 

それは仏教の「五戒(ごかい)」を破ることです。

 

 

 

 

 

〇五戒の内容

 

不殺生」生き物を殺さない

不妄言」嘘をつかない

不倫盗」盗まない

不邪淫」夫婦以外のものと肉体関係(またはそれにつながるような行為)をもたない

不飲酒」酒を飲まない

 

 

…皆さん、どうですか?

 

私はアウトです!(酒!)

地獄でまた会いましょう!

 

 

まあ、実際には閻魔様やお釈迦様がどこに生まれ変わるか精密な(?)審査をしてくださるので、これでだけで決まるわけではないようです。

 

善行積みましょう。

目指せ浄土。

 

 

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地獄草紙

Strange Arrow - http://www.tnm.jp/jp/servlet/Con?processId=00&ref=2&Q1=&Q2=&Q3=&Q4=11______4171_&Q5=&F1=&F2=&pageId=E15&colid=A10942, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=2808046による

 

 

「地獄」というものが仏教の中でどんな位置にあるかはざっくりわかりましたね。

 

地獄の中には人間の罪の種類によって8つの種類があります。

それぞれの地獄がどんなものか代表的なものを見てみましょう。

 

 

等活地獄(とうかつじごく)」

殺生をすると落ちる場所です。

ここでは死者同士で鉄の爪で骨になるまで戦うことになります。

そして骨が飛び散った後は獄卒によりまた元の体に戻り、同じことを繰り返します。

 

黒縄地獄(こくじょうじごく)」

殺生、盗みの罪を犯した人が落ちる場所です。

熱した鉄縄、斧、鋸などでめちゃくちゃにされます。

結果的に犬に食べられ、食い尽くされると元の体に戻り、同じことを繰り返します。

 

衆合地獄(しゅうごうじごく)」

性的な罪を犯した人が落ちる場所です。

木の上の美女に誘惑されますが、木に登ろうとするとカミソリのような葉にずたずたにされ、木の上にたどり着くと美女は下にいます。これを繰り返します。

 

子供にわいせつをした人は自分の子供が鬼に局所を鉄のキリやかぎ爪で刺されて釘打たれる様子を見せつけられます。

 

叫喚地獄(きょうかんじごく)」

飲酒をした人が落ちる場所です。

大鍋で煮られたり、どろどろに赤く溶けた銅を飲まされたりします。

 

 

大叫喚地獄(だいきょうかんじごく)」

嘘をついた人が落ちる場所です。

舌を針で刺され、はさみで舌を抜かれます。

舌はまた生えてきて、同じことを繰り返します。

 

焦熱地獄(だいしょうねつじごく)」

殺生、盗み、邪淫、飲酒、妄語、邪見…など、仏教の教えとは反することをした人が落ちる場所です。

常に極熱で焼かれ焦げます。

赤く熱した鉄板の上で鉄串に刺され、人によっては手足などに分解されてそれぞれが炎で焼かれます。

 

 

 

大焦熱地獄(だいしょうねつじごく)」

戒律を守っている尼僧を誘惑した人が落ちるところです。

火が燃えている場所で、炎の刀で皮膚をはぎ取られ、肉を焼かれ、熱い鉄を注ぎこまれます。

 

「阿鼻地獄(あびじごく)」

親殺しや仏法を軽んじるなど、重い罪を犯した者が落ちる場所です。

手足の節々から火炎が噴出し、苦しみが絶え間なくやってきます。

 

 

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By Unknown - e国寳, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=4852594

 

 

地獄にはいきたくない…と心から思わされるような地獄の内容ですね。

 

少し長くなってしまいました。

明日に続きます。

 

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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日本元祖絵巻物はコレー「絵因果経」ー

今日も生きてます。

 

今まで制作のためのスケッチは全てスケッチブックのペラペラの紙に描いていましたが、今回からPCに描いてます。

 

かさばらないし、色塗りが早くできるので、圧倒的に楽です。

 

あのスケッチどこやったっけ?と無くすこともなくいい感じです。

 

目が疲れるのが唯一の難点。

 

 

 

