リアル絵描き日記

画家明石恵のブログです。

サンティアーツィオ教会の天井画ができるまでと謎のメモ欄

今日も生きてます。

 

 

ふと見つけたメモ欄。

 

f:id:akashiaya:20180525205134j:plain

 

 

 

 

チラシなどにもメモ欄ありますが、こんなところに…

 

f:id:akashiaya:20180525205139j:plain

 

 

NAMEではないですよね。

なぜ巻き尺の背中に微妙なサイズのメモ欄をつけようと思ったんだろうか…不思議ですね。

特別な使い方があるのだろうか。

 

私が知らないだけですかね。

 

 

 

さて、今日も池上英洋さん著の西洋美術史入門〈実践編〉を読んでいきます。

 

サンティアーツィオ教会の天井画をずっとみてきました。普通の美術の本ならばここまでの描かれた図像を読み解くまでで終わりそうですが〈実践編〉はここから奥の奥まで読み解いていくので面白いです。

 

f:id:akashiaya:20180516165831j:plain

サンティアーツィオ教会 「四大陸の寓意〈イエズス会の伝道の勝利〉」

 

今日は天井画ができるまでの資料などを見ていきたいと思います。

 

この天井画を描いたアンドレア・ポッツォは画家でもあり、建築家でもありました。

f:id:akashiaya:20180516165631j:plain

アンドレア・ポッツォ

 彼の著書「画家と建築家のための遠近法」の中にサンティアーツィオ教会の天井画の挿絵が載っています。

 

挿絵の前に教会の内部の写真も本に載っていました↓

 

 

f:id:akashiaya:20180525212920j:plain

 

 

手前の人間が描かれている天井はもちろん絵だとわかりますが、奥の暗い天井もポッツォの作品です。

f:id:akashiaya:20180525212915j:plain

 

この屋根をクーポラと呼ぶらしいのですが、サンティアーツィオ教会の天井画「四大陸の寓意〈イエズス会の伝道の勝利〉」よりも先にこのクーポラは描かれました。このクーポラの作品をポッツォが成功させたことによりより大きな天井画もポッツォに任されることになりました。

 

 

 

 

 

 

 

そしてこれはポッツォの本の中に掲載されているサンティアーツィオ教会の断面図です。

f:id:akashiaya:20180525212906j:plain

画面向かって右側に大きな屋根がありますね。これがクーポラ部分です。この図の中でクーポラが始まるところには小さく[A][B]と書かれていて、ポッツォは解説文の中にABのところには描かれたクーポラの絵が来ると書いてます。

 

描かれたクーポラとは↓

 

f:id:akashiaya:20180525212911j:plain

 

 

また、「四大陸の寓意」天井画部分の説明もあります。

f:id:akashiaya:20180525212937j:plain

 

 

上の図は実際の形、下は天井画で表現する形です。

 

 

 

 

そして下から見上げた場合どのような表現になるか描かれたもの↓

 

f:id:akashiaya:20180525212932j:plain

 

そしてこのようなスケッチを融合し、天使や雲を配置したものがこちら↓

 

f:id:akashiaya:20180525212928j:plain

 

下図の段階で一枚の作品になっていますね。

 

 

ここからやっと天井にこの絵を転写して描いていく作業が始まります。だまし絵って描く工程がたくさんあって大変ですね。しかもクーポラはまっ平の天井ではなくアーチのある天井でした。

 

 

 

ポッツォが建築家だったからこんなすごい作品を作れたんでしょうか。

 

 

 

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

akashiaya.jimdo.com

 

天井画のザビエル

今日も生きています。

 

5月もそろそろ終わりますね。

₍まだ5日あるのに気が早いでしょうか?₎

 

前描いた作品とかに手を入れたいなあと思っています。展示会中ずっと自分の絵みてるともっとこうした方いいかなとか思ってしまうんですよね。

 

新しい作品も描きたい思いもありますが、後ろ髪が引かれます。

 

 

イレブンガールズで一緒に各地の会場で絵を展示していたとき、メンバーにこの作品₍以前より₎手を加えたんだね。というようなことをたまに言われていました。

 

必ずと言っていいほど手を加えてない作品に対して言われていたのですが、絵の中でモチーフが動いていたのでしょうか。描き加えた作品は気づかれないこともあったので、なんだか腑に落ちない…。

美容院行ったのに誰からも「切った?」と言ってもらえない時のような…そんな気持ちになりますね。

 

 

さて、池上英洋さん著₍大学時代の先生₎の西洋美術史入門〈実践編〉を読んでいます。

 

その中のイタリアの教会サンティーニャーツィオ教会の天井画からイエズス会の人々₍ヨーロッパ₎がそれぞれの大陸をどうとらえているかというところを見てきました。

 