さて、今日も『マンガでわかる「日本絵画」の見かたー美術展がもっと愉しくなる!ー』(監修矢島新、イラスト唐木みゆ、誠文堂新光社)を読んでいます。

 

今日は日本の絵巻物の元祖についてです。

 

源氏物語絵巻百鬼夜行絵巻など、有名な絵巻物っていくつかありますよね。

〇〇絵巻ってつくと心躍るかも。何につけても日本風になりそう。

 

 

 

その絵巻物の元祖とはなんであったのかが今日の話です。

 

 

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「絵因果経」(奈良国立博物館本・上品蓮台寺本断簡)

不明 - Tokyo National Museum, Emuseum, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=15471761による
 

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「絵因果経」(MOA美術館本・旧益田家本断簡)

Unknown - igGUb1RMKJDYow at Google Cultural Institute, zoom level maximum, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=29856672による

 

 

↑は「絵因果経」(えいんがきょう)と呼ばれるものです。

 

 

絵は素朴ですね。

 

 

 

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「絵因果経」(東京芸術大学本・部分)

不明 - Woodblock reproduction, published in 1941 by Sinbi-Shoin Co., Tokyo, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=1982174による

 

 

 

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個人的には素朴でかわいいと感じます。

 

 

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素朴な絵柄でめっちゃ不穏な内容っぽい。

 

 

上部分に絵、下部分に文字が書かれています。

 

下部分には「過去現在因果経(かこげんざいいんがきょう)」という経典がかかれています。

 

ちょいちょい仏像っぽいものが描かれているので察することができると思いますが、これは仏教の経典で、釈迦の過去生(前世のようなものか?)と、現世で仏陀になり、弟子を導くところまでが物語風に記されています。

 

 

上部分の絵は文章に対する挿絵のようなものです。

 

 

日本に現存している「絵因果経」は、唐の時代のオリジナルを模写したものが複数残っていると考えられています。

 

 

この絵巻物が制作された目的としては仏教の布教だと思われます。

 

全4巻でそれぞれに上・下巻があります。

(つまり全部で八巻あるということ。)

 

しかし全てが揃う形で残っているものはないそうな。

 

Wikiによると日本の「絵因果経」のもととなった唐のオリジナルは見つかっていないそうです。

 

 

とにかくこの「絵因果経」を原型として平安時代以降、絵巻物の文化が花開いていきます。

 

 

釈迦のおとんも登場します。

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そして出家する前の釈迦(王子)も描かれています。

 

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落語とかに出てきそうな甘やかされてる若旦那の挿絵としても通用しそうなルックス。

 

 

 

 

 

紙媒体のものはどんどんデジタルになりつつある今、絵巻物が流行ることは絶対ないなと思うけども、ロマンを感じます。

(見るたびに巻いたり開いたりするから痛むしねえ)

 

 

展覧会などでは絵巻物の一部しか見ることができないので、個人的には全部データ化してスマフォでスクロールして流れと内容を楽しむことができたら嬉しいです。

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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ゴッホもあこがれた日本文字…日本絵画と文字

今日も生きてます。

 

間がだいぶ空いてしまいました。

以前からPCで描いていた絵がやっと完成です。

 

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「月光でしっかり熟成させたイエローチーズ」

 

宇宙をまたにかけて銀河の珍味を売りさばく猫旅商人が、

 

CHU惑星に住む鼠族の王女にチーズの商談をしている…

 

という情景です。

 

 

 

 

たまたま恵比寿で開催されていたイベント「チーズフェスタ」をみにいってから、チーズ好きになりつつあります。

 

 

 

昔は臭くてたまらんと思っていたブルーチーズも、今はうまくてたまらんです。

 

クリームチーズにパンやはちみつもたまらんです。

 

 

 

さて、この絵がデジタル初作品。

 

 

デジタルはアナログのような質感はありませんが、表現媒体が変わっても、今までのアナログ作品とあまり雰囲気変わりません。

 

 

簡単に出来上がると思ったら意外に時間をかけてしまいました。

 

 

持っているソフトには表現方法の可能性がたくさんありますが、使いこなすにはまだまだ時間がかかりそうだ。

 

 

しかし楽しいです。

 

 

 

 

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ということで次はモデル撮影です。

自宅に超超簡易スタジオをつくりました。

(一人で組み立てるのは大変だったぜ!)

 

あとはモデルだな。

 

モデル以外にもカメラをもっていろいろなところへ取材に行きたいし、ずっとPCの前で微動だにしないでいましたが、お出かけする日が増えそうです。

 

わくわくさんです。

 

 

 

 

さて、久しぶりに

 

『マンガでわかる「日本絵画」の見かたー美術展がもっと愉しくなる!ー』

(監修矢島新、イラスト唐木みゆ、誠文堂新光社)

 

を開きました。

 

間が空いてしまいましたが、ゆるゆると続けていきます。

 

今日は日本の文字と絵画についてです。

 

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『ジャポネズリー:梅の開花(広重を模して)』1887年10月-11月、パリ。油彩、キャンバス、55.6 × 46.8 cm。ゴッホ美術館

フィンセント・ファン・ゴッホ - 2wF6nM1fOWEp8Q at Google Cultural Institute, zoom level maximum, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=13524326による

 

↑の作品はゴッホ(1853 - 1890)の油彩画です。

 

梅のモチーフや構図から、日本の浮世絵に影響を受けて描かれたことがよくわかります。

 

なんの作品に影響を受けたかというと浮世絵師・歌川広重(1797 - 1858)の作品です。

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歌川広重・名所江戸百景「亀戸梅屋舗」

歌川広重 - Honolulu Museum of Art, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=226060による

 

 

見比べてみると、ゴッホの模写には歌川広重のオリジナル作品にはない文字(漢字)を絵の周りにフチのように描き加えていることがわかります。

 

内容は「大黒屋錦木江戸一丁目新~?」と、あまり深い意味はなさそうです。

 

ゴッホ歌川広重の作品を模写したほかの作品の中でもオリジナルにはない文字(漢字)を描き加えています。

 

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歌川広重 - 投稿者自身による作品, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=219723による

 

 

私たちが筆記体で描かれた英語やフランス語を何となくおしゃれに感じるように(そう思うのは私だけですか?)、当時浮世絵を通して日本の文字を初めて見たゴッホが、漢字をかっこよいと感じたのかもしれません。

 

 

西洋では文字と絵の役割がはっきりしていて、絵の中に文字が入ってくる表現も新鮮だったと本中には記されています。(マンガでわかる「日本絵画」の見かたー美術展がもっと愉しくなる!ー)

 

 

写実より装飾的な表現が好まれた日本の絵画では、

文字も絵を飾る表現の一つとしてよく絵の中に登場しました。

 

 

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「扇面法華経冊子」

 

↑は平安時代末期に作られた装飾経です。

やまと絵で描かれた貴族や庶民の暮らしの上から経文を描いています。

 

個人的には文字か絵かどちらかの方がよいです。

 

 

 

 

 

 

 

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平家納経

↑は平清盛厳島神社に奉納した一品経(いっぽんぎょう)です。

 

一品経とは、法華経の経典を一品ずつ一巻に仕立てた経巻のこと。

 

以前ブログで取り上げました。

ラグジュアリー納経&平安美術ー優美さと装飾の極みー - リアル絵描き日記

 

文字の色が背景に合うように色が変えられています。

 

 

 

 

 

 

 

 

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紺紙著色金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅図 (こんしちゃくしょくこんこうみょうさいしょうおうきょうきんじほうとうまんだらず)

不明 - Ministry of Education, Culture, Sports, Science and Technology, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7879180による

 

 

↑は岩手県中尊寺大長寿院にある「紺紙著色金光明最勝王経金字宝塔曼荼羅
(こんしちゃくしょくこんこうみょうさいしょうおうきょうきんじほうとうまんだらず)」という長い名前の曼陀羅

 

画像からはよくわかりませんが、 「金光明最勝王経」という経典の内容を、宝塔の形を描くように写経しています。

 

粋な表現ですな。

 