サンティーニャーツィオ教会 - リアル絵描き日記

サンティーニャーツィオ教会ー天井画を読み解くー - リアル絵描き日記

サンティーニャーツィオ教会ー天井画の謎ー - リアル絵描き日記

サンティーニャーツィオ教会ー天井画に迫るー - リアル絵描き日記

サンティーニャーツィオ教会と二分の一成人式 - リアル絵描き日記

 

天井画のイリュージョンに目がとられますが、内容を見るといろんなことが読み取れますね。

 

 

サンティアーツィオ教会の天井画は〈四大陸の寓意〉でしたが、このように四大陸を描いた天井画や版画がほかにも存在するそうです。

 

f:id:akashiaya:20180525114038j:plain

ジョヴァンニ・バッティスタ(ジャンバッティスタ)・ティエポーロ、〈四大陸の寓意〉、1752-53年、ヴゥルツブルク、レジデンツ、階段ホール

 

上はドイツのヴゥルツブルクにある大司教の宮殿の天井画です。世界で一番大きなフレスコ天井画です。

 

サンティアーツィオ教会と同じ四大陸の寓意という主題ですが、ここがこの大陸とはっきりしてはいません。

 

 

 

f:id:akashiaya:20180525114040j:plain

 

天井画に両手を挙げて上を見上げている人間が描かれています。これはだれかというとイエズス会創始者イグナチウス・デ・ヨロラです。

 

彼の上には少し小さく十字架を背負ったキリストがいます。イグナチウス・デ・ヨロラより上にいるので小さく描かれています。

 

 

キリストから出た光線がイグナチウス・デ・ヨロラに当たり光線が広がっています。

 

彼が神から啓示を受けイエズス会を設立し、その後の伝道活動を始めたことを表現しています。

 

光線は世界中に広がっていますが、各大陸の近くに実際にその地へ伝道しに行った宣教師の姿が描かれています。

 

 

そして我らがアジア大陸は図の右下にあるようです。その近くにいるのは黒い杖を持った人…わかりますか?ザビエルです。

後頭部の髪の毛の様子はわかりませんね。残念。

 

 

この天井画はイエズス会の伝道活動が世界に及び、異教の地でも果敢に布教しているということの自画自賛と言って差し支えないと池上さんは描かれてます。

 

 

そう思ってみちゃうと感動よりも感心して作品をみてしまいますね。

 

 

 

 

今日はここまで。

最後までお読みいただきありがとうございました

akashiaya.jimdo.com

 

 

サンティーニャーツィオ教会と二分の一成人式

今日も生きてます。

 

東京がとても暑くて驚いております。

タンクトップの人が歩いていて秋田とはえらい違いです。

 

私は夏生まれですのでこの調子で夏が来たら26歳になります。

 

10歳のときに二分の一成人式で20歳の自分にタイムカプセルに入れてお便りを出しました。

 

中に20歳の自分はOLで普通に働いてると書いてありました。しかもスーツの挿し絵つき。

 

まだ25年しかいきていませんが、人生不思議なものですね。スーツとはかけ離れた生活してます。

 

あと10年後生きてたら35歳はどんなふうかなあ。

 

暑くなってくると歳を重ねることを意識していろいろ考えてしまいます。

 

さて、そんなこんなとは全く関係なく今日もサンティーニャーツィオ教会の天井画についてです。

 

昨日までサンティーニャーツィオ教会の天井後に描かれた大陸の擬人像について描いてきました。

 

今日は最後、アジアについてです。


f:id:akashiaya:20180520124010j:image

 

アジアの擬人像である東洋系の女性はらくだに乗っています。

 極東地域と中東地域の情報が混じっているそうです。

 

江戸時代、日本にザビエルが布教しに来ていたように、ヨーロッパからアジアへのキリスト教伝道活動は行われていました。

そのための殉教者もかなりの数だったそうです。

 

しかしアメリカの擬人像のような激しい表現はありません。この時代のアジアは仏教と儒教の勢力圏だったため、ヨーロッパ諸国も手を出しにくかったそうです。

 

らくだや天使に踏まれている二人の老人がいます。それぞれ釈迦と孔子と考えられているそうです。罰当たりな…笑

 

二人が老人として表現されている理由は、ヨーロッパで二人のことは古くから知られており、賢者のイメージを持たれていたからです。

 

ヨーロッパ人にとってアジアは古くから栄え、多くの文明が東方からもたらされたという認識かあるようです。

 

しかしアジアは盛期を終えて老いており、今世界をリードしてるのはヨーロッパと言う考えもありました。

 

 

なんだか今までアメリカやアフリカよりも自分は上という立ち位置をはっきりしていたヨーロッパが、アジアには少しの敬意があったことが新鮮ですね。

しかし釈迦や孔子をこんな扱いするのはアジア人はできないと思います。

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

サンティーニャーツィオ教会ー天井画に迫るー

今日も生きています。

 

声がぼそぼそしているのがコンプレックスです。(あと字が下手。)

リラックスすると本当に声でないので、よく周りの人が聴き取ってくれるなあと思っています。

 

そのせいか聴き取りやすい美声の人にあこがれを持ってしまいます。

たまに話声でビン割ることができそうな発声している人いますよね。よく快活に声出せるなあ。(そういう人と話をするときは声に気をとられて内容を理解できてない。)

 

…母のビッグバンのライブDVDを視聴していろいろ考えました。

メンバーの名前もわからないし顔の区別もできないが声は美声!

 

 

さて、声とは全く関係なくサンティーニャーツィオ教会の天井画について書きたいと思います。

 

昨日までサンティーニャーツィオ協会に描かれた天井画・『四大陸の寓意イエズス会の伝導の勝利 』から描かれた内容を詳しく見てきました。

 

参考書は池上英洋さん著「西洋美術史入門実践編」です。

 

ヨーロッパ、アメリカ続き今日はアフリカです。


f:id:akashiaya:20180518165541j:image

 

白黒ですが、アフリカと書かれたプレートがわかるでしょうか。

 

 

アフリカの擬人像は黒人女性として描かれています。

 

ヨーロッパの擬人像と比べると幼い年齢です。

 

これには理由があり、ヨーロッパ人から見てアフリカ大陸は文明後進地域と見なされており、大陸まるごと子供扱いだったのが理由でした。

 

額の白く輝く物体はアフリカからもたらされるダイヤモンドという見方もあります。

 

ヨーロッパの富裕層の間では慈善活動が始まっており、多くの資金援助がアフリカの大陸の子供たちにたいしてなされていました。

 

それは宗教上、死後天国へ早く行けるようにという思惑もあってのことです。

 

前のアメリカもそうでしたがヨーロッパは基本的に皆より上という考え方だったようですね。

昔の事(今もそう考えてる人はいるかもしれませんが)とはいえ、素直に欧米人と接することができなくなりそうです。解せぬ。

 

でも旅行はやっぱりヨーロッパに行きたい…

 

 

 

 

さて、明日はいよいよ我らがアジアについて書きたいと思います。

 

最後まで読んでいただきありがとうございました。

 

 

 https://akashiaya.jimdo.com/

サンティーニャーツィオ教会ー天井画の謎ー

今日も生きています。

 

ブログでは少し前からイタリアにあるサンティーニャーツィオ教会の天井画をみています。この教会はイエズス会において№2の存在です。

 

最初の記事↓

サンティーニャーツィオ教会 - リアル絵描き日記

 

天井画はこの教会の中にあります。

「四大陸の寓意〈イエズス会の伝道の勝利〉」

f:id:akashiaya:20180516165831j:plain

 

この絵の中央部分の柱に〈ヨーロッパ〉〈アメリカ〉〈アフリカ〉〈アジア〉のプレートがあり、それぞれのプレートの周辺の人間が大陸を表現しています。

 

昨日はヨーロッパについてみました。

f:id:akashiaya:20180516180042j:plain

要約するとヨーロッパ偉いぞすごいぞ豊かだぞということを表現されていました。

 

 

今日はアメリカのプレートを見ていきたいと思います。

 

f:id:akashiaya:20180516180122j:plain

中央のプレートが見えるでしょうか…

 

ヨーロッパの柱の優雅な女性の様子とは違い、黒い肌の女性が男性を槍で落としているように見えます。

 

なぜアメリカはこのような表現をされているのでしょうか?

 

この作品はコロンブスがアメリカ大陸にたどり着いてから200年後に描かれたものです。ヨーロッパによる征服も一通り終わり、入植が進んでいました。

 

大航海時代を支えたスペインとポルトガルはアメリカ大陸をどこからどこまで領地にするかで揉めていたそうです。

キリスト教に改宗した原住民の共同体をもう一方の国が攻撃するというような事態も起こっていたそうです。同じキリスト教同士で戦い合っていたんですね。

 

 

赤黒い肌をしたネイティブアメリカンが敵対勢力と激しく争っているのはそのような現地の様子を反映しているのかもしれません。

 

女性の左横では天使が異教徒を追い払っています。

 

このアメリカの擬人像を見ると、イエズス会のアメリカでの布教がどんなに激しかったか感じます。

 

 

 

 

 

さて明日はアフリカです。

 

今日も最後まで読んでいただきありがとうございました。

akashiaya.jimdo.com

サンティーニャーツィオ教会ー天井画を読み解くー

今日も生きてます。

 