 

 

 

 

 

 

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白隠「人丸図」

↑も以前ブログで取り上げた作品。

古来日本の絵画や工芸品の装飾の中には、絵の中に文字が忍ばせられているものがあります。

歌の内容を意味するものを描く「歌絵」や、仮名や漢字を景色の中に隠し文字のように描く「葦手(あしで )」など、ひとつの表現となっていました。

 

 

 

 

 

日本絵画の作品に文字が入り込むのは、漢字自体が物の形を描いたものから始まった象形文字だったことが関係あるのでは?という説もあるようです。

 

 

 

個人的には文字が絵の中に入っていると違和感があって受け付けません。

なんというか…読んでしまいます。(浮いているように感じる。)

 

同じ理由で映画の字幕(というか映像に字幕)は苦手。

正直字幕をみていると映像の方を同時に見ることができません。

(吹き替えの声優の声って聞き取りやすくて好き。)

 

しかし筆記体の横文字はおされに感じます。

最近画数の多い漢字もかっこよく感じるようになりました。

 

 

今日はここまで。

 

亜離蛾斗宇呉挫威魔死汰。

虎麗伽羅喪夜露死苦!!

 

 

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ざっくりと鎌倉時代の美術ーカッコいいものが好きだぜby武士ー

間が開いてしまいましたが、2020年も元気に生きています。

 

今年もブログでは美術史関係を中心に勉強していきます。

おつきあいよろしくお願い致します。

 

 

そしてPCの制作に手間取っています。

しかし楽しいです。

 

もっと他に進めたいこともあるのですが(撮影とか撮影とか撮影とか)、この絵が完成するまでPCの前から動けない状況です。

 

お正月ボケも激しいので早寝早起き整理整頓清潔適当などを思い出して規則正しく生活していきます。

 

 

さて、美術史の続きです。

 

 

飛鳥時代の美術

飛鳥時代の日本美術―法隆寺金堂壁画― - リアル絵描き日記

平安時代の美術

ラグジュアリー納経&平安美術ー優美さと装飾の極みー - リアル絵描き日記

 

 

と続けてきて、今日は鎌倉時代です。

ここら辺の時代の芸術品は、基本的に権力者の嗜好品のような側面もありますので、どんな人間がトップに立つかで作品の雰囲気は変わりますね。

 

器用な作家は時代に合わせるし、その時代にあった作家が権力者に寵愛されるのかなと思います。

 

 

〇鎌倉の時代背景

 

鎌倉時代武士の時代です。

(実権は幕府だが朝廷は存在。)

 

巷では、念仏を唱えれば誰でも極楽浄土へいけるという、浄土宗(法然)浄土真宗(親鸞)が流行る。

(きつい修行する余裕がある人間ばかりではない。)

 

武士には座禅を組んで修行する臨済宗曹洞宗が流行る。

 

秋田の実家は曹洞宗らしい。

…私自身座禅を組んだ経験はない。

 

 

 

 

 

 

鎌倉時代の美術

 

今までの貴族が好むような優雅で装飾的な表現よりも、武士好みのリアルでわりやすい表現の作品が多い。

 

 

 

 

 

 

インパク阿弥陀

 


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↑は法然が創建した金戒光明寺(こんかいこうみょうじ)にある「山越阿弥陀図」(やまごしあみだず)です。

 

 

ッパ――――ァアアア!!!

と、効果音をつけたくなるような阿弥陀如来です。

 

 

なんだか鎌倉時代の昔に描かれたと思えないくらい目を引く構図と表現です。

 

どのような場面が描かれているかというと臨終の際に阿弥陀様が山を越えて迎えに来てくれているところです。

 

阿弥陀様の光輪が、山に落ちる月や太陽に見えませんか?(みえんか。)

 

このような山を越えてくる阿弥陀様の画題は鎌倉時代ごろから描かれました。

 

 

というのも、念仏を唱えていれば臨終の際に阿弥陀様が迎えに来てくれるという教え(来迎:らいこう、らいごう)があったからです。

 

この阿弥陀の手を見てみると、糸がくっついていることがわかります。


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これは臨終の際に、この屏風の阿弥陀様からつながった糸を持つことで、安心して旅立てるように使われていたからです。

 

 

 

 

臨終の際に阿弥陀様が迎えに来てくれる「来迎」は、平安時代から描かれていましたが、鎌倉時代になると、とかく早く来てほしい!という願いを反映してか、スピード感あふれる阿弥陀来迎図が描かれます。

 

 

 

 

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不明 - The Art of East Asia, Cologne, 1999, page 505, パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=7846749による

 

↑は京都の知恩院(ちおんいん)にある「阿弥陀二十五菩薩来迎図」です。

 

右下にはこの作品の発注者かと思われるお坊さんっぽい人が描きこまれています。

 

(※個人的推測。キリスト教でも作品に発注者が描きこまれている作品もあるので何かに救われたい人間は同じことをするのかもしれない。発注者とかかわりの深い人物という場合もある。)

 

 

 

 

 

 

 

〇溢れる筋肉美・運慶

 

 

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Chris 73 / Wikimedia Commons, CC 表示-継承 3.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=60936による

 

 

↑は東大寺にある「金剛力士像:こんごうりきしぞう」です。運慶作です。

 

運慶力強い彫刻で武士から寵愛されました。

 

ジョジョに通ずるセンスを感じるのは私だけでしょうか?

 

 

 

 

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今泉篤男 et al. - Nihon no Chokoku 6 - Kamakura Jidai (Bijutsu Shuppansha 1953), パブリック・ドメイン, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=18895570による

↑も運慶の作品で「無著像」

釈迦の弟子が彫られているらしいが、リアルです。

昔の人も今の日本人と同じような顔の造形だったんだな~

 

 

 

 

 

 〇高貴すぎて顔出しNG「春日明神影向図」

 


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↑は高階隆兼「春日明影向図」(かすがみょうじんようこうず)です。

 

何が描かれているかわかりますでしょうか?

私は最初雲の隙間から車が見えるな~程度の認識でした。

 

実は日本の神様である春日神:かすがのかみ」が描かれた作品です。

 

実は車の中に春日明神がいて、顔部分が雲で隠れています。

 

 

この作品が描かれた経緯は、当時関白であった鷹司冬平が、「束帯を着けた春日明神が車に乗り、銀につつまれた書を授けてくれる」という夢を見たから描いてくれ、というもの。

 

仏は様々な姿で表現されたものがありますが、日本の神様はどう表現するのがいいか…悩んだかどうかはわかりませんが、依頼を受けた絵師・高階隆兼は最終的に顔を隠すという手法を選択します。

 

結果的に謎が深まる作品に仕上がっています。

 

体は隠さなくていいのね…

 

 

 

 

平安時代には物語の貴族の世界を描いた源氏物語絵巻がつくられましたが、鎌倉時代には戦う武士たちが描かれた平治物語絵巻などがつくられます。

 

 

貴族が好むものと武士が好むものの違いが、残された作品でよくわかりますね。

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

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 参考

マンガでわかる「日本絵画」の見かた 誠文堂新光社 矢島新監修

 

令和元年最後の日

今日も生きてます。

 


私は年が変わるときは秋田でガキ使を見ながら過ごしています。

 

PCのペインターのソフトで年賀の絵を描いていたら思ったより時間がかかりタイムアウトになってしまいました…。

 

難しいな…使いこなすまでまだ少し時間がかかりそうです。

 

 

 

 

 

 

 

もう少しで今年が終わりますね。

 

個人的には流行語大賞は「令和」です。

恐らくほとんどの日本人が同じだと思います。

 

ブログの中では日本の絵や絵師をよく取り上げたため、日本の美術が以前よりも身近に感じることができるようになりました。

 

 

また、カメラやパソコンなどの分野に初めて手を伸ばしました。

 

来年は、それらを使いこなして作品をつくっていきたいです!

(がんばるぞ!)

 

 

制作面では試行錯誤が続きそうです。

 

ブログはゆるゆる続けていくので、来年もよろしく御願い致します😊