今日からローマにあるイエズス会№2の教会、サンティーニャーツィオ教会の天井画を詳しくみていきます。

f:id:akashiaya:20180516165831j:plain

アンドレア・ポッツォ「四大陸の寓意」

 

この天井画の中央部分の左と右それぞれの柱に人が支えているものがあります。

 

四つありますが、それぞれ名前の刻まれたプレートが描かれています。

 

〈ヨーロッパ〉〈アメリカ〉〈アフリカ〉〈アジア〉

それぞれが四大陸に対応しています。

f:id:akashiaya:20180516180042j:plain

ヨーロッパ

 

f:id:akashiaya:20180516180101j:plain

アジア

 

 

f:id:akashiaya:20180516180122j:plain

アメリカ

 

f:id:akashiaya:20180516180938j:plain

アフリカ

 

おそらく下から見上げてわかる人はだいぶ視力いい人ではないとわからないのでは…?

私はたぶんわかりません。

 

それぞれの大陸をどのように表現しているか見ていくと、イエズス会がどのように世界を捉えているか、また捉えたいかがわかります。

 

今日はヨーロッパをみていきます。

f:id:akashiaya:20180516180042j:plain

 

EVROPAと書かれたプレートに上にはヨーロッパの擬人像・恰幅のいい女性がいます。

 

他の三枚も女性が擬人像になっていますが、大陸のように「古く、大きい」ものはラテン系言語では女性名詞であることが多いそうです。

 

彼女がふくよかに描かれているのには理由があり、ヨーロッパの豊かさを表現しています。

 

頭には王冠、手には地球を抱えています。

ヨーロッパが世界の支配者であることを示そうとしています。

 

この作品が描かれた17世紀は大航海時代もひと段落し、世界諸国にヨーロッパの力がいきわたった頃でした。

 

右手には金色の王笏(短い杖)を持っており、自分に従う世界中に向けて命令しています。

 

女性は白馬にまたがり、その足で一人の男性の背中を踏んづけています。

これは女性の意に沿わず、駆逐された人々です。

 

いろいろな読み取り方や仮説があるそうですが、この教会はイエズス会の教会ですので、異民族・ユダヤ教徒・異端とされたキリスト教派生の異教徒などが考えられます。

宗教改革者のルターとツヴィングリとする見方もあるようです。

 

 

だまし絵として有名な天井画ですが、よく描かれている内容を見ているとそれだけではないことがわかります。

 

今日みたのは絵のたった一部分ですが、これを描いたヨーロッパ人の世界に対する自分の立場をこれでもかとわかりましたね。とりあえず自分は偉いぞということを表現してますね。

 

そのヨーロッパ人が他の大陸をどのように表現したのか…明日に続きます。

 

 

 

今日はここまで。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

akashiaya.jimdo.com

 

 

サンティーニャーツィオ教会

今日も生きてます。

 

池上英洋さん著「西洋美術史入門」を読んできました。愛読していたらだいぶよれよれに…

(私の扱い方が雑だとかそういうことではないはず!)

f:id:akashiaya:20180516165444j:plain

 

あとは最後の美術の章を残すのみ…ですがブログで取り扱うにはもっと詳しい情報載せたいなと思い、続編である「西洋美術史入門実践編」の内容に進みたいと思います。

まだ読み始めなのでよれてないです。

読み終わるころにはどうなっているかな…

 

〇サンティーニャーツィオ教会の壁画

ローマのパンテオンの近くにサンティーニャーツィオ教会があります。

 

f:id:akashiaya:20180516163204j:plain

パンテオン

 

f:id:akashiaya:20180516165148j:plain

サンティーニャーツィオ教会

 

この教会の天井にはアンドレア・ポッツォが描いた天井画があります。

f:id:akashiaya:20180516165631j:plain

アンドレア・ポッツォの肖像画

 

 

f:id:akashiaya:20180516170023j:plain

f:id:akashiaya:20180516170020j:plain

平面図

 

上から見ると「ラテン十字」と呼ばれる形しています。

一番上の頭の部分を「内陣」といい祭壇が置かれるところです。

腕の部分は翼廊(または袖廊)

胴体の部分は身廊

交差している部分は交差部、その上にクーポラ(円屋根)が載っています。

 

 

 

中に「四大陸の寓意(イエズス会の伝道の勝利)」という天井画があります。

f:id:akashiaya:20180516165831j:plain

 

この教会はイエズス会の修道会の創始者イグチウス・デ・ロヨラの名前をイタリア語読みしたものらしいです。このサンティーニャーツィオ教会はイエズス会の中ではナンバー2の教会です。

 

今日から何回かは池上英洋さん著「西洋美術史入門〈実践編〉」をもとに、この天井画から読み取れることをブログに描いて行きたいと思います。

 

 

 

今日はここまで。続きます。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

akashiaya.jimdo.